戯曲読むのって楽しい


苦手でした

お芝居の習い事するまで戯曲って苦手というか嫌いでした。
平均よりは読書好きで、小説をよく読むほうの学生だったので、地の文で情景描写がなく、セリフばかりでつっけんどんだ、という印象で、そもそも読み方が分からなかったのです。

演劇の学校や、他のいろんな劇団や演劇教室ではどうしているのか全く知らないのですが、
先生は岸田國士の「紙風船」で戯曲の読み方を教えてくださいました。
(たしか、別で教えているチームがちょうどやるから、という理由で、特別な意味合いがあるわけではないと思います)
私は全く知らなかったのですが、たぶんちょっとかじったことある方ならだれでも知っているくらい有名ですよね。
あと読むと各々の恋愛観や妻(夫)に求めるものが分かったり、現状が分かったりしておもしろいです。
ちなみに両親にそれぞれ読ませたところ、父は嬉しそうに読み、母はちょっとイラッとしながら、「まあこの夫婦は今こんな感じだけど、子供ができたらいろいろ変わるんじゃないか」と全く同じ感想だったので、
この家庭でいかに私と弟が「鎹」だったかが分かってちょっとなんだかなあと思いました。
個人的にはあんま好きじゃないです。(巨匠の作品に失礼なことを言う小娘)

けっこう昔の作品なので、時代背景やしゃべり方も違いますし、最初は読んでも「ふ~ん?」というか。
よく分かりませんでした。
ただ、先生から、台本を読むと、セリフやト書きから、ただセリフや感情を追うだけではなく、季節・曜日・時間・気温・天気などのその世界の様子、身なりや暮らしぶりから登場人物たちの経済状況について、会話や距離感から登場人物たちの関係性についてなど、いろんなことが分かる、
と教えていただいたとき「なるほどな!!」と思いました。
演劇には正解がないので、だからこそ難しいですが、同時におもしろいなあ!と。
そしていろんなことにアンテナを張って読めば読むほど、キャラクターが動き出して、音が出て、匂いがして、温度を感じて、風景が広がっていくようになるのがまたおもしろいです。

楽しみ方は十人十色

それからは、自分がこれから音読してみたり、かる~く演じてみたりする台本に目を通すことから始まったので、
当たり前ですが「自分はどうしたらいいだろう」と考えながら自分の役の部分を何度も読んでいました。
最近はそこから飛躍して(道に逸れて?)、戯曲読みながら「もしあの俳優さんだったら~」とか「あのアニメのキャラが演じるなら~」とか「私が演出だったらこうして~」とか考えるのが好きです。

このあいだ見た横内謙介さんの「いとしの儚」については、 鈴次郎役最推しはアイドルゲーム「アイドリッシュセブン」に登場するIDOLiSH7の二階堂大和さんです。
大和さんは7人組のアイドルグループIDOLiSH7のリーダーを務める現役アイドル。
現在23歳、グループの中で最年長。メガネと切れ長の三白眼がトレードマークで、メンバーカラーは緑です。
演技力が高く評価されていて、サスペンス映画の主演にも抜擢されました。
(ジャニーズでいうなら私は二宮君と大野君を足して二で割った感じだと思っています。)
実は大和さん、なかなかなルーツを持っていまして、そのことでゲームでもいろいろあるんですが・・・。
鈴次郎の愛されたい、という気持ちや、素直になれない心、そういったことを表現できるんじゃないでしょうかねえ。ええ。
問題はアイドルとしてのイメージがどうかというところなのでね・・・20代のうちはやってくれないでしょうなあ(そもそもが二階堂大和さんはフィクションなんですけどもね)
 
そう書きつつ、CV担当の白井悠介さんの朗読劇などもよいのでは?と思ったり・・・「いとしの儚」朗読劇!どうでしょうねえ。もうやってたりするのかな。
 
若手俳優さんですと私は梅津瑞樹さんを推したいです。
たまに見え隠れする自暴自棄なところ・・・あと演劇への情熱・・・。
元々が2.5次元作品ではなくストレートプレイの作品のハタケの人で、
今回のる・ひまさん制作での主演の鳥越さんとドラマで共演したときにも
珍しく梅津さんのほうからその話を聞きに行ったそうですから、きっとやってみたいんだろうなあ。
舞台「紅葉鬼」や一人芝居のときのあの感じも私は好きです。
 

目に見えないものを表現できたら

「いとしの儚」しかり、「刀剣乱舞」しかり、自分で去年作った台本しかり、
人ならざるモノが人になろうとする過程や、人のフリをする話が大好きです。
そして、目に見えるものだけじゃなくて、せっかくお芝居するのなら目に見えないものを表現したいですよね。
とかカッコイイこと言っちゃったりなんかして!
風、匂い、空気の重み、暖かさ、優しさ、思い出、愛、とかそういう。
 
鈴次郎はクズな男だけど、家庭環境なども相まってクズにならざるを得なかった男。本当は寂しがりで、臆病で、裏切りや嘲笑をなによりも恐れ、愛や温もりを求めているのに、それを認めようとしない。
儚は、ただ本当に純粋で、何も知らない。いろんなことを学んで、鈴次郎が世間から見てどういう姿なのか分かっててもそれでも鈴次郎の隣にいたいと思ったのは、鈴さんにすべてを与えたい・そばにいたいと思ったのは、ただただ鈴さんを愛しているから
愛に対して臆せず、怯まず、素直なままに愛を表現する儚に、鈴さんは戸惑ってしまう。
人ってなんだろうなあと改めて思いました。
人の姿かたちをしていても、人にはなれないもんな、と。
戯曲を読んでみて思ったのは、やっぱり儚のセリフは一つ一つが飾り気がなくまっすぐで、儚はその言葉や思いを教えた人の言い方そのままに話す。
それは純真無垢な子供でもあり、愛を注いだだけ注ぎ返してくる恋人であり、無償の愛で包み込む母であり、鈴さんにとって、今までの一生で不足していたものをこの100日でぎゅっと凝縮させてその身に受けたのだから、鈴さんが戸惑ってしまうのは仕方のないことなんだろうなと思います。

これから何を読もうか。

まだまだ全然知らないことだらけなんですが、
三島由紀夫の一人芝居の戯曲、「船の挨拶」も私は好きで何度も読み返しています。
孤独と、焦燥、愛を求める気持ち、ここではないどこかへ行きたいという。
シナリオとしては何も起きない話ではあります。
その後どうなってしまうのか、この前には何が起きたのか。
でも、ここで伝えたいのはたぶん「愛したい」「愛されたい」という欲求かなと。
読むと、三島由紀夫の心の中の欲望も見えてくるような気がします。
演じてみたいなあとも思うんですが、なんとなくこれは・・・う~ん、自分が楽しいだけになってしまわないかと心配です。
(終わりもショッキングですし)
実りがあるのかなあ?みたいな。見た人にも作る側にもねえ、みたいな。
でも好きな戯曲なんです。

超有名作品ですが「熱海殺人事件」の戯曲も楽しいんですよね。
失礼なんですけどね、あれも話のすじがすごいとか何か劇的なことが起きるわけでもないんですけど、
でもだからこそ熱量が伝わるんじゃないかなとか思ったりします。
登場人物たちも、とんでもねえどうしようもねえ人達なんですけどね。
なんだかなあみたいな話で、そういった意味で大衆にウケる作品だと思いますけども。落語みたいな。
あーあ、いつかやってみたいなあ、アイ子。
あとつかさんの戯曲集は、ト書きや解説と見せかけて愚痴とかボヤきがいっぱい書いてあって楽しいですよ。何かで公演を見たことがある人もぜひ。

これからもいっぱいいろんな作品を見て、そしてあわよくば戯曲を読んで、
また自分の世界が広がっていったらいいなあなんて思います。
なにかオススメの作品あったらぜひ教えてくださいね。

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