◤日常◢ ワイヤレスイヤホンを落として気が付いたこと。[#121]
3月までのわたしは、イヤホンにとても依存した生活を過ごしていた。
2020年にAirPods Proを購入してからノイズキャンセリング機能にハマり、移動中、カフェ、仕事中、どんな時でもしていた(仕事中は、残業で集中力が切れた時にコソッと。笑)
あの、一瞬で“わたしの”世界に没入できる感覚が堪らなかった。
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そんな生活が一変したのが、4月1日。
夜10時頃の帰り道で右側のイヤホンを落としてしまったのだ。
iPhoneで場所を検索して、深い時間に足元を見ながら動き回る怪しい人になりながら探したけれど、示す場所には無かった。おそらく道路脇の排水溝の隙間から落ちたのだろう。そこにあるって分かるのに取れない虚しさだけが残った。
1日の多くの時間をイヤホンを付けながら過ごしていたわたしは、「明日からどうすれば?」とすぐに不安に襲われる。(この時の感情から、だいぶ依存していたんだなと自覚した)
AirPods Proは片耳だけでも購入可能なので調べてみたら1万4000円弱。さすがに高い…。
別のワイヤレスイヤホンの購入も考えたけれど、良い機会なのでイヤホン中毒からの脱却を図ることにした。
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落として数日は、離断症状のように不安感とイライラを断続的に感じていた。
世の中ってこんなにうるさかったんだ、なんて浦島太郎状態。
わたしの生活区域は住宅街かつ大通りの抜け道的な道路が前を走っているので、車が頻繁に通る。電車のなかでも話し声や少しの物音がとにかく気になる。わたし自身注意が転導しやすいタイプなのか、“無視”が出来ない。その話し声が愚痴だったら気分が滅入る。
環境音や生活音が雑音でしかない世界、文字通り耳を塞ぎたくなる世界に、疲労度とストレスが増していく。
綺麗な音に包まれていたい。
自然が生み出す音。
焚き火の音。
楽器の音。
わたしが耳に入れたいのはこんな音。
それなのに、世の中には聞きたく無い音が溢れている。
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10日程経つと、(聞こえる音は相変わらず雑音多めだけれど)イヤホン無しの生活にも徐々に慣れてきた。
すると、今まで作りたかった時間が「生まれた」。
移動中やカフェは、動画を観たり音楽を聴く代わりに本を読んだり気持ちをノートにぶつけて過ごす時間に変わった。すると、積読が減るし頭のなかもクリアになる。勉強も手につく。
気持ち、タスクを早く消化できるようになった。
イヤホンをつけることでわたしの世界が生まれたと思っていたけれど、わたしの場合、イヤホンに支配されていたみたい。
イヤホン中毒からの脱却と、思わぬ効果と気付きを得られた。
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今でもイヤホンが欲しい場面はある(イヤホンそのものというより、ノイズキャンセリング機能)。
集中力が欲しい時に教室内が騒がしいとザワザワする。
読書をする時は、耳栓代わりに。
カフェで動画を観たい時もある。
無い生活を過ごして、また新たな気持ちでモノと向き合う。
今度は支配する側に。