2024年2月京都府議会代表質問
戦争国家づくりの危険性強める「土地利用規制法」の区域指定に反対を
【水谷議員】まず、京都での日米一体の軍拡についてです。 イスラエルによるジェノサイド、ロシアによる国際法違反の軍事侵攻など、世界で連続する惨劇 に、耐え難い悲しみと怒りを禁じ得ません。今、世界中の人たちが戦争のない世界を希求してい ます。「抑止力」という軍事力と軍事同盟の強化が世界中で戦争をひき起こしています。 安保3文書の閣議決定から1年。我が国の戦争国家づくりの危険性がいよいよ明らかになってい ます。軍事費は2年間で 2.5 兆円増額し8兆円に。その中身も長射程ミサイルのさらなる配備、 量産となっています。2024 年度政府予算で、祝園分屯地に火薬庫8棟、整備場などの建設費 102 億円、舞鶴に火薬庫3棟増設の調査費2億円を計上しました。先日「舞鶴弾薬整備補給所」を見 て、数百メーターのところにお住まいの方にお話を伺いました。「近隣住民には、弾薬庫計画も 土地利用法区域指定のことも何も知らさず、基地機能を強化していくとは、まるで戦前のようだ」 と強く憤って、お話しなさっておられました。知事は「我が国の安全保障につきましては国の専 権事項であり、国において国民に対する丁寧な説明と適切な判断がなされるべきもの」と繰り返 しておられますが、説明もないし不適切な判断ではないでしょうか。
そこでお伺いします。国は、祝園分屯地や舞鶴の弾薬庫を陸海共用とし大増設、長射程ミサイ ル配備などを進め、米軍と一体で京都を敵基地攻撃や先制攻撃の軍事拠点にしようとしています。 知事はこれを推進すべきとお考えでしょうか。 国は、土地利用規制法による区域指定を今月中にも行なおうとしています。基地や原発などの周 囲の住民を米軍・自衛隊、国家の監視下に置き「阻害行為」や、その恐れを把握するというもの です。指定されれば、特別注視区域での不動産取引は政府に事前届出が必要になります。戦前の 軍機保護法や要塞地帯法のような戦争に向かうための法律です。特別注視区域には、米軍経ヶ岬通信所と自衛隊経ヶ岬分屯基地と舞鶴の基地群の周囲1km を指定。 注視区域として、自衛隊の宇治駐屯地、大久保駐屯地、桂駐屯地、福知山駐屯地、舞鶴の基地群、 祝園分屯地の周囲1km を指定しようとしています。府内 11 市町に及びます。区域指定にあたっ ての府と市町の意見聴取が1月にありました。
そこでお伺いします。「土地利用規制法」の区域指定について、国が関係住民にも区域地図を隠し、説明もしない中で、知事は国の区域指定に協力して意見聴取に応じましたが、どのような内容の回答をしたのか。また、府内で何軒の家屋や建物が対象になるのか。さらに、これらは住
民監視を前提にした区域指定にした協力したものであり、知事の意見提出を撤回し、区域指定に反対すべきですが、いかがでしょうか。
【西脇知事・答弁】防衛力の強化についてでございます。国においては令和4年 12 月に国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画の3文書を閣議決定し、防衛力の抜本的強化に取り 組まれているところであり、近畿中央防衛局からは、祝園分屯地と舞鶴地区の火薬庫整備などに かかる経費を、令和6年度政府予算案に計上していると聞いております。防衛力の強化につきま しては、我が国の安全保障に関する国の専権事項であり、国において国民に対する丁寧な説明と 適切な判断がなされるべきものと考えております。
次に「重要施設周辺および国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関 する法律」についてでございます。この法律は、防衛関係施設などの重要施設の周辺、並びに国 境離島及びその周辺の有人利用の区域内にある土地の利用状況を調査するとともに、当該土地等 が、これらの機能を阻害する行為の用に供されることを防止するための措置について定められた ものであると承知をしております。今般京都府内の防衛関係施設が区域指定の候補とされ、国か ら京都府に対して意見聴取があり、対象区域の家屋数については把握をしておりませんが、区域 の範囲にかかる地理的情報や、区域とその周辺の開発計画、開発行為の情報について回答いたし ました。防衛施設などの機能を阻害する土地等の利用の防止につきましては、我が国の安全保障 に責任を有する国の専権事項であり、国におきまして国民に対する丁寧な説明がなされるものと 考えております。
【水谷議員・指摘要望】ただいま答弁で、土地利用規制法の区域指定について、「丁寧な説明がなされるべき」ということですが、地図も示さなければ、知事も何軒の住宅が対象になっているのかも答弁もしない、知らされていないということです。京都の基地は、自衛隊が集落の近くに多い ので、たくさんの府民の皆さんが日常的に監視されるということになってきます。そして大軍拡 が進められている。そのことを国の専権事項と繰り返しますが、命や財産が脅かされているので はないでしょうか。
そういう時に、宮津市の市制記念イベントに市長と知事連名で「ブルーインパルス展示飛行」 を国に要請されました。「ブルーインパルスの勇姿が国内外に広く発信されることは疑いない。」、 自衛隊を「広く国内外に周知する格好の機会」だとした要請です。かつて戦争の時代の「国威発揚」を想起させるものです。しかも何度も墜落などの事故を起こしているブルーインパルス展示飛行は危険であります。要請は取り消すべきだと強く指摘しておきたいと思います。
私ども日本 共産党は、戦争する国づくりを止めるため府民の皆さんと力合わせて全力をあげたいと思います。
能登半島地震の教訓を踏まえた住宅再建支援、防災計画の見直しを
【水谷議員】能登半島地震は、石川県内で死亡 241 人、現時点の避難者約1万 3 千人と甚大な被 害をもたらしています。発災から 50 日の今なお、約3万戸で断水が続いています。住宅被害は 6万棟を超し、全壊住宅は7千棟を超し、半壊も6千棟を超しています。被害規模が判明してい ない住宅も多く、大規模損壊はさらに増える見通しです。一部損壊も判明しているだけで、約2 万棟に上ります。
能登半島地震の被害は甚大ですが、現行の支援策はあまりに貧弱です。住宅再建への被災者生 活再建支援金の額を大幅に引き上げるとともに、「半壊」「一部損壊」であっても居住が困難な 住宅全てを対象にするよう国に求めるべきですが、いかがですか。
また、京都府の地域再建被災者支援者住宅支援事業について、昨年の台風 7 号による災害では、適用基準を満たなかったことについて、知事は「研究材料にする」と答弁されてきました が、対象や金額の改善はどうなっているでしょうか。御答弁ください。
過疎や高齢化が進む地域や山間地、活断層が多く存在する京都府においても、能登半島地震を 教訓とし、被害想定や避難計画など防災にかかる計画を大幅に見直すべきですが、いかがでしょうか。
さらに、個人事業主や農業者などにとっては、被災し事業ができない間の収入確保が大変大き な課題となりますが、全ての業種への休業補償、生業への支援を拡充するよう国に求めるべきで す。いかがでしょうか。
能登半島地震の教訓から、大飯・高浜原発は即時廃炉を
【水谷議員】次に原発についてです。今回の地震で、志賀原発は外部電力が一部喪失。絶縁や冷 却のための油が漏れ出し、使用済み核燃料プールのポンプが止まり、冷却が停止しました。たまたま運転停止中で温度が低かったため大事故に至らなかったのでした。また1、2号機とも設計 上の想定を超える 2828 ガルの揺れが観測されました。規制委員会に提出した資料では、想定される活断層は最大 96 kmでしたが、想定以上に活断層が動いた可能性があります。高浜原発でも 想定では、加速度 700 ガル、断層の長さ 90 kmですが、想定を超える可能性は否定できません。 原発の危険性が改めて明確になったと思います。志賀原発の避難ルートの道路は過半が寸断さ れ、避難計画の実効性がありません。
能登半島地震で被害を受けた志賀原発、柏崎刈羽原発の廃炉は当然ですが、避難路整備の達成 見込みがない中、想定以上の揺れとなった今回の状況から、現在稼働中の高浜原発は大丈夫と言 えるのでしょうか。お答ください。
PFAS への対応等、命を守る対策について
【水谷議員】有機フッ素化合物、PFAS についてです。水や油を弾き高熱に対して安定的な物質で あり、軍隊や飛行場の特殊泡消火剤、半導体などの製造、フライパンやハンバーガーの包み紙、 化粧品などに使われてきました。PFAS の内、PFOA(ピーフォア)、PFOS(ピーフォス)、PFHxS(ピ ーエフへクスエス)については人体や環境への残留性が高く、低出生体重児や腎癌などの原因に なることも明らかになっており、今は、製造や輸入が禁止されています。米国では水質の規制基 準を4ng/リットルにすることを 2023 年度末までに最終決定することになっています。世界保健機関の がん研究機関 IARC が発がん性の評価について、PFOA を「発がん性がある」に2段階引き上げ、 PFOS を「発がん性がある可能性がある」に位置づけました。このことから国の対策と基準の引き 上げが必須・緊急課題になっています。
京都における PFAS の汚染状況です。1リットルあたりの日本の暫定指針値が 50ng ですが、宇治市で、 宇治駐屯地で 870 万 ng、隣接民間井戸で 63~66ng、隣接宇治市浄水場の原水で 49ng。綾部市で 産廃処分場の放流原水で4万 9000ng、天野川で 6300ng。精華町の水道で 60ng、福知山市の水道で 75ng など、深刻な汚染が広がっています。
PFAS は自然に存在せず、半導体工場、軍や自衛隊、産業廃棄物処分場などから漏出して、地下水 や河川水を汚染しているのです。したがって汚染源を特定するためには、地下水であれば周辺の 井戸に、河川であれば上流に範囲を広げて調査することが重要で緊急を要します。
そこで伺います。PFAS の国の暫定指針値 50ng/リットルは、米国で予定されている規制値に比べ、極 めて甘く、基準強化や水道・井戸の汚染が進んでいる地域での住民の血液検査、農水産物の出荷をするための農地等・土壌、農水産物の検査の制度化を国に求めるとともに、京都府も検査を行 うべきですがいかがでしょうか。 また、水道や河川等で汚染が判明した場合は、市町村と協力し、上流や周囲の水道、河川、地下 水などをすぐに調査し、汚染源を特定し、原因者や管理者による除染を行うべきです。さらに汚 染源となった処分場や工場、自衛隊などへの立ち入り調査や指導を行うべきですが、いかがでし ょうか。
女性の低賃金対策、物価高騰を上回る賃金引き上げを公共の責任で
【水谷議員】次に、賃上げについての公共の役割発揮についてです。政府の賃上げ対策は掛け声 と「賃上げ減税」が中心です。政府の税制改正大綱でも、中小企業の多数が赤字企業で賃上げに 向けた「税制措置のインセンティブが必ずしも効かない構造となっている」と指摘しています。 2023 年の毎月勤労統計によると前年に続き実質賃金は 2.5%減でした。 来年度は、医療・介護・障害福祉3分野での報酬改定が行われケア労働の賃金が政府の責任で引 き上げられるチャンスになるはずだったのに、わずが「2.5%のベースアップ」で、物価高騰を下 回ります。
先進の自治体では、賃上げのために公共の役割を発揮しています。日経新聞 1 月 26 日付は「2023 年 10 月まで、1 年間の都道府県ごとの賃金増減率と物価変動率(いずれも前年同期比)を比べたところ、群馬県と大分県で賃金の伸びが物価上昇を上回った。中小企業の賃上げに奨励金を出すな ど、自治体も賃金の底上げを後押しする」と報じました。
群馬県は、1 年間で賃金が前年同期比 5.0%増え、物価上昇率の 4.4%を上回りました。23 年度は県 内企業の 78%強が、賃上げもしくは実施予定でした。県内の高崎市が中小企業の賃上げ率に応じた 奨励金を最大 150 万円支給する制度を始め、申請の見込みは2倍以上におよび、3億円だった予 算を2億円近く上積みされました。
大分県は物価上昇率 3.3%に対して賃金増加率が 3.7%でした。中小企業の賃上げへの奨励金制度を 21 年度に導入。時給を 80 円以上高めれば、最大 75 万円を支給する制度にしました。国の『業務 改善助成金』だけの県とは違いがくっきり出ています。
山形県は、実質賃金が 0.5%減とプラスに迫っています。県内の最低賃金は 23 年 10 月、46 円上が り 900 円、国が目安とした 39 円を上回り、上げ幅は東北6県で最も大きいものとなっています。 ちなみに京都府は中央最低賃金審議会から示された目安と同額の 40 円引き上げにとどまってい ます。知事は「オール京都で賃上げや正規雇用化が出来る環境の整備に取り組み、経済の好循環 をもたらし、地域経済の活性化につながるよう取り組む」と答弁してきましたが、実質賃下げで、 好循環はもたらされていないではないでしょうか。
京都府が、国の目安を超える最低賃金の引き上げを追加で行うべきですが、いかがですか。
【水谷議員】厚生労働省は 1 月 30 日、従業員 300 人以上の企業に勤める女性の平均賃金が男性の 69.5%にとどまるとの集計を公表しました。女性活躍推進法に基づく結果が初めて発表まとめた ものです。
令和 4 年毎月勤労統計調査によると、京都府の現金給与総額は月額男性 37 万 8354 円、女性 21 万 5871 円で、男性の賃金を 100 とした場合、女性の賃金の比率は 57.1 であり、男女賃金格差は 全国でもとりわけ深刻です。これは京都が女性の非正規労働が多いことも要因です。山形県が実 施し効果を発揮している女性の正社員化や賃上げに対する奨励金制度を創設すべきですがいかが でしょうか。また大分県などが実施し、賃上げした中小企業への奨励金制度を創設すべきですが、 いかがでしょうか。お答ください。
家族農業を支援し、生産者米価の引き上げ、戸別所得補償制度の創設を
【水谷議員】2023 年、世界は地球沸騰化の時代に突入し、地上で戦争が深刻化し、グローバル企 業の自己利益追求が食糧・農業の危機を招いています。その解決策としてフードテック、コオロ ギや人工肉・培養肉、無人農場、メガファーマー依存という対策に固執しています。これでは日 本農業と食糧の危機を乗り越えることはできません。日本の食料自給率は 38%ですが、肥料やタ ネ、生産資材の自給率を考慮すると 10%あるかないかです。肥料の原料の価格高騰と調達の危機 は深刻です。食糧安全保障という点でも、農産物の生産拡大は急務中の急務です。しかるに農家 の高齢化と農地の減少は深刻です。 稲作は日本農業の根幹です。この国では、水があるところに人が住み水田を作り集落が形成され てきました。3000 年の昔から稲作をしてきましたが忌地にもならない。田畑が衰退した地域では 国土そのものが荒れて、災害の原因にもなっています。 私の地元でも「一等米が4割ほどだった」「うちの一等米はゼロだった」「巨椋池のヒノヒカリ は特 A だったが、価格は上がらない」などと悲鳴が上がっています。
米 1 俵の生産費が 1.5 万円なのに、生産者米価は 1.2 万円。生産に必要な額と売値との差が一俵 3000 円、国が全額補填しても 3500 億円でできることです。外国の米を買わずに、米づくりを奨励 し、二毛作もしていただいて、日本人の食糧を自前で確保する安全保障を確立すべきです。
そこで伺います。生産者米価の引上げや、戸別所得補償制度の創設を国に求めるべきですがいかがでしょうか。また、京都府において、学校や福祉施設などで府内産の米や農産物を使う公共調達の仕組みを広げるべきですが、いかがでしょうか。
農山村の集落や小規模農地が多い京都においては、府が推奨している「集落連携 100 ヘクタール農業づ くり事業」よりも、家族農業、飯米農家、兼業農家を直接支援する仕組みが必要ですが、いかが でしょうか。
茶の振興、裾野を広げて消費拡大、後継者支援強化を
【水谷議員】次に、お茶についてです。1世帯あたりのリーフ茶消費量は 2006(H18)年 1095 グラム だったものが 2022(令和 4)年 701 グラムと 16 年間で 35%も落ちています。茶の消費はリーフ茶から茶飲料に置き換わっています。府統計書によれば、2017(平成 29)年と 2021(令和3)年を比 較すると、府内での煎茶の荒茶生産は4年で 39%減少し、玉露の荒茶生産は 47%減少し ています。茶の価格と消費の低迷、農家と茶園が大きく減っています。かつて商店街には茶の小 売店が一つぐらいあったが今は無くなってきています。小売がなくなれば、農家は作っても売れ ない。茶がなくなれば、小売も問屋も続けられない。農家と問屋と小売が一蓮托生の業界です。 京都の茶園は、中山間地の割合が 85%で、傾斜度 15%以上の茶園が 15%を占めており作業も改 植も大変です。
先日、ある茶農家で、息子さんが会社を辞めて家業を継ぎ4月から研究所に入るという嬉しいお 話をお聞きしました。しかし後継者支援策は十分でないと私は思いました。
そこで伺います。お茶について、海外展開などだけでなく、「急須でお茶を」と裾野を広げリーフ茶の消費拡大をはかり、また、テトラ型テーバッグなど若い人たちにリーフ茶の消費拡大を図るべきですが、いかがでしょうか。
茶工場や被覆棚の整備などの大きな投資により、てん茶に転換してきた農家の経営は厳しい状 況にあります。肥料高騰への支援策は息をつぐことができたものの、融資返済の据え置き、燃料、 電気、人件費という生産にかかるコストに対する支援制度や、改植や棚整備の支援策を拡充すべ きですがいかがでしょうか。また、後継者支援は、事業継承の条件など制約があるので、条件の 緩和や、後継者支援策を手厚くするべきですが、いかがでしょうか。
【西脇知事:答弁】住宅再建に対する支援についてです。国の被災者住宅再建支援制度につきま しては、生活の基盤を損なわれた被災者への支援制度であり、京都府内においても大規模な自然災害における被害が発生した場合に、この制度も活用しての支援を行いますととともに、国に対 し適用対象の拡充等を要望してきたところでございます。国の被災者への適用状況は被災者の生 活と生業支援のパッケージにおきまして、被災された方々の不安に応え一日も早く元の平穏な生 活を取り戻すことができるよう被災者生活支援法の適用を速やかに決定し、最大 300 万円の支援 金の迅速な支給に取り組むなどとされているところでございます。
京都府の被災者住宅支援事業につきましては、自力での再建を支援する国の制度を補完するものでございますので、運用方法について今回の国の取り組みなども新たな材料として、引き続き研究してまいりたいと考えております。
次に、防災にかかる計画の見直しについてでございます。京都府では、自然災害をはじめ、あ らゆる危機事象から府民の生命と健康、財産を守るため、地域防災計画を策定し防災対策を推進 しているところでございます。また地震対策については、地域防災計画に基づく減災目標や重点 的取り組み項目などを示した京都府戦略的地震防災対策指針を策定しております。現在の指針に つきましては、今年度に実施をしております花折断層帯地震の被害想定の見直し結果を踏まえ、 改定を行うこととしておりましたが、能登半島地震から得た教訓も踏まえて指針を改定し、地域 防災計画にも反映してまいりたいと考えております。今後とも、国や市町村、関係機関と連携し、 災害に強い郷土づくりを目指してまいりたいと考えております。
次に、被災時における個人事業者等の収入確保についてでございます。被災時に休業を余儀な くされた場合に備えあらかじめ保険に加入するなど事前の対策が重要となります。そのため商工会議所などの経営支援機関が保険会社と連携をして個人事業主を含む中小企業者に対し災害によ る休業時の損失を補償する保険制度を提供しております。また「事業者 BCP 策定セミナー」の開催などを通じて、リスクマネジメントの重要の要請について周知啓発に努めております。京都府 としても、関西広域連合等を通じて被災した中小事業者の再建支援策の充実を国に要望している ところでございます。今後新たな災害の発生などにより中小事業者の事業継続が困難の状況とな る場合には、その時々の状況を踏まえ国に対して速やかに必要な支援を求めてまいりたいと考え ております。
次に、原子力発電所の地震対策についてでございます。高浜発電所の地震対策につきましては、 平成 25 年 7 月に原子力規制委員会が策定した新しい規制基準に基づき、発電所周辺にある断層の 同時連動については、離れた3つの断層が連動する3連動とし、地震が発生する地層の深さにつ きましては、より揺れの大きい地表面に近い3km とするなどの厳しい条件のもとで最大 700 ガル の振動を想定した施設の耐震安全性が図られているものと承知をしております。京都府といたし ましては、原子力発電の運転は何よりも安全性が優先されるべきものであり、その基本認識のも とで引き続き国と関西電力に対しまして安全対策の強化を求めてまいりたいと考えております。
次に、PFAS への対応についてでございます。PFAS については検査の前提となる土壌や農作物に関する分析方法や評価方法が確立していないため、昨年の 11 月に伊藤環境大臣に対しまして、最新の科学的知見を集約し健康への影響や農作物に関する評価等を早期に明確化すること、発生源特定等の具体的な方法を示すことなどを要望したところであり、現在国において総合的な対応策が検討されております。また、府内の河川等で汚染が判明した際には、国の手引きに従い市町村 と連携して必要な水質調査を実施しますとともに、周辺の井戸水の飲用について注意喚起を徹底 し、発生源と推察される事業場に対して法的な規制はないものの、独自に聞き取りや立ち入り調 査を行い必要な対策の実施を求めているところでございます。今後とも、住民の皆さまの健康被害の防止を最優先に考え、速やかに対応してまいりたいと考えております。
次に、国の目安以上の最低賃金の引き上げについてでございます。最低賃金は法律に基づき厚生労働大臣の諮問を受けた中央最低賃金審議会が答申した改定額の目安を参考に、各地方最低賃 金審議会において公労使による十分な議論がなされ、そこで出された答申を踏まえて各都道府県 労働局長において決定されるものでございます。京都府ではこれまでから国に対して賃上げに向 けた環境整備などを要望してきており、また昨年 10 月に開催した京都労働経済活力会議におい て公労使で取り組んでいくことを確認しております。
次に、京都府独自の賃上げ支援についてでございます。労働者の生活の安定と向上を図る上で、 賃上げや安定した雇用の実現は大変重要でございます。このため、これまでから京都労働局や京 都市とともに企業の状況に応じた賃上げや非正規雇用労働者の待遇改善などを経済団体に対して 要請してまいりました。また不本意に非正規雇用で働く方を正規雇用へとつなげることが重要と 考えており、京都ジョブパークにおける就労支援やリカレント教育を通じた人材育成などの取り 組みを進め、令和5年9月までの 1 年半で 1 万 5000 人を超える正規雇用を確保しております。さ らに中小企業に対する奨励金制度でございますが、賃上げは一過性のものではなく持続的に実施 されることが重要であり、原資となる中小企業の利益を確保しながら賃金を引き上げていくこと が必要だと考えております。このため、国に対して、中小企業の賃上げに向けた支援施策の拡充 を要望いたしますとともに、京都府としても中小企業の経営安定に向けた支援や収益性を高める 生産性向上への取り組みへの支援を行ってまいりました。その結果、昨年の春闘では中小企業に おいて 8000 円以上の改定が図られております。
今後ともあらゆる施策を総動員し、オール京都で賃上げや正規雇用化ができる環境の整備に取り組み、経済の好循環をもたらし地域経済の活性化につながるようよう取り組んでまいりたいと考えております。
次に、農業への支援についてでございます。農業の持続的発展には農産物の適正な価格形成に よる所得確保が不可欠であり、国が進める「食料・農業・農村基本法」の改正の中で、生産コスト を価格に反映する仕組みつくりが検討されており、京都府といたしましても早期実現を、国に要 望しているところでございます。
京都府では稲作農家の所得確保に向けスマート技術の導入による生産性向上や高収益作物への 転換を支援いたしますとともに、府オリジナル品種「京式部」の生産拡大や京のプレミアム米コ ンテストを通じたブランド力の向上に努めているところでございます。今後とも一律の所得保障 ではなく個々の農業者に応じた経営強化を図ってまいりたいと考えております。府内産の農産物 の利用につきましては、現在、公立小中学校の給食において米のほぼ全てを府内産で賄われてい る他、約 95%の学校で京野菜などの地元の食材を利用し、食育の取り組みにつなげております。さ らに府内産農作物を利用する農産物を利用する福祉施設などを「たんとおあがり京都府産」施設 として、現在 149 施設を認定し地産地消の PR にも取り組んでおり、今後も府内産農産物のさらな る利用拡大に努めてまいります。
次に家族農業等への支援についてでございます。家族農業、飯米農家などの小規模経営体の維 持には機械や施設の共同利用による経営の効率化につながる集落営農のへの参画が重要だと考え ております。京都府では、集落営農の持続性が確保できるよう「集落連携 100 ヘクタール農場づ くり事業」に取り組んでおり、小規模経営体の経営が安定するよう支援に努めてまいります。ま た家族農業の中でも経営発展を目指す意欲のある農業者に対しては、農業改良普及センターを核 に新品種の導入や6次産業化など生産・販売の両面から伴走支援を行っております。引き続き家 族農業を支え、京都の農業・農村を守ってまいりたいと考えております。
次にお茶の消費拡大についてでございます。宇治茶の消費拡大を図るためには長い歴史と文化 に培われたブランド力や品質の高さなどの魅力を消費者や実需者に対して発信する取り組みが重 要だと考えております。京都府では将来の宇治茶ファンを育てるため、子供や若者を対象に「宇 治茶ムリエ講座」を毎年実施するとともに、文化庁移転を契機に茶道などの体験講座を府内全 小中学校で展開することとしております。今後とも、お茶の京都 DMO や茶業団体と連携しイベントや商談会などを通して宇治茶の魅力を国内外に広げ消費拡大につなげてまいりたいと考えてお ります。
次に、茶業経営の支援についてでございます。てん茶経営の安定化には被覆棚や製茶工場など、 新たな投資に見合う収益の確保が必要であり、生産コストの低減と高価格販売が重要となります。 京都府では生産対策として経営費に占める割合が高い、燃油コストの削減に向け昨年度の補正予 算により省エネ機器の導入を支援し、府内のてん茶工場の約6割で活用されております。販売対策では、味、香りともに優れた高級な宇治品種への改植支援や被覆棚整備の条件緩和などを通じ て高品質化による販売単価の向上につなげており、今後ともハード・ソフト両面から支援してまいります。
後継者支援については、国の農業次世代人材投資資金は新規就農者の初期投資を支援する制度 でありますが、親元就農であっても新規作物や新技術の導入などの新たな取り組みを行う際に活用されているところでございます。さらに親元就農時の経営改善に向け、機械や施設導入を支援 する経営発展支援事業が創設されるなど制度拡充は図られており、今後とも個々の就農者のニー ズに応じてきめ細やかに伴走支援してまいりたいと考えております。
【水谷議員・指摘及び再質問】能登支援は強めていただくよう国に強く求めていただきたいと思 います。京都府の地域再建被災者支援者住宅支援事業、これまだ研究を続けるとおっしゃってくだ さいましたけども、国がこの点で拡充をしないのであれば、今次の事態を受けて、急いで拡充を決定するべきだということは強く重ねて指摘をしておきたいと思います。志賀原発の避難計画に 関しては 16 路線 30 箇所で道路が寸断し港は8割が損壊して能登空港が使えたのは 10 日後、避難計画の実効性がなかったことが明らかで、屋内待避も住宅被害で無理だったということです。 高浜や大飯原発の避難計画が実効性がないことは明らかです。稼働を直ちにやめる。そのことが 大事です。安全優先と知事は今おっしゃいましたけどもそれであれば廃炉を求める。このことこ そ大切だということを指摘しておきたいと思います。
農業については、「100 ヘクタール農業」を推進しておられますが、目標は3年間で 10 組織 100 集落でしたけども、現在5組織 40 集落でしかありません。「100 ヘクタール農場」を連携でや ると言うんですけども、これをやるよりも現にしておられる農家に直接支援をする、このことが 大事です。自給率上げるためには、麦作でも稲作でも飯が食えるようにする。そういう仕組みに 根本から変える。このことが必要なのではないかと思います。また、受託組合への補助や支援も強化をしていただきたい。このことは要望しておきたいと思います。
お茶については、本当に今、煎茶が4年で 39%玉露が4年で 47%金額で下がっています。農家がどんどん減っているからです。これ、農家がこれ以上減れば問屋も小売業界全体が続かないと いうことがございます。後継者が育つようには、現在やってる親元就農の支援制度さらに拡充を して特段の対策をしていただく。このことを重ねて要望しておきたいと思います。
それから実質賃金が下がっている問題ですけれども、いろいろやっているとおっしゃるけれど も、京都でも実質賃金が現に下がっているわけです。これは公共の役割が果たせていない。現に様々やっているところでは、県単位で実質賃金が上がっているということです。最賃についても 40 円以下の賃上げしてるのが 18 県しかありません。京都も 40 円ですが、目安を超える引き上 げをしたのは、24 県あります。ですから国が出してる目安を超える引き上げは、現に過半のところでやってるわけですから、これを是非やっていただきたい。パートの多くの人が最賃で働い ておられます。女性賃金低い京都府。ここを改善しないと最賃を上げないと公共の役割を果たせ ないと思いますけども、現に多くのところが国の目安を超えてるんですから、この点は再度答えをいただけないでしょうか。
それから、PFAS については国に要望書を出されものは私も見ました。ただ現状では、綾部の 事業所には立ち入りされましたけども十分な施設の点検や施設の指導までできているとはあまり思えません。お聞きしますけども自衛隊などにも立ち入り調査をして汚染の土壌や地下水の調査 立ち入りを全てだと思いますが、なぜこれはできないんでしょうか。お答えいただきたいと思い ます。
【西脇知事:再答弁】最低賃金の話ですが、賃金の引き上げというのは労働者の生活の安定と向 上が図られる。それによりまして経済の好循環がもたらすということで、それがひいては、地域 経済の活性化にもつながることから、大変重要であると認識については変わりがございません。 そのため国に対しまして繰り返し賃金の引き上げに向けた環境整備などを要望してきたところで ございます。
なお、紹介がございました大分県、群馬県、山形県の取り組みにつきましては十分承知しておりますし、速攻的な効果はあると思っておりますけれども、我々としては補助金によって賃金を引き 上げていくということについては、限界もあることから持続的な引き上げができるような利益を 確保するための体力をつけていくことの支援が重要だと考えております。いずれにしても限られ た予算をできる限り有効に活用して経済の好循環がもたらすよう取り組んでまいりたいと思って おります。
それから PFAS の件でございますけれども PFAS につきましては綾部の案件については、個別のほぼ推察された原因者である事業所につきましては、国の方に対しまして、その方法についてですねご指導を受けてその必要な対策を示すことによって事業者において、改善に向けた検討を進 めておりますし、国立環境研究所の方からは当該事業所を対象に原因追求とか改善対策の検討を 個別に取り組みたいとの提案がありました。国と協力して発生源対策に取り組みたいと考えてお ります。尚、立ち入り検査の件につきましては、法律の規制等がはっきりしていないところで、 むやみに立ち入ることはできないと思っております。今回の例で立ち入りしていないところにつ きましては、周辺に井戸が無いとか飲用井戸がないということで発生源と考える事業所なども確 認されなかったことから、立ち入り調査をしていないんですが、もし立ち入り調査がもとめられ れば直ちに立ち入るよう進めてまいりたいと思っております。
【水谷議員・指摘要望】賃上げについては、再質問させていただいたのは目安を超える最賃の引 き上げを多くの県がやっているので京都府でもやるべきだと求めましたが、答弁がありませんで した。検討するよう強く要望しておきます。PFAS については、場合によっては今後立ち入りも 検討していきたいと言うことですので、いろいろな状況の変化が明らかになってくると思います ので、事業所への除染などへの対策も含めて対応していただきたい。国に対しても対策強化を引 き続き強く求めていただきたい。強く要望しておきます。
暮らしを守るため水道や公共交通に公共の役割を果たせ
【水谷議員】住民の命や暮らしを守る「公共の役割」についてです。 政府は、水道の所管を国交省に移管し下水道と一体一元化しました。そして、来年度予算では、
水道、下水道一体のウォーターPPP 事業を計上しました。これは、水道・下水道一体で、水道事業 まるごと民間大企業に委ねるもので、その条件整備のために、水道や下水道の広域化がもくろまれているものです。京都府は市町の水道を垂直統合し、官民連携という名の民間委託拡大を目指しています。広域化が技術者不足の解決にならないことは、これまで広域化を進めてきた自治体で明らかです。技術職員はますます少なくなっている事実が明らかです。命を守るための基礎自治体を支援することこそ、京都府の責任だと思います。
そこで、お伺いします。水道事業について、広域化と官民連携を同時に推進しようとしている 理由は何ですか。また、広域化が財政効率化や技術者不足解決につながる根拠は何ですか。 さらに、官民連携や PPP でなく、事業の維持拡充のための自治体水道への財政的支援強化に方針 転換するべきですが、いかがでしょうか。
次に、消防の広域化についてです。府南部で住民や当該議会にも説明も協議もなく 24 年度から消防指令センターの建設に着手し ようとしていますが、消防指令センターは通報を受け地理や道路・水利の状況を知り尽くした地 元の消防指令が具体的な体制を決め、出動命令を発する消防活動の要です。地元の消防本部が担 うべきですが、いかがでしょうか。また、広域統合でなく、人員と消防力を強化するべきですが いかがでしょうか。お答えいただきたいと思います。
公共交通の充実についてでございます。JR 西日本が 2021 年度以降、嵯峨野線、山陰線で列車本数 を間引く減便を実施した結果、地域では通学や生活に支障きたして、住民からは列車本数を増や してほしい、増やすべきだという申し出がされています。大和路線でもかなりの減便がされて、 半分になって不便になっています。奈良交通はバス路線廃止を各所で提案をし、木津川市では、 大急ぎで助成金制度を作って対応するなど対応に四苦八苦しておられます。府内各地のバス路線 でコロナによる乗客減少を契機にバス路線が縮小されましたが、今なお減便を元に戻すことがで きえていません。近鉄京都線では 1 月 10 日から府内9駅で事実上の無人化となる巡回対応にし、 3駅で時間帯配置にしたことから肢体や視覚に障害のある方々が日常生活に支障をきたし困って おられます。私どもも近鉄に無人化中止を申し入れてきました。これまで JR や近鉄バス事業者は、 不動産部門など他のセグメントの収益を含め不採算の路線を維持してきました。今、路線ごとの 収益や人材不足を理由にして、公共交通の大後退が急速に進行しています。
そこで、お伺いします。地方バスや地方鉄道の減便、廃止が次々計画されています。国は、国 鉄分割民営化によって地域鉄道を民間任せにする一方で、生産拠点の海外移転と一体で自動車道、 空港、港湾建設に巨額の予算を投じてきましたが、これらが国民の財産である鉄道網を衰退させ、 過疎化に拍車をかけてきたと言わざるを得ません。その反省に立ち、鉄道網や地方バス事業を守 り生かす公共交通政策への大転換をすべきです。運転手不足を解消するための賃金や労働条件の 抜本的な改善に公共が責任を果たすべきですが、いかがでしょうか。
また地方バスや地方鉄道への国及び自治体による支援を抜本的に強化するべきですが、いかがでしょうか。
北陸新幹線などについてです。公共交通が後退する一方で、政府と鉄道運輸機構は、敦賀・新 大阪延伸について、現行ルートで事実上の着工を強行しました。京都新聞が 12 月下旬に行った読 者アンケートで、現行ルートを支持した方はわずか 13 パーセントにすぎませんでした。京都市長 選挙候補者アンケートでは、新市長を含め、現行ルート推進を明言した方はいませんでした。環 境破壊と莫大な財政負担が想定され、利便性向上も見込めないことから、府民の合意が得られず、 環境影響評価が進まず、来年度当初の認可が見送られています。にもかかわらず、ルートも明らかにせず、現行ルートの事業推進をし京都府も残土受け入れや河川・道路との交差について協議を始めていることはあまりにも乱暴です。
そこで、お伺いします。北陸新幹線、敦賀・新大阪延伸にかかる 1000 万m³もの残土について、 京都府はどれだけ受け入れることができ、また超過分はどう取り扱うのでしょうか。また、京都 市長選挙で現行ルート推進を主張した候補がいなかったのは、推進が無理筋で住民の賛同が得ら れないからではないでしょうか。来年度当初の事業認可は無理ですが、そのような中、京都府は なぜ鉄道運輸機構に協力するのですか。ご説明いただきたいと思います。
「体育館整備、優先」という府立大学長の声にこたえよ
【水谷議員】北山エリア開発についてです。昨年 12 月 20 日の第 4 回共同体育館整備に係る意見 聴取会議の「資料」には、スポーツ施設のあり方懇話会での候補地に関する意見として、府立大 学の体育館について、目指すべき方向性として「1 万人規模のアリーナは難しいと思われるので、 府大は学生と地域が交流できるスポーツ施設を目指すべき」と記載しています。
お伺いします。第 4 回の意見聴取会議で府立大学の塚本学長が「1 万人アリーナではなく、2000 人規模の体育館が綺麗に出来上がっていくと考えている」と学生のための体育館整備優先を求め られました。知事は、この大学側の意見をどう受け止めておられますか。また、知事がいつまで も北山エリア、府立大大学内への集客施設建設にこだわっていることが老朽化した危険な大学施 設整備の足かせになっているのではないでしょうか。当初予算案には府立大学施設整備の予算が 計上されていませんが、今すぐ府立大学での集客施設計画の中止を決断し、学生体育館や耐震基 準に問題のある老朽校舎の建て替え整備を具体化すべきですが、いかがでしょうか。さらに、既 に困難であることが明らかな北山エリア開発は白紙撤回し京都市都市計画マスタープランから削 除するための京都市との協議を急ぐべきですが、いかがでしょうか。お答えいただきたいと思い ます。
【西脇知事・答弁】水道事業についてでございます。水道事業の効率化は、施設運営に係る業務 の共同処理や人材の配置の工夫などにより事業の効率化を図るものであり、有効な基盤強化策の 1 つと認識しております。また、広域化と官民連携は必ずしも同時に推進するのではなく、その導 入については市町村が主体的に判断されるものと考えております。京都府では、従来から補助金 による財政支援などにより市町村水道を支援しており、また、国に対しても補助メニューの拡大 や補助要件の緩和などの要望を行っているところでございます。京都府といたしましては、公的 責任をしっかり果たすという観点から、引き続き市町村との丁寧な意見交換を重ね、それぞれの 意向に沿った取り組みを支援してまいりたいと考えております。
次に、消防指令センターについてでございます。京都府では、外部有識者や市町村の意見も踏まえ、令和3年に改定した京都府消防体制の整備推進計画に基づき、住民サービスの向上や消防力の充実強化を図るため、指令センターの共同運用など消防の連携協力を積極的に進めており、
本年4月から亀岡以北の中北部地域で共同運用が開始されることとなっております。南部地域では、令和9年度からの運用開始を目指し、旧消防本部で協議を重ね、本年度、各地域の道路や水利など必要な情報を組み込んだ指令システムの実施設計が進められております。大規模地震などにも対応できる高機能な共同指令センターで災害情報を一元把握し、迅速で柔軟な相互応援を実現して消防力が強化されますよう、引き続き市町村とともに取り組んでまいりたいと考えております。
次に、バス、地方鉄道への支援についてでございます。地域公共交通は、地域の生活、経済活 動を支える社会資本であることから、今年度、国において社会資本整備総合交付金の基幹事業に 地域公共交通再構築事業が追加され、自治体などへの支援制度が拡充されたところでございます。 また、運転士不足へ対応するため、国において2種免許の取得要件の緩和などが進められますと ともに、人材確保にかかる経費への支援が実施されております。京都府におきましても、国と協 調し、2種免許取得など人材確保にかかる経費を支援しているところであり、引き続き、関係者 と連携しながら、国の支援制度も活用し、地域公共交通の確保に取り組んでまいりたいと考えて おります。
次に、北陸新幹線についてでございます。北陸新幹線につきましては、日本海国土軸の一部を形成いたしますとともに、大規模災害時において東海道新幹線の代替機能を果たし、関西全体の発展につながる国家プロジェクトであると認識しております。建設発生土など施工上の課題につきましては、現在、鉄道運輸機構が進めている環境影響評価や北陸新幹線事業推進調査の結果を踏まえ、国や鉄道運輸機構により今後検討されるものと考えております。北陸新幹線事業推進調査につきましては、地下水や建設発生土など施工上の課題を検討するために必要な範囲で行われる調査であり、京都府といたしましては、引き続き関係する情報の提供などを行ってまいりたいと考えております。
次に、府立大学の整備についてでございます。府立大学の共同体育館につきましては、学生利用を大前提としながら、多機能・多目的な利用について幅広くご意見を伺っているところであり、 府立大学からの意見につきましても十分に考慮しながら整備検討を進めているところでございま す。学舎整備の検討にあたりましては、老朽化や耐震性の問題の解決と合わせて、学部学科再編 に対応したものとなるよう進めるものであり、京都府公立大学法人とともに精華町などと調整を 行っているところでございます。今後とも、府立大学における学舎の耐震性能の向上や整備を実 施できるよう検討を進めますとともに、京都市とも協議を進めながら、北山エリアが今まで以上 に魅力に溢れた交流エリアとなるよう取り組んでまいりたいと考えております。
【水谷議員・再質問】知事、再度お伺いします。結局、府立大学の学生体育館改築、整備はいつ からするんですか。お答えいただきたいと思います。
【西脇知事・再答弁】水谷議員の再質問にお答えをいたします。いずれにいたしましても、府立 大学の整備につきましては、耐震性能の向上、それから先ほど言いました学部学科の再編等も合 わせて。公立大学法人とともに精華町などと調整を行っているところでありまして、いずれにし ても、耐震性能の向上、魅力溢れるキャンパスの整備を実施できるように、現在検討を進めてい るところであり、引き続き検討、調整に努めてまいりたいと考えております。
【水谷議員・指摘要望】知事、府立大学の体育館の整備は結局いつからするんですかということ は、なんかいろんなことを調整をしないとできない問題ではない問題です。直ちに整備を進めて いただくように調整を図っていただきたい、強く要望しておきたいと思います。
水道の広域化についてですが、簡易水道の公営企業会計適用が国によって強力に進められて来 年度からこれが執行に入ってきます。簡易水道への府の財政支援を拡充していただきたいと思い ます。広域化については市町村が検討していただくということですが、市町村に対して垂直統合 という形で京都府が広域化を強行せんとしている、このことについては極めて遺憾でございます。 府が市町の水道の経営と施設を統合して高齢化や人材不足は解決しないというふうに思います。 指摘しておきたいと思います。また、北陸新幹線についてもこの間の京都市長選挙で現行ルート 推進の候補は誰もいませんでした。完全に行き詰まっています。延伸は中止すべきだと再度指摘 をしておきたいと思います。
最後に、賃上げは公共の役割です。
水道広域化や民営化、民間委託の拡大が目当てで公共の役割で、安全でおいしい水を住民に提 供すべきです。老朽化した危険な学生体育館などの整備は時期は言明していません。明確にして、 急ぐべきだということです。
そして、暮らしの問題で様々な質問をさせていただきました。府民の暮らしを守るために、今、 公共の役割がどの問題でも問われているということを指摘しました。公共の役割を果たすために 方針を根本的に転換していただきたい、このことを強く要求をしまして、私の質問を終わらせて いただきます。
ご清聴いただきまして、ありがとうございました。