労働保険事務組合を脱退しました
さよなら事務組合
数十年間お世話になっていた労働保険事務組合と次第に方向性の違いが生じ、労働保険の年度末(3月)で委託契約を解除することにしました。その経緯の怒りや愚痴をココに書きたい気持ちを堪えて、解除後にどのような手続が必要になったのか記録しておこうと思います。
この記事は、私の体験を編集を繰り返しながら2023年4月3日にまとめ記事にしたものを2024年6月4日に転記したものです。また、二元適用事業の記載がありますが、建設業向けの情報の記載はありません。実際の手続に際して管轄の労働基準監督署・ハローワークに相談する時のお役に立てれば幸いです。
まずは脱退手続から
事務組合に脱退の申し出を行ったら、事務組合にある「労働保険事務委託解除通知書」の用紙をもらって、必要事項を記入して事務組合に提出します。提出後に事務組合が委託解除を認める旨を記載し返送してくるはずなので、きちんともらっておきましょう。「労働保険事務委託解除通知書」はこの後の手続で必要になります。
労働保険番号は引き継げない
事務組合に委託している時の労働保険番号の基幹番号は事務組合の番号、枝番は事務組合で取り扱っている事業所番号のため、委託契約解除後は新しい番号になります。過去の番号からの継続性については念の為、監督署に確認した方がいいと思います。
監督署で手続用紙の入手しよう
脱退手続と並行して、労基署の窓口に必要な手続の相談と書類の受け取りに行きましょう。手続書類のほとんどは複写式の用紙です。郵送で依頼することもできますが、相談がてら窓口に取りに行った方が安心です。ただ、監督署の担当者さんは聞けば親切に教えてくれますが、聞かないと教えてくれません。事務組合を脱退し新たに自分たちで労働保険料の納付を行いたい旨と以下のことなどを伝えるといいと思います。
現在の加入状況(事務組合が作っていた「労働保険料算定基礎賃金の報告」があれば十分だと思います)
継続性の確認(従業員の勤続年数や会社のメリット制などの過去の情報は引き継がれるか)
現在の加入状況(事務組合が作っていた「労働保険料算定基礎賃金の報告」があれば十分だと思います)継続性の確認(従業員の勤続年数や会社のメリット制などの過去の情報は引き継がれるか)
主な事業(主な事業と言えるものが複数ある場合、保険料率表を事前に見ておいた方がいいかもしれません)
事業場の数(事業場が複数の場合、手続書類が増えます)
支払方法(保険料が年間20万円以上になると一括・分割から選択できます)
口座振替の希望(2回目の支払いから口座振替に変更できます)
パンフレットと一緒に「保険関係成立届」と「概算保険料申請書」のほか、必要な用紙を揃えてもらえます。
手続書類の作成
必要な用紙が揃ったら手続書類を作成しましょう。この時点で不安があれば、書きかけのものを持って監督署で聞けば丁寧に教えてもらえます。
保険関係成立届:会社の名称・住所・概要・概算支払賃金総額を記入するだけです。
概算保険料申請書:自分で保険料を納付するための書類です。従業員が大きく変わらなければ、前年に事務組合が作った賃金総額に保険料率を掛けても(料率が変わらない年はそのまま転記でも)大丈夫です。ただしあまり雑にやると翌年の確定精算で納付・還付される額が大きくなってしまう点に注意が必要です。
労働保険事務委託解除通知書:事務組合を脱退する時の書類です。窓口での手続の時に提示を求められます。写などの提出は不要でした。
事業場が複数あるときの追加書類
複数の事業場がある企業で本社で一括して給与計算・労務管理を行っている場合、最も手続を行いやすい事業場で「保険関係成立届」を提出し、その他の事業場は子番号のようにすることで保険料の申告・納付を一括で行うことができます。もし、事業場ごとに給与計算・労務管理を行なっている場合は、事業場ごとに「保険関係成立届」と「労働保険事務委託解除通知書」を出すことになります。
被一括事業の保険関係成立届:保険関係成立届に「継続事業」とスタンプが押してある用紙で、成立届の手続完了後に子番号の事業所を管轄する労働基準監督署に提出します。返信用封筒をつけて郵送するのが便利だと思います。記入する項目は成立届に記入した項目+親となる事業場の労働保険番号です。手続が完了すると事業所ごとの労働保険番号がもらえます。労災発生時には、この事業所ごとの番号で監督署に報告します。
継続事業一括認可申請書:事業所ごとの労働保険番号が決まったら、親番号を管轄する監督署に継続事業一括認可申請書を提出します。
雇用保険非該当申請書:ハローワークに提出する書類です。これも複写式の用紙なので、近くのハローワークに相談がてら用紙をもらいに行く必要があります。子番号にする事業場の数だけ貰ってきましょう。これも提出は返信用封筒をつけて郵送するのがいいと思います。
主たる事業が農業のときの追加書類
建設業と農林水産業は労災保険と雇用保険を別々に加入する(二元適用事業)ことになっています。
保険関係成立届:雇用保険は会社全体で「成立届」を本社を管轄するハローワークに提出し、労災保険は事業場の業種ごとに管轄する監督署に「成立届」を提出します。煩雑ですが、農業+小売業、農業+その他製造業+事務(その他の各種事業)のように事業場の保険料率ごとに労災保険に加入できると思い、前向きにとらえて頑張りましょう。
概算保険料申請書:こちらも雇用保険・労災保険を分けて提出します。料率表の業種分類を見ながらグルーピングするといいと思います。
おしまいに
私たちがこれまで委託していた事務組合からは色々脅されて?いましたが、監督署・ハローワークの方はほとんどが親切な方で、ひとつクリアできました。これから入退社、年度更新とありますがなんとかなるでしょう。それにしても雇用保険の値上げは尋常じゃないです。今年の確定清算と概算はすごいですよ。