見仏記 9 2-2
鎌倉らしい、山を見事に切り崩した切り通しなど見ながら、あじさいの余韻がまだわずかにある細道を行くと、約束の時刻より十五分ほど早く佛日庵に着いた。円覚寺の塔頭(たっちゅう)寺院(独立寺院)のひとつである。
待つつもりだったが、境内右側の寺務所で若い女性が受け付けてくれ、玄関から中に招じてくださると、ご住職は奥の部屋で短パンを履き替えるところだった。申し訳ない。
やがてカジュアルで明るいご住職によって、我々はご本尊、岩座の上の蓮華に乗った地蔵菩薩坐像を見せていただき、目が半眼より開いて鋭いことに仏殿での宝冠釈迦を思い出した。裾が両側に垂れていることもあり、いかにも鎌倉スタイルである。
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