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ねい
2018年9月26日 16:09
1・2・3・4・5・6高2の春、花見をしないかとアサミを誘った。地元には竜が眠るという池があって、そこでわたしの作った不細工な団子をツマミにビールを飲んだ。小さな子どもがわたしに近づいて話しかけた。心地よく回った酔いも手伝って、わたしは優しいお姉さんのようにその子に接していた。予想だにしないことが起きた。突然アサミはわたしの腕を引っ張り、狂ったように叫んだのだ。「わたしのるんばに
2018年9月27日 10:53
1・2・3・4・5・6アサミとセンパイと、何人かで遊んだ、ある日の朝。寝息が聞こえて目を覚ますと、目の前にアサミの顔があった。化粧の下の白い肌がやわらかそうで、りんごの一番おいしいところを切り取ったような紅い唇の奥には、白い歯が小さく子どもの様に顔を出していた。さっきまでいたはずの男たちは姿が見えない。わたしはうすら寒くなり、人形のように可愛いアサミにくっついて寝ようとして、はっとした。
2018年9月28日 09:46
1・2・3・4・5・6その秋から冬のことは忘れられない。きっと、世界を敵に抵抗した。あの若さと情熱とエネルギーでもって、エベレストの山頂で舞いたい一匹の蝶だった。そして、たぶん、思い知るしかなかった。じぶんが17歳だということを。ここで出来る最大のことは、なんなのか。どこまでもあのわたしは、最大出力の矛先だけをかんがえていたんだ。◆その秋からアサミから夜中にかかっ
2018年9月28日 11:39
1・2・3・4・5・6その日は、高熱を出して動けなくなった。ふだん、38℃の熱があっても平気なのにその日だけは ベッドから降りることも水を飲むのも難しかった。テレビを久しぶりに観た。お昼の有名司会者が仕切る この番組がわたしは嫌いだった。あそこに座っている人たちは、いつも後頭部しか見えない。後ろを向いて笑っているのを、しあわせでいいね、と興ざめして見た。もうつかれた。もう