2006.09.20: バンコク(ワット・プラケオ)
2006年9月20日 ワット・プラケオ
マイクロバスを降りると曇り空の下、白い塀の中で金色の尖塔が目をひいた。白い塀で囲まれた一帯は1782年に建設された王宮で、国王の宮殿、即位式場、王室守護寺院(これがエメラルド寺院)、宮内庁をはじめとする官庁が収まっている。内部はとにかく豪華絢爛、それでも品があるのが不思議だ。雨が降ったり止んだりする中の見学となった。
入口を入ると直ぐ左手、青々とした芝生の上に金色の尖塔を手前に並ぶ三つの塔が目に飛び込んで来る。金色の尖塔から左奥にプラ・スィー・ラッタナ・チェーディー、プラ・モンドップ、プラサ-ト・プラテープ・ビドーン(ロイヤル・パンテオン)。 三つ並ぶ塔の右側に見えるのがエメラルド仏寺院本堂の屋根。
チケット売り場の前を左に曲がると欧風建物に挟まれた石畳の通路で正面にエメラルド仏寺院本堂が見える。突き当たりがワット・プラケオへの入口。入口で各国語別の王宮ガイドブックを無料でもらうことができる。もちろん日本語版もあった。
入口の門を入るとジッとこちらを見ている小さな像の視線にぶつかる。薬効著しい霊薬を調合すると言われている仙人(ルーシー)だ。仙人の両側にチラリと写っているのは向かって右がチャクリー王朝に捧げられた仏像を祀ったホー・プラ・ラチャポンサーヌサーン、左が歴代アユタヤ国王に捧げられた仏像を祀ったホー・プラ・ラッチャコラマーヌソーン、タイ語はどれも舌を咬みそうだ。
仙人の視線を受けて左手に進む。ここまで来ると豪華絢爛な建物群に囲まれる。階段の上、左側に尖塔の一つプラ・モンドップが見える。
石段を上り三つの塔の周りを巡る。
プラ・スィー・ラッタナ・チェーディーは曇り空の下でも豪華に輝いている。近くでよく見ると小さな金色のタイルがきっちりと張り込まれている。この塔の真横に立つと圧倒的な金色で異空間に入った気分になる。
プラ・スィー・ラッタナ・チェーディーの前に柵で囲まれ、周囲を象が守護するブッサボック(小さな祠)がある。
三つの尖塔の真向かいがエメラルド寺院(ワット・プラケオ)と呼ばれる由縁になったエメラルド仏が祀られている本堂、履物を脱いで壇に上り本堂に入る。本堂内は撮影禁止で写真がないが、周囲には壁画が描かれ正面高い位置にエメラルド仏が安置されている。この本尊はエメラルド仏と言われているが実際は翡翠製だとガイドブックにあった。
ワット・プラケオは周囲を赤い屋根のついた回廊で囲まれている。その回廊の出入り口は両手で刀を突いている大きな鬼の像が守っている。彼らはインドの一大叙事詩「ラーマーヤナ」のタイ版「ラーマキエン」に登場する鬼で人肉を好む、とこれもガイドブックの受け売り。
プラサ-ト・プラテープ・ビドーンの出入口階段前には黄金の半人半獣像(ヤック)が立つ。
プラ・モンドップの裏に回ると周囲の豪華絢爛な建物群の中に穴が空いたような色褪せた一角がある。アンコール・ワットの精巧なレプリカだ。十九世紀の末、当時のラーマ四世がクメールの大寺院に感動して作らせたものだ。
プラサ-ト・プラテープ・ビドーン(ロイヤル・パンテオン)はその名の通り王室専用のお堂だが、その壇の両端に一基ずつ四角錐状の金色の仏塔がある。この寺院内で最も古い仏塔でラーマ一世が両親に捧げたプラ・スワンナ・チェディだ。「ラーマキエン」に登場する悪魔と猿神がその台座を支えている。
プラ・モンドップの北正面で三つの尖塔が載る壇を降りた所に建つ端正な建物はウイハ-ン・ヨート。ファサードも屋根も塔も見事な唐磁片で装飾されている。
ワット・プラケオ周囲を囲む回廊の内壁には「ラーマキエン」が描かれており、現在も修復作業が進められている。
ワット・プラケオの外は王宮関連の建物が並ぶ。アマリン・ウイニチャイ殿は国王の誕生日など国の重要な儀式や式典を行う王室の会館。
王宮のチャックリー・マハー・プラサート殿は国王が住む所だがここに住んだのはラ-マ八世まで。現在の国王ラーマ九世はドゥシットにあるチットラダ-宮殿に住んでいる。 現在のチャックリー・マハー・プラサート殿は儀式や祭典、迎賓館として利用されている。王宮の右隣に建つのがドゥースィット・マハー・プラサート殿。ラーマ一世による創建だが1789年の火災で焼失、後に再建されている。ドゥースィット・マハー・プラサート殿の手前に見える小さな建物は国王専用の輿乗り場だったアポーン・モピ-ク館。
寺院巡りはワット・アルンとワット・プラケオの二寺で終わり。ワット・プラケオは見応えがあった。次にバスで連れていかれた場所はタイで一番大きいという貴金属店だった。