見仏記 9 2-6
十時半過ぎにバスが宇都宮駅に着くと、早くも二分後にはまた朝と同じタクシー乗り場にいた。
車に乗って、住所を言い、場所を検索してもらう。
大関観音、というのが次の目的地だった。
二十分ほど行くと、新興住宅街の中に迷い込み、あたりの人を呼び止めて聞いてもらってもなお、大関観音に関係する寺は出てこなかった。まさかそんなところに寺社があるはずもないといった、民家と公園しかない場所だった。
「キツネにつままれたか」
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