インサイドセールスは数か質か
こんにちは、LayerXのmj (@MJ_LayerX)です。
バクラク事業部でインサイドセールス(以降IS)のマネージャーとして活動しています。最近はプロダクトが増えたり、お問い合わせをいただく機会が増えたり、SFA乗り換えを検討したりして、テンテコマイです。
さて、今回は深淵の問いに触れちゃいます。
ISでは各自がプロフェッショナルとして、時にはシビアな判断も含め、実行するチームを目指しています。その中でも永遠のテーマになりそうなこちら。
ちなみにバクラク事業部では”質”の向上からIS活動をスタートしました。
理由は下記の通りです。
すでに多数のご提案機会を頂戴していた
当社が提供できる解決策とフィットしない課題をお持ちの方も一定数いた
しかし、「これはあっていたのかしら?」と今更ながら感じる時があります。そこで今回は、インサイドセールスが意識すべき”数”や”質”について考えてみたいと思います。
こんな人に読んでほしい
主にレベニューマネジメントに携わる方から、私の考えていることにリアクションをいただきたいです。
SaaS企業でTHE MODELを意識した活動をしているという前提で以降の内容をお読みいただけると嬉しいです。
※THE MODELについて知りたい方はこちらをご覧ください。
インサイドセールスとは
まずはLayerXが定義するISを示したいと思います。
こちらもご覧ください!
『商談セットだけがISじゃない!』と考えているのですが、やはり主軸は”1. FSへの商談セット”でしょう。本稿では商談セットに関する活動に限定した数と質について考えてみることにします。
数と質
”数”や”質”という言葉の指すものは非常に大きく見えます。
解像度を上げるためにいくつかの”数”と”質”について言及した上で、それらの重要度に目を向けてみましょう。
数の定義
まずは数から考えてみましょう。
『THE MODEL』と画像検索するとかなり上位に表示されるこちらの画像をもとに考えてみます。
見込み顧客数(数?) × 案件化率(質?) = 案件数
とあります。それぞれの言葉はわかりやすい一方でなんだか曖昧にも見えます。試しに私がなんとなく書き出しただけでもこれくらいの見込顧客数、案件数(とそれらに付随する”数”)がありました。
本稿では上記全てを”数”と定義します。
質の定義
こちらも同様に質を意識した指標を書き出してみました。今回は計算が成立するよう定量的に評価できるものだけです。
本稿では上記全てを”質”と定義します。
なんか適当な図はないかなとググったら、まんまこれだというのが出てきたので、リンクを置かせていただきます。(ここまで書いたのにw)
セールスフォース・ドットコムさん、やっぱスゲー。
既述のように”数”や”質”という言葉が指す意味はたくさんありそうです。
組織によって定義は変わるものだと思いますので、ぜひ書き出してみてください。
数か質か
さて、ここまでは”インサイドセールス”、”数”、”質”のそれぞれを定義してきました。では、本題の”数と質、どちらを重要視すべきか”という点に触れていきましょう。
私の答え、早速書いちゃいます・・・
”正解はない”と思います。
事業や組織の状況によって、その重みづけは変わるべきです。
そこで今度はどの”数”や”質”を意識すべきなのか、いくつかの例をこの2年間のLayerXのSaaS事業部門と照らし合わせながら考えてみたいと思います。
数>質だった時
黎明期:商談実施数を意識する
不明瞭なことが非常に多かったので、一定の数に触れてパターンを見つけることを意識しました。
FS一人当たりが1ヶ月で対応できる商談数、IS一人当たりがアプローチできる限界リード数など、まずはボリュームに振り切った活動をする中での気づきを求めました。
これによって、自分たちの稼働限界を知ることができました。
FS人員増強時:商談獲得数を意識する
商談数の供給より社内的需要が強い場合です。
FSが手持ち無沙汰にならないよう、見込みが薄くてもとにかく商談を作りました。結果的に、失注しやすいパターン(特に顧客属性や検討時期など)を見つけることができました。
振り返りのしやすさを意識し、2〜3の属性で切り分けできる商談を創ることをお勧めします。なお、事前にFSと成約率が低下することを握っておきましょう。
仮説検証時:商談実施数を意識する
限定的なマーケットでのPMFを目論んで、特定の条件で商談を作ります。
仮説のたしからしさを実証するためにある程度の母数が必要です。
特定条件=質の高さと捉えることもできます
新人ISの入社タイミング:行動数、決着数、商談獲得数を意識する
業務にスムーズに入っていくために、まずは慣れてもらおうとするものです。
まずは自分の限界値や課題を把握します。見つけた課題に対し、質を意識した活動に繋げていきました。
数<質だった時
IS人員増強時:有効化率を意識する
稼働増により”数”を担保しやすいので、質に注力しやすくなるタイミングです。
仮説検証の結果から発見した勝ちパターンを意識した活動などを行いました。Japan Sales Collectionでお話しした内容の元ネタです。
FS人員不足時:有効化率、成約率を意識する。掬い上げる商談が難しく、決めやすいパスが必要
商談実施数に物理的な制限がかかります。この時、売上目標は下げたくないはずです。結果的に成約率を上げることに注力します。
ISからは成約商談の傾向から導き出した”勝ちパターン”の商談を作っていく必要がありました。このため、FSとの密な連携や、特に失注商談のフィードバックを即時確認できるような仕組みを設けました。
流入リードが増加した時:有効商談化率や売上見込金額を意識する
新規の流入リードが増加すると、対応で稼働が逼迫します。このとき、意図的に人的な対応をしないリードを見極めることが重要でした。
単純に商談機会をいただくだけでなく、その後の検討状況や単価の高い商談になりやすい方を優先的に対応できるよう、あらかじめ対応優先度の判断軸を持っておきましょう。
また、ISで対応できない方とも定期的なコミュニケーションを成立させるために、対応の自動化やMKコンテンツの配信などを調整しておきましょう。
新人ISの入社タイミング:着電率・開封率・返信率、決着率を意識する。丁寧な対応と未決着で終わらない活動を心がける
数を意識した活動で限界と課題を把握できた場合のネクストステップです。
基本的には数→質→数→・・・→質→の繰り返しです。
結論:両方大事
”時と場合による”という身も蓋もない結論です。
事業や組織の状態を反映せずに、”今すべきこと=数か質か”を決めることはできません。このため、『自社・自部門・自チームの現在地を正しく捉え、次の一歩を定めることが必要である』と私は思っています。
現在地を把握するために
”次の一歩”を正しく定めるために、目標(あるべき姿)の数値と現在の実績を確認・比較する方法を持っていた方が良さそうです。特殊なデジタルツールはなくても、スプレッドシートで簡単に作れます。例えばこんな感じです。※数字はダミーです
例えば”商談化可否が判断できた見込顧客”をみると、目標件数は達成していますが通過率は未達となっています。
”これは質の改善が必要そうだ!”と思えますが、母数を増やすことで次の段階の目標数は達成できそうです。人員(稼働)に余力があれば、数で解決する方が良いかもしれません。
逆に”獲得した初回商談”をみると、目標件数も通過率も達成しています。
この場合は、次のステップに進める際の条件を厳し目に修正し、”質”の向上に挑戦してみたくなります。
逆に母数自体を増やすようにFSからISへ依頼し、”トライアル移行した商談”の数を増やすこともできそうです。(もちろんFSの稼働に余剰があればです)
このような形で、自社・自部門・自チームの状態を鑑み、”数と質”のどちらに注力すべきか判断できると良さそうです。
正のスパイラルで雪だるま式に強くなる
ちなみに、数と質のイタチごっこは正のスパイラルになっていると考えています。
チーム単位だと
毎月100件商談を創ろう!と頑張っていると、3ヶ月もすれば月間100件の商談創出するためのノウハウが出来上がっているはずです。そうすると今度は商談の質に課題を感じるでしょう。
商談件数を維持しながら有効化率を上げるには、チャネルを絞り込むべきか、担当するFSの得手不得手を勘案するべきか。方法はたくさんありそうです。
プレイヤー単位だと
毎週100リードにアプローチしよう!と頑張っていると行動は洗練され自分なりの型ができあがります。今度は決着率をあげたくなるはずです。
行動量を担保したまま決着率を上げる方法はどこにあるか一生懸命考えます。
永遠とも思える成長スパイラルにのれるIS活動、あなたはどの数・質を成長させますか?
ぜひ、熱く語りあいましょう!
ISは育成部門で終わっていいのか?
成果を得やすく短期的なPDCAを回すことのできるISは、メンバー育成に適していることは明白です。
今回は”インサイドセールスは数か質か”というテーマを通して『ISのやり込み要素半端ない!』と感じていただけたら嬉しいです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?