一日一つ機械の小ネタ 十二粒目「テオヤンセンのリンク」
機械の小ネタ十二粒目は「テオヤンセンのリンク」です。
サムネイルはテオ・ヤンセン氏の「アニマリス・ペルシピエーレ・プリムス」です。
機械の世界で「リンク」といえば機械機構のリンクのことでしょう。リンクとは棒と軸を組み合わせて目的の動きをさせる機構のことです。ロボコン界隈ではチェビシェフ歩行リンクなどが有名です。
チェビシェフ脚(PukiWikiより)
ですが、機械の世界広しといえどテオヤンセンのリンクほど複雑で美しく、生物的で気持ち悪い(ほめてる)機構は、そうはないでしょう。
そもそもテオヤンセンのリンク機構はTheo Jansen氏が自身の制作するストランドビーストと呼ばれる生命体の脚とするために作り出されたものです。リンクの外観が元々生物の脚に近く優雅な見た目をしているだけでなく、リンクの長さもホーリーナンバーと呼ばれる13の数によって、足運びの動きが最も生物的であるように定められています。
テオヤンセンのリンク機構の特徴的な点は脚を下げ降ろすときの滑らかさである思います。
チェビシェフリンクを見ると脚を上げている区間ではリンクの速度が上がっています。このまま脚を地面につけると脚は速度を殺しきれず、床を叩くような接地をします。床を叩くと機体が地面から浮くため効率的に駆動力を地面に伝えることができません。
チェビシェフリンクの動作(Hyrodium laboratoryより拝借)
対してテオヤンセンのリンク機構は割合ゆっくりと接地するため機体の浮き上がりは小さいといえます。
またストランドビーストが砂浜を走ることを想定していたためかテオヤンセンのリンク機構はそれなりに高く脚が上がるので、ある程度の走破性も持ち合わせています。
良いところがあれば悪いところもあるもの。テオヤンセンのリンク機構は機構を構成するリンクの数が多く制作に難があります。またメンテナンス性も良いとは言えないでしょう。そして最大の難点は三脚一グループの脚であることです。テオヤンセンのリンク機構は三脚以上ないと滑らかに歩くとができません。この要素のために構成部品の数は掛け算で増えてゆきます。
作る部品は数多く、動き出すまで果てしなく面倒で、作って動けば愛らしいテオヤンセンのリンク機構、皆様もぜひ作ってみてください。作るのが面倒な方は「大人の科学 テオヤンセン・ミニビースト」をどうぞ。
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