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[理系による「カルチャー」考察] "池袋ウエストゲートパーク(2000) ➡再ブレイクの理由は"東京卍リベンジャーズ"から

結論から言うと、"東京卍リベンジャーズ"のヒット、が要因です。

商業的な観点から言うと、1990年代終わりから2000年代への、不良・ヤンキーからカラーギャングへの移行、にそのまま乗っていると思われます。

が、上記はあくまで表面上の話で、TVで放映された2000年とNetflixで公開された2023年の時代状況を分析しながら、考察を深堀します。

まず2000年です。#自身は大学生でした。
2000年はどんな年だったかというと、バブルの幻影を追った90年代初めの盛り上がった空気がいよいよ冷め、1995年の関西淡路大震災や地下鉄サリン事件から徐々に退廃的な空気が漂い始め、2000年はその末期だった年でしょうか。年代を追うと下記で、なんとなく雰囲気が分かると思います。

  • 1995年:関西淡路大震災、地下鉄サリン事件、新世紀エヴァンゲリオン放送開始

  • 1996年:女子高生文化が盛り上がり(援助交際、ルーズソックス、チョベリバ)

  • 1997年:山一証券破綻

また、この時代にヒットした漫画に"ドラゴンヘッド"があります。無料公開しているようなので興味がある方は読んでいただければと思いますが、このような漫画がヒットするほど退廃的な空気だったのです。

で、ドラゴンヘッドが2000年に終了します。しかし、かなり不自然な終わり方で、自身は当時大いに違和感がありました。が、今考えると、これ以上の暗黒面に作者も読者も耐えられなかったのだと思われます。

ということで、2000年は時代的に末期にあり、これ以上の暗い表現は耐えられなくなり、もう少しポップなものが求められ始めたのだと思います。

ここで、"池袋ウエストゲートパーク"、ですが、退廃的な空気感は残しつつ宮藤官九郎により少しポップにアレンジされたこのドラマは、2000年の空気に大いにはまり、大きな反響になったのだと考えられます。

で、今回は2023年現在での再ブレイクした理由の考察です。

2000年と2023年(正確には2021~2022年)の共通点は、時代の末期だったことです。2021~2022年は、コロナとウクライナ戦争による影響、でモロモロ末期感(閉塞感のほうが正しいかな)はあったと思います。そして、1990年代後半から2000年の"ドラゴンヘッド"にあたる2021~2022年の漫画は"新劇の巨人"や"血の轍"になり、ベクトルは異なりますが暗黒面の漫画です。

2023年は、ようやくコロナが終わった!、感があるので、2000年と同様に少しポップなものが受け入れられやすいと思いますが("進撃の巨人"は2021年に完結し、"血の轍"もそろそろ完結しそうですし)、2000年と2023年は状況が異なっており、それを考察するためにコロナ下にヒットした"東京卍リベンジャーズ"と"チェーンソーマン"に注目しなければいけません。

この2つの漫画は、下記のメッセージが共通点として挙げられます。
"他者との対等な関係を築くのにはどうすればよいか?" ➡"ごちゃごちゃ言わず、殴り合え!"

"池袋ウエストゲートパーク"のクライマックスの、士(サムライ)の会、もメッセージとしては同じです。

つまり、コロナで希薄になった人間関係を基に戻したい潜在的な欲求の中、それに応えるコンテンツが求められる流れでの2023年"池袋ウエストゲートパーク"の再ブレイクがあるのではないでしょうか。
(朝倉未来のBreakingDownヒットが上記を裏付けると思います。)

また、コロナが終わっても戦争は終わらねーし、ごちゃごちゃしててめんどくせぇー!、のマコトの叫びに皆が共感しているのかもしれませんね。


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