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【短編小説】興味がない

例えば、道端で羽休めしているカラスが何羽かいたとしよう。
それらを脇見して、お前はそいつらの個性特性を答えられないだろう?

お前に脇見されたカラス共も、お前と俺の個性や特性なんて見分けられるはずもない。

それはお前はカラスを、カラスは俺達を、個ではなく一個の種族として見ているからだ。

だから翌日、そのカラス共が一羽や二羽程減っていても、人間おれら側は気付かないだろうよ。
つまりそういうことさ。

何が言いたいかって?
そうだな。少し回りくどかったか。

すなわち、今ここでお前という人間一人減ったところで、社会も世界も秩序が崩れる訳ではないし、だーれも困らないってことだ。

だから、選べ。

お前が信じていた、裏切り者の上司の依頼でやってきた、素顔も分からない俺に殺されるか。
血腥ちなまぐさい世界に身を投じて、俺の下でどこまでも醜く生きていくか。

俺としてはどちらでも構わんがな。早いところ決めてくれたら有り難い。

でないとお前の答えを聞くより先に、お前の眉間に当てている銃口が、火ぃ吹くことになっちまう。

何分なにぶん、気が短い方なんでね。

……。
そうか。心は決まったか。

じゃあここからは、お前の望む通りに…いや。そもそも昨日までのお前は、こんな結果なんて望んじゃいないか。

今更だが言っておく。俺は、お前はおろか他人の命に興味がない。
だからこの先は、お前の出した答えに沿うだけだ。

命に興味はないが、堕ちた人間の辿る末路を見届けるのは大好きなんでね。

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