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次女が退院している話 -子どもの血球貪食症候群-

タイトルの通り。謎の改善状態に突入した次女は、そのまま数値が安定して退院することになった。

※記事の更新が2か月も滞っていたのは、単純に自分の仕事が忙しかっただけで、次女の容態に何かあったわけではない。

入院する必要がなくなる

以前の記事の後も、次女の数値は改善しつづけていた。
 
その結果、造血幹細胞移植は無しになり、これまで定期的に続けていた輸血もすることなく1か月以上が経過した。まだステロイドなどの投与は続いているが、それも点滴から飲み薬に変更し、特に問題ない。
 
その結果、特に病院でしかできない治療が無くなってしまった。
というわけで、退院である(あっさり)。 

結局、根本原因も改善要因もよく分からない

退院前に、担当医と話す機会があった。
 
数字改善の要因については、投与した薬が効いてきたからということなのだが、そのタイミングがかなり独特だったらしい。
 
これまでも薬の投与に対して「思ったほどの効果が上がらない」「このタイミングで副反応が出る」など、過去の症例と比べても規則性があまりない反応をしていたようで、今回の改善も「なぜこのタイミングで急に薬が効き始めたのか、根本の理由はよく分からない」ということらしい。 

断っておくが、担当医は小児がんや血液疾患に関して非常に経験豊富な先生である。そして次女が入院していた病院もまた、小児科としては日本有数の病院。その力をもってしても、このようなふわっとした結論になってしまうのだから、やはり医療というのはまだまだ奥が深い。

症例が少ない難病と付き合うということ

そもそも今回の次女の身に起こったことは、当初から異例だった。

血球貪食症候群自体は全年齢で起こりうる病気なのだが、子ども、特に今回次女が病名としてついている血球貪食性リンパ組織球症(HLH)は、多くは1歳半までに発症するらしい。

血球貪食性リンパ組織球症(HLH)はまれである。主に生後18カ月未満の乳児が罹患する。

血球貪食性リンパ組織球症 (HLH) - 11. 血液学および腫瘍学 - MSDマニュアル プロフェッショナル版

しかし、次女はこれまでそれなりに感染症にもかかっていたのだが、特にそのような症状は現れず、7歳になって突然発症したわけで。当初から「HLHにしては発症が遅すぎる、かなり珍しい症例」という話も伺っていた。

それに、血液検査の数値の深刻さに対して、見た目含めてやたら状態が安定していて、我々からしたら検査の数値から目を離した瞬間に正常性バイアスが全力で襲いかかってくるような、とても変な感覚もあった。もっともこれに関しては、「そう見えているのは、現場の医療チームが様々な試行錯誤をしてくださっているからだろう」という想像力も働いていたが。

いずれにせよ、この病気は年間の新規発症数が100人にも満たないという情報もあるぐらい、圧倒的に症例が少ない難病。症例が少ないということはデータが蓄積されていないということで、分かっていないことや予測不能なことが頻発するのは仕方がないのだろう。むしろ、これだけ状況をコントロールできていることに感謝したい。

完治ではなく在宅治療である

この病気は、小児慢性特定疾病という子ども版の指定難病のような制度の対象で、要は「治療期間が長くなるから、国が医療費を補助する」と認定された疾病。

そのため、退院したといっても治療は続いている。

次女は、毎日ステロイドを含む相当数の薬を飲んでいて、学校に通常どおりに通える状態からはほど遠い(そもそも今は夏休みだが)。

ステロイドによる副作用で骨密度が低く、骨折のリスクが高い。眼圧も放っておくと高くなるため、それを抑える目薬も複数用意されている。一方で、ではリスクがあるからと動かないのは、それはそれで体力不足を引き起こし、自己免疫機能がいつまで経っても改善されず、なんなら今度は糖尿病のリスクが出てくる。

担当医からも「やってはいけないことはほとんどないので、なるべく体を動かして体力をつけてね」と言われている。そりゃそうだ。

幸いにも状態は安定していて、ここからは薬の量を徐々に減らしていく作業に入っていくことになる。順調に行けば、年末ぐらいまでにステロイドの服用を終わらせることができるというが、再発リスクも多い病気なので、慎重に見極めていく必要があるとのこと。

なんにせよ、次女の病気は次のフェーズへと入っていくことになった。

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