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大切なことはすべて枕草子が教えてくれた

ヒプノシスマイク(通称ヒプマイ)がバトルシーズンを迎え、Fling Posse推しの私は麻天狼推しから接触されただけで「もしかして喧嘩を売られてる……?」とピリピリする毎日だ。

キャラを推す「推し活」はいかにも近年になって流行ってきた現代的なムーブに思われがちだが、既に千年前から存在した。

かの有名な清少納言の「枕草子」の中にも物語の登場人物の優劣を巡って意見を競わせるエピソードが出てくる。

議題にあがったのは「宇津保物語」。
恥ずかしながら通読したことはないが、あらすじからして随分とファンタジックで、現代のラノベや漫画に近い娯楽作品だったようだ。

古典文学や古典芸能に触れると「昔の人たちは高尚だったのだな」とうっかり誤解しそうになるが、現在の古典は当時の最先端。
漢詩だって「白楽天のリリック超エモい」と洋楽感覚で楽しんでいたに違いないのだ。

清少納言の漢文知識の甘さにブチ切れてる紫式部だって、ニワカに激怒する古参ヲタの姿そのものではないか。

つまり人間は、ある程度の平和な環境とある一定の文化水準を備えるとオタク化するという証左だと思う。

平安の女流文学者を大雑把にカテゴライズすると、清少納言はライトオタク、紫式部は創作オタ(シャッター前サークル)菅原孝標の女は夢女子といったところか。

なぜ和泉式部や藤原道綱の母は入れないかというと、彼女たちにはオタク臭が希薄だからだ。
執筆の動機も自分語りであるところが大きい。
オタクというのは、どちらかと言えば自分の話より推しの話をしたがる人種だ※個人の感想です
一分でも一秒でも長く萌えについて語っていたい。
ちなみに清少納言は宮仕えで出会ったイケメンたち、紫式部は同僚の美女に萌え萌えしてたようで、わざわざ詳細に書き残している。

「枕草子」も「更級日記」もそういうオタ活を振り返って書かれたオタク女子のエッセイとも読めなくもない。
聖地巡礼とか場面再現とか、現代のオタクがやっていることはほぼやっている。唯一やっていないのは推しの誕生日会くらいか?(当時は数え年で新年に一斉に年をとるから)

ともあれ、そうした漢籍オタ、物語オタの大先輩に敬意を表しつつ、来週のFling Posse VS MAD TRIGGER CREWに備えようと思う。

今回の参考文献↓
『枕草子のたくらみ「春はあけぼの」に秘められた思い』
https://booklive.jp/product/index/title_id/554061/vol_no/001?utm_source=social&utm_medium=social&utm_content=product-finish-reading-after_reading&utm_campaign=sns-ml

『枕草子 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典』
https://booklive.jp/product/index/title_id/141049/vol_no/006?utm_source=social&utm_medium=social&utm_content=product-finish-reading-after_reading&utm_campaign=sns-ml

『更級日記 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典』
https://booklive.jp/product/index/title_id/141049/vol_no/009?utm_source=social&utm_medium=social&utm_content=product-finish-reading-after_reading&utm_campaign=sns-ml

『堤中納言物語・うつほ物語』
https://booklive.jp/product/index/title_id/179374/vol_no/001?utm_source=social&utm_medium=social&utm_content=product-finish-reading-after_reading&utm_campaign=sns-ml


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