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乾電池寿命の比較

マイコンを乾電池で動作させる場合に気になる点は電池寿命です。単3乾電池で動作する回路を単2乾電池に変えた場合にどのくらい動作時間が伸びるのか?そのための基本データとして単6から単1乾電池の電池寿命の測定を行いました。
電池は安価に入手可能なMonotaroのアルカリ乾電池を使いました。ちなみに単6はJIS規格ではないらしいですが、スタイラスペンで使われることが多いようです。
リチウムイオン電池は電池容量の記述がありますが、乾電池には記載がありません。これは取り出す電流の大きさにより左右されるかららしいです。

測定方法

乾電池の寿命は取り出す電流により変わります。今回は省電力のマイコンを動作させる事を想定して50オームの抵抗に電流を流します。電池電圧1.5Vで50Ωなので30mAの電流になります。100Ωのセメント抵抗を2つ平行に接続して使います。

実験装置一式

左に見えるのが測定装置です。INA226を使い電圧を1分間隔で測定して記録します。マイコンにはESP8266を使っています。

https://strawberry-linux.com/catalog/items?code=12031


電池ケース

電池ケースは買えば良いのですが、単6電池の電池ケースは手に入りにくし、全種類を購入するとお金がかかるので3Dプリンタで作りました。

3Dプリンタで作った電池ケース

電極の部分はAmazonで購入しました。

この部品を3Dプリンタで出力したパーツに入れて電池ケースに入れて完成です。

CADファイルはこちらに置いておきます。(Fusion360)

測定結果

以下に測定結果のグラフを載せます。電池によって横軸が違うので、注意してご覧ください。

単6アルカリ

単6乾電池

単5アルカリ

単5乾電池

単4アルカリ

単4乾電池

単3アルカリ

単3乾電池

単2アルカリ

単2乾電池

単1アルカリ

単1乾電池

測定結果まとめ

一枚のグラフにまとめると次のようになります。

単6〜単1 電池寿命

1.0V、0.9Vまで電圧が低下するまでの時間をまとめると以下のようになります。

電池寿命

$$
\begin{array}{|c|r|r|} \hline
電池種類 & 1.0Vまで降下する時間 &  0.9Vまで降下する時間\\ \hline
単6 & 23時間 21分 & 25時間 17分 \\ \hline
単5 & 31時間 30分 & 35時間 53分 \\ \hline
単4 & 44時間 05分 & 50時間 22分 \\ \hline
単3 & 99時間 40分 & 115時間 26分 \\ \hline
単2 & 300時間 41分 & 350時間 10分 \\ \hline
単1 & 628時間 58分 & 777時間 26分 \\ \hline
\end{array}
$$

単6の1.0Vを基準にすると各電池の電池寿命は次のようになります。

$$
\begin{array}{|c|r|r|} \hline
電池種類 & 単6に比較した寿命\\ \hline
単6 & 1.00 \\ \hline
単5 & 1.35 \\ \hline
単4 & 1.89 \\ \hline
単3 & 4.27 \\ \hline
単2 & 12.88 \\ \hline
単1 & 26.94 \\ \hline
\end{array}
$$

単純にいうと単6電池で1日動いた回路は単1にすると26日間動くことになります。

電池重量と寿命の比較

$$
\begin{array}{|c|r|r|} \hline
電池種類 & 電池重量[g] & 1gあたりの寿命(1.0V)\\ \hline
単6 & 6.09 & 3時間29分 \\ \hline
単5 & 9.17& 3時間26分 \\ \hline
単4 & 11.55& 3時間49分 \\ \hline
単3 & 23.19& 4時間15分 \\ \hline
単2 & 70.62& 4時間25分 \\ \hline
単1 & 142.53& 4時間12分 \\ \hline
\end{array}
$$

これを見ると単1〜単3までのグループと単4〜単6に分けられそうです。

まとめ

というわけで電池寿命を伸ばすための実験を寿命の短い単6乾電池で行い、実際の運用では必要に応じたサイズを選ぶ目安に今回の実験値が使えます。あと乾電池はOFFにすると復活する特性があるのでマイコンをスリープさせる時間があると寿命を伸ばせます。

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