【短編小説】指摘
私、集中が続かない方なの。仕事でも、趣味にしたってそう。
対策として一気に全て仕上げちゃうのだけれど、それでも終わらなかった場合、よく気分転換に外出するのよ。
その日の夜もそんな感じで、何気なく外を散策していたら、目先の電柱の陰でしくしく泣いている子供を見つけたの。
周りに親らしき大人もいなかったし時間も時間だったから、心配になって声をかけたのね?
こんな時間にどうしたの?って。そうしたらその子は言うの。さがしものをしているの、って。
その時はとうに深夜帯だったから、流石に私も少しは疑ったわ。こんな時間に子供が外でさがしものをするだなんて、何か特別な事情があるのでは?ってね。
それでその子の目線になろうと屈んだところで、私は気付いた。
その子、太ももから下の脚が千切れたような形になっていて、なかったの。更にそこからは血のような液体が滴っていた。
その子供って心霊界隈では有名な、自身の脚をさがし続けていて人を驚かすのが大好きな幽霊だったのよ。それで私は、つい大声をあげてしまったの。
「気分転換に外出したからって、こっちは暇じゃないの!人の親切心を踏みにじるような真似をしてんじゃないわよ!」
そうしたらその子、音もなくその場から消えたの。それ以来、電柱陰の子供の幽霊の噂もなくなったって。
私、何か間違った指摘したかしら?
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