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子どもが血球貪食症候群と再生不良性貧血に罹っている話 -整理-

もう少し全体を俯瞰しないと伝わらない

この病気に関する記事を書き始めてから9か月以上が経っていて、本数も10本を超えている。
 
元々患者数が極めて少ない、世間的にはさほど関心も高くない病気であるのをいいことに、思いついたときに好き勝手に書いていたのだが(そして今後もその予定)、さすがに時系列もバラバラ、テーマもつながりもない記事ばかりなので、ディレクターとして「もう少し伝わる形にしなければなぁ」「そもそも記事読んでいるだけでも、当事者や経験者以外は何が起こっているのかよく分からないんだよなぁ」と考えていた。
 
…というわけで、この記事で時系列を整理しておこうと思う。関連する記事についてもリンクをつけておくので、これで少しは何の話をしているのか理解できるかなぁと。 


■発症から入院初期

入院初日

  • 次女・鼻血が止まらない

  • いくつか連絡したのち、最終的には小児科総合病院へ駆け込む

  • 血液検査の結果、正常値として赤血球は20%、白血球は70%、血小板にいたっては1%(ずっと10%だと思い込んでいたのだが、改めて数値を見ると1%だった…)しかないことが判明。止血処理に加えて、輸血、点滴。そして即入院が決定する

  • なお鼻血が出たあたりから、次女は40℃以上の発熱をしている

【関連記事】
始まりの日について① -子どもの血球貪食症候群-
始まりの日について② -子どもの血球貪食症候群-
始まりの日について③ -子どもの血球貪食症候群- 

入院3日目

  • 止血処理の効果もあり出血量はかなり減っていたが、この日にようやく止血が完了する

  • この段階で疑われていた病気は主に以下

    • 再生不良性貧血

    • 免疫性血球減少症(免疫性血小板減少性紫斑病、特発性血小板減少性紫斑病)

    • 血球貪食症候群(血球貪食性リンパ組織球症)

    • 白血病

入院5日目

  • 医療体制が整い、より詳細な血液検査と1回目の骨髄検査を実施

  • 白血病細胞は見つからなかったものの、決定的な原因究明には至らず

  • ただし、輸血量に対して血液検査の数値が低すぎることから、少なくとも血球貪食症候群(自己免疫細胞が暴走して血球を食べてしまう)は発症している可能性が高いという見立て。その場合は一刻を争うため、この見立てを前提に治療を開始

【関連記事】
血液検査の数値について -子どもの血球貪食症候群-

■入院前期(状況悪化)

入院15日目〜

  • 肝臓の数値が急上昇。これまで正常値の範囲内だったものが、3倍程度に増加

  • 特にフェリチンは最大62,000以上(正常値の約500倍)に

  • 39℃〜41℃の発熱が連日続く。最大時は43℃。解熱剤を投与しても40℃を切らないことも

  • 白血球内の好中球がほとんどなくなり、リンパ球が占める

  • ただし、腎機能は正常値をキープ(ここが悪化していたら、おそらく相当危なかった)

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血液検査の数値について -子どもの血球貪食症候群-

この間、ステロイドなどの薬の量や種類を試行錯誤しているものの、思ったような効果が現れない状態が続いたり、想定外のタイミングでの発熱、副作用の発露などをしたりしており、医療チームもかなり苦戦していたことが伺える
 
また、非常に珍しい症例であることと、様々な原因を探るため、遺伝子検査・特殊な細菌感染の有無・膠原病の検査など、全国の様々な研究機関に検体を提供している 

入院20日目

  • 2回目の骨髄検査を実施

  • 血球の貪食が確認されたため、血球貪食症候群は確定

  • 症状自体は見えてきたものの、その貪食の原因はいまだ確定できず

  • いずれにせよ、症例の確定により、血球貪食症候群の治療として抗がん剤(エトポシド)の投与が決定

  • また、血球貪食症候群(血球貪食性リンパ組織球症)として、小児慢性特定疾病(子ども版の指定難病申請のような制度)の申請準備を始める

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■入院中期

入院35日目〜

  • 肝臓の数値がピークアウト。正常値には戻らないものの、入院状態としては許容範囲まで下がる

  • 発熱の頻度も徐々に減ってくる

  • 症状がやや落ち着いてきたことと長期入院が確定的となったため、院内学級に向けた準備が始まる

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入院生活と学校生活について -子どもの血球貪食症候群/番外編-

入院40日目ごろ〜

  • 抗がん剤の影響により、髪が大量に抜け始める

  • また、ステロイドの副作用による異常な食欲、感情の起伏が激しくなるなどの症状が出始める

入院50日目

  • 身体面への負担を考慮して、抗がん剤の投与を一度終了

  • 3回目の骨髄検査を実施

  • 貪食症状はまだ続いていることと、再生不良性貧血であることも確定

  • 血球の数値も改善が見られず、根本治療として造血幹細胞移植の準備が始まる

【関連記事】
造血幹細胞移植って結局何なのか① -子どもの血球貪食症候群-
造血幹細胞移植って結局何なのか② -子どもの血球貪食症候群- 

入院70日目

  • 造血幹細胞移植に向けて、家族(父・母・姉)、ドナーバンク、臍帯血バンクの適合結果が出そろい、移植に向けて今後の方針について打ち合わせ

■入院後期

入院71日目

  • 何の前触れもなく、入院してから初めて、好中球が自力で少し上昇

入院76日目〜

  • 好中球の数値がさらに増加。3日連続500個以上で、「回復傾向」とされる数値となる

  • 血小板も、前回の輸血から想定より減少量が少なく、入院してから初めて予定していた輸血をキャンセル(数日後に輸血実施) 

入院80日目

  • 血小板の数値が、初めて輸血せずに自力で増加

入院85日目

  • 4回目の骨髄検査を実施

  • 明らかに貪食が鈍くなり、自力での血球の生産・維持が機能しはじめる

  • 造血幹細胞移植はせずに様子を見ることに決まる

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入院95日目

  • 1週間ぶりに血小板の輸血を実施

  • 結果的にはこれが最後の輸血となる

入院100日目ごろ〜

  • 血小板の数値が、安定して5万以上になる(入院状態としては許容範囲。正常値は18万程度)

  • 退院に向けての準備が始まる

入院140日目ごろ

  • 退院

  • 院内学級から元いた学校へ復学

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今の子どもの状態について

現在、子どもは症状が落ち着いていて退院しており、学校も元いたところへ通い始めている。もちろん、だからと言って治っただとか終わった話だということではまったく無い。
 
毎日大量の薬を飲んでいて、その中にはステロイドなどの強いものや、血球の製造をサポートする薬(レボレード)などが含まれている。
 
学校も通い始めているとはいえ、リモートとの併用体制なので、同級生と100%同じ学習体験ができているとはいえない。
 
日常生活を取り戻しているとは言えないが、それでも投薬を怠らなければ基本的には行動制限や食事制限もないし(ごく一部の食品のみNGがあるが)、遠足などの課外活動を含めて学校行事にも参加できている。

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