ニトリの人生

自分は誰なんですか?と聞き回ることほどダサいことはない。就活の他己分析なんてくそくらえだ。他人がどう思ってるかより自分がどうしたいかで人生決めていけよ。

うちにはアナログ壁時計が二つある。どちらも親が昔から使っている時計らしい。

自分が一人暮らしをしたら壁時計を買うだろうか。時計を捨てる機会なんてなかなかないから、一人暮らしで最初に買う壁時計が俺とずっと一緒に時間を刻むものになる。たやすく、ニトリなんかの壁時計を買ってしまうと、ニトリの人生になってしまう。

お値段以上だから、それはそれでいいのかもしれない。ただ、おじいさんになってから、『大きなのっぽのニトリの時計、おじいさんの時計~♪』と歌われるのは嫌だ。修飾する言葉として「ニトリ」が一番いらない。ましてや、『ニトリのお値段以上の時計~♪』なんて歌われてしまったら、恥ずかしすぎる。確かに2000円で50年使えるのはお値段以上だねと納得はするが。

こんな感じでものを買う時には捨てることを最初に考えてしまう。
友達の誕生日プレゼントをグループで買うことになり、選ぶ人として東急ハンズをうろうろしていたら、ガリレオ温度計があった。ガリレオ温度計にしようと考えて、次に出てきた考えは『捨てるのめんどいか、』だった。色がついたよくわからない液体が入ってるものは、燃えないゴミで捨てていいのか?流石にマシンガンズ滝沢のTwitterでもガリレオ温度計の捨て方は紹介されてないだろう。

そう考えるとお値段以上のものを買えば、捨てることを考えなくていいのだから、生活の周りの品はニトリで全部揃えてしまえばいいのかもしれない。

でも、ニトリの人生でいいのか?

そもそもお値段以上の働きなんてしたくない。働きに見合ったお値段をつけろよ。商品に対して、その商品の働き以下のお値段をつけているニトリはそろそろ労基法違反で捕まるんじゃないか。

そんでもって安い人生は嫌だろう。そりゃみんなが平等、公平な人生を持つ社会がいいに決まってるが、人生交換機をドラえもんもしくは藤子・F・不二雄がこの世にもってきてしまったら、人生の高い、安いは決まってしまう。そんな資本主義に嫌気がさして革命を起こすナポレオンが出てくるかもしれないが、資本主義の今の概念で考えたら、確実に人生の貴賤は存在する。

そうなったら、ニトリの人生は嫌だろう。せめて匠大塚くらいの人生ではいたいだろう。もっと上を目指したいが。

そんなことを考えているのに、他者から、お前の性格はスリーコインズだよとか言われたら嫌だろう?なんなんだよ他己分析って。他者にお前はスリーコインズだ、フライングタイガーだ、東急ハンズだとか言われても、認めないじゃん。俺はカインズなんかに買収されないって思うじゃん。意味ないよ。自分はIKEAだと信じてやまない留学帰りの大学生の方がまだ可愛いよ。自分の人生は自分で決めるよ。

だからニトリのインターンは出さないことにした。

この文章を、ニトリでバイトをしている小学校の同級生が見ないことを願う。

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