北風の終わりの国

毒親とか貧困とか精神疾患とか、人生の何もかもが嫌になって逃げ出した先のドミトリーで、不思議な漫画に出逢った。
このドミトリー漫泊（https://mangaarthotel.com/）は共有スペースにスタッフのセレクトした漫画が大量に置かれており、宿泊者が自由に読んでいいのが売りで、決め手はそこではなく、男女で宿泊フロアが分かれてたところなんだが（笑）結果的に本好きとしては棚ぼただった。
その作品は土田完『終わりの国のトワ』。
こんな絶望的な状況でも本を手に取らずにいられないのかと、己に呆れつつも一縷の希望を感じたのも確かだ。希死念慮はありつつも、まだ好きな物への興味関心は消えていない、大丈夫。と。
一度文明が滅び「女」が絶滅し「男」だけが存在する世界で繰り広げられるファンタジーで、主人公の少年は「女」となって兄の子を産む為に旅をする……という粗筋。女体化は好きだがオメガバースが苦手、というめんどくさい腐女子マインドに絶妙にマッチする設定である。
精神的に追い詰められていたこともあり、一巻の途中まで斜め読みした程度なのだが、男しかいない『風の谷のナウシカ』の世界に『十二国記』を足して二で割ったような感じ？
もうこれだけで、壮大なファンタジーの幕開けを予見させて、わくわくするではないか。
置かれていたのは一巻だけで、続刊はないのかな〜電子版はないのかな〜と後ろ髪を引かれつつチェックアウト後調べたら、どちらも存在しなかった（爆）
この猫も杓子も電子化するご時世に二〇一八年出版の漫画が電子書籍化してないだと……紙媒体でも続刊が出てないだと……（ちなみにnoteの試し読みのページも削除されてたな）続きが読めないんかーい！ と非常にモヤモヤする結果に終わった。
にしても、こんなニッチな漫画を選出した漫泊スタッフやりおるな（笑）
素敵な作品に出逢わせてくれてありがとう。とりあえず愛用してる電子書籍のストアにリクエストしてみる……マジで続きが気になるんじゃ。