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2006.04.11:北京(崇文門大街・白家大宅門食府)

2006年4月11日 崇文門大街周辺、白家大宅門食府

朝のシャワーを浴びている時にビルさんから朝食が終わったので一足先に出かけると電話があり、午後2時に北京支社で会うことにする。8時にダイニングルームで于くんと昨日の報処理製品標準適合性検査センター(CTCITS /  Conformance Test Center for Information Technology Standards)との打合せ内容と今後の予定を確認する。
于くんは相変わらず咳が収まらないようで体調が悪そうだ。午前中の空いた時間を利用してホテル周辺を歩いてみることにする。ホテルの部屋からもその入口が見えるマーケット崇文門菜市場に入る。厚くて長いノレン状の透明ビニールの仕切りを押し分けて入るといきなり靴売り場だった。

崇文門菜市場。

靴売り場の先にはもう一つビニールノレンの仕切りがあり、その中は細い通路に沿った中国式のファーストフード売り場が並ぶ。この通路の昼時は通り抜けるのが難しいくらい若い女性から子供連れ、杖をついた老人とたくさんの客でごった返す。

靴売り場を抜けると中国ファーストフード売り場。

通路を抜けると奥は体育館のような高い天井の下に出る。そこには肉、野菜、果物、酒、菓子などが中国特有の香辛料の香りと共にあふれている。

元は体育館だったのではないかと思わせる天井。
豊富な果物が山積みで売られている。
肉は大きな固まりで売られている。念入りに品定めをする客。
入口の壁に貼られた企業紹介パネル。品質管理の国際規格ISO 9001の文字が見える。

反対側の出入り口から崇文門菜市場を出るとそこは崇文門交差点の一角だった。天気のいい時はチベットから出稼ぎに来ていると思われる人たちが路上にアクセサリーなどを並べて売っている。ひと頃の原宿で見かけたのと全く同じ光景だ。

黄色い敷物に品物を並べる物売りの人達。

家族だろうか、母親らしい女性は目が見えないようで二胡の単調な曲を弾き、父親と思われる男性は拍子木のようなもので調子をとっている。三歳くらいの女の子がその側で無邪気にお辞儀を繰り返す。この男女と幼児の三人連れの物乞いの姿はいつも同じ場所にいる。人込みを抜けてさらに進むと崇文門駅入口脇の歩道にパステル調のチョークで書かれた文字の帯が15mほど続いてる。よく見ると全ての漢字にピンイン(アルファベットの読みがな)が振ってある。
その文字の先に二十三四歳位かと思われる女性が歩道に座り込み顔をあげることも声をあげることもなく黙々と書き進んでいる。足が不自由のようだ。傍らには大きめの空き缶が一つ。

夕方同じ所を通ったら文字を水に濡らした布で消している彼女がいた。

交叉点の直ぐ脇では何が建つのか広い地域で建設工事が続いている。これも2008年の北京オリンピック目指しての再開発工事なのだろう。

車の排気か黄砂の影響かホコリっぽい上に工事が砂ボコリをたてる。
歩道に放置された大きなリール。背後は便宜坊烤鴨崇文門店。

一度ホテルに戻り1時を少し過ぎたころ于くんと一緒に遅い昼食に出る。ホテルの前にある中国版ファストフードの火鍋屋「立可立/LiCoLi Hot Pot」に入る。先客に徳利で酒を飲んでいる人がいたので同じものを頼んでみる。中国の白酒だ。 美味しいので元の酒瓶を見せてもらうとなんと台湾の酒だった。

立可立は台湾から進出してきた火鍋のフランチャイズ店。

食後、北京事務所まで地下鉄に乗る。地下鉄の車内で手提げの付いたペーパーバッグを差し出してお金を無心する四十になるかならないかという男性に出会う。彼が近くに来て右腕が肘の上から無いことに気づいた。これ見よがしに右腕だけ袖をむしり取ったシャツを着ている。不思議なことに手提げ袋にお金を入れるのは若い人たちばかりだ。それも一人二人ではない、それほど混雑している電車ではなかったが一つの車両でお金を入れる人が10人はいただろう。
事務所で I 社北京事務所の楊さんに電話をして今夜7時に『白家大宅門食府(Baijia Daizhaimen Shifu)』で逢うことになった。新婚ほやほやの楊さんに奥さんの同行をお願いする。こちらも道案内役をお願いして吴迪さんを同行することになった。事務所での用事も済んだので一度ホテルに戻り6時過ぎに于くん、吴迪さんと一緒に『白家大宅門食府』に向かう。復興門駅で乗り換え公主墳駅で下車。外はひどく冷え込んでいる。タクシーが客待をしているような場所ではなかったが、運良く少し離れたところで客を下ろしたばかりらしいタクシーを捉まえることができた。
北京市海淀区蘇州街15号にある『白家大宅門食府』の入り口で寒い中、楊さんが遅れて到着した私達を待っていてくれた。

白家大宅門の表門。

ネオンで派手に彩られた門を入り、清時代の服装をして大きな赤い提灯を下げた女性に案内され、暗い中を30mほど進むと中門がある。中門の前に二列に並んだこれも清時代の服装をした従業員の出迎えを受ける。出迎えの列の間を通る時に深々と頭を下げながら大きな声で挨拶をされる。楊さんにも于くんにも吴迪さんにも彼らが何といっているのか分らないという清時代の言葉で『幸運を祈ります』と言って迎えてくれているのだと後で案内嬢が教えてくれた。

中門の前で清時代の服装と言葉で出迎を受けた。

中門をくぐるとそこはライトアップされた庭園であちらこちらに散在する建物がそれぞれレストランになっている。この庭園は清朝の礼親王の住宅だったもの。康煕帝の時代に清朝の初代皇帝奴尓哈赤(ヌルハチ)の二番目の息子礼親王の子孫によってに建てられたと白家大宅門でもらってきたパンフレットにある。その建物をニ年前に改装してレストランにしたと楊さんから聞く。料理も清時代の宮廷料理で従業員は全員清時代の伝統衣装を着ている。

夜なので庭園全体の様子が分らないがずいぶん広いようだ。

案内されたのは庭の中で一番大きな建物でメインレストランだ。内部は日光の陽明門のようだ。皇帝色の黄色をベースにした内装と原色の伝統衣装を身につけた女性達が華やかな雰囲気を盛り上げている。ほんのさわりだが京劇の実演もあった。

女性達が踊る後ろは皇帝の座か大きな黄色い椅子だ。
間近で見せてくれた京劇はさわりだけ。
華やかで豪華な伝統衣装の女性達が世話をしてくれた。

トイレは建物の外にあり席担当の女性が大きな赤い提灯を持って案内してくれた。外は東京の真冬並みの寒さだった。トイレから出ると案内してくれた彼女が寒さの中、外で待っていたのには驚いた。

全員が皇帝気分。

食後はタクシーでホテルまで戻る。タクシーの窓越しに雪が風にあおられて舞っている。寒いわけだ。

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