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『同志少女よ、敵を撃て』
2022本屋大賞受賞作!
ということで店頭にずらっと並んでおりました。
にしてもなんだいこのタイトルは。
タイトルにしても絵にしても。あまり惹かれはしなかった、というよりマイナスの興味が湧きました。が。
二日間没頭。はい、読み応え。
もう止まりませんったら。
デビュー作?でこんなもの書けるもんなの?
逢坂冬馬さん、何者?
題名から邪推したのはシンプルな英雄譚でした。
平凡な少女が困難を乗り越えて英雄になる、とか。
ところがどっこい、
人間が生きてました。ええ、間違いなく物語の中に生きておりました。
それも、何人もの生々しい人間が。
人という複雑な生き物を、ここまで素朴に形容できるものなのか?
迫り来る現実が目の前にあるような展開。
それぞれの悲痛な想い。耐え抜くことの厳しさ。人間の強さと脆さ。
そうして、彼女が最後に得るもの。
戦争という凄惨なモノをただ単に否定するでもなく、こう
「これを見てお前は何を語る?」
と突きつけられた感じ。
まさかの場面で飛び出す、タイトル。
もうなんか伏線回収とかそんなレベルじゃなくて。
ここに落ちるのか。うん。そうだよね。
読後は、少しの安堵と…なんでしょう。興奮かな。
すごい。すごいわこの人。
リアルであるからこそ、憎い現実を直視する羽目にもなるのですが。
女性と男性、それぞれ何を思うのかな。男性もこの少女たちに感情移入できるもんなんでしょうか。
459, 460, 461ページがなんか嬉しくて何度も読みました。
作家の文体が好きなのかな?理路整然とした中に一つカオスを投げ込んでくるような。
シンプルだが複雑で、リアルだがフィクションな世界観。
あっぱれです。