見出し画像

自分にはない同僚の不思議な能力

私は、英語ができない。
同僚は、私以上に英語ができない。
そんな店に、意外と外国人はやってくる。
全然、観光客向けの店ではないのよ。普通に仏具、売っているし。


2年くらい前
閉店後に南アジア系の若い男女が、店に来た。
日本語は全く使えない。ぐーぐるさんに協力してもらいながら話を聞くと、切れたブレスレットを直してほしいということだった。
できない修理ではなかったけれど、きちんと直すには材料をそろえなければならなかったし、そうなると少し日数も必要。そういう細かなやり取りができない(言語能力の問題)ので、修理は断った。けれど、大切なブレスレットだから、どうにかして直してほしいと頼まれ、通じているかどうか分からない英語で、今できる即席の修理をする旨の了解を、一応とって、その場で修理をすることにした。

私が修理をしている隣で、同僚が間をつないでくれていた。
「どこから来たの?」
「スリランカ」
「スリランカ?それはそれは、また大変なところから…」
ちょうど破産宣言の後だった。二人は留学生らしい。日本は素晴らしい国だという話を一所懸命してくれていた。

修理を終えてブレスレットを渡すと、二人はとても喜んでくれた。お金を払うと言ってくれたけれど、私としては即席の修理だったので、お金はいらないと断った。
「本当に大切なブレスレットだから、直してくれてとても感激した。だから、お金を払わせてほしい」というようなことを言っていたはず(ぐーぐるさん)。どうしたものか…と考えていると、同僚が「じゃぁ国に帰った時に、紅茶を土産に買って来てよ」と言って話をまとめてくれた。



先日
外国人観光客が来店した。いつもなら私が店に出るところ、手がはなせなかったので同僚が出てくれた。
同僚は英語ができない。相手も日本語ができない。少し手間取っているみたい…手伝いに行った方が良いのかな。

「ワン、ワン、ワン」と聞こえてきた…🐶?

しばらくして戻ってきたので、どうかした?と聞くと
「ブレスレット3つ買ってくれたから、それぞれ袋に入れた方が良いか聞こうとしたんやけど伝わらへんかったから、袋とブレスレット指しながらone one one?って言ったら通じた」
それで通じるんだ…。



今日
同僚のスマホが鳴った。
「誰やろ?」といぶかりながら「もしもし」と同僚が出た。

同僚「はい…ブレスレットの修理?…」
私(仕事の話かな…?)

話しているうちに、だんだん声のトーンが上がり、ゆっくり優しい言葉づかいに変わっていくのが分かった。相手は子供?

同僚「うん、またね。ありがとう」と言って電話を切る。
私「…仕事の話?」
同僚「ちゃうやん、前に来たスリランカ人の男の子、覚えてる?めっちゃ日本語、上手くなってたぁ~」

日本は素晴らしい国。自分の国には帰りたくなくて、ぜんぜん帰ってないから紅茶を持って行けない。でも忘れてないから。ブレスレットは今でも大切にしている。ブレスレットを見て、伝えたくて電話をした。…ということらしい。ごめん、私たちは忘れていたよ…。



同僚のスマホに時々、外国の僧侶を名乗る知らない人から電話がかかってきて喋っている。相手にとっては、どうやら日本語の練習らしい。でも隣にいて、私には殆ど聞き取れない。
「よく話、分かるね?」
「ん…二割くらいかな」それ殆ど分かってない。


悪口ではないよ。営業の仕事は、ちゃんとしていると思う。たぶん。
なんかね、こういうところ。
英語ができない私よりも英語ができないのに、なんか通じている。わりと大雑把な人付き合いをしているのに、なんか繋がっている。こういうのが結構ある。私は要件が済むとだいたい関係が切れるので、違いは何なのだろうかと思う。

「なんなの、その能力?」と聞くと、
「能力?…でも何の得にもなってない。むしろ変なのも、どんどん寄ってくるけど」
あぁたしかにそうかも…なら、いいか。
紅茶、いつか届くといいね。


最近の珠数つなぎ

精麻房の珠数

最近、仕事の記録を全然していないけれど、仕事しています。珠数つなぎしています。

今年になって初めて「精麻」というものを知り、「精麻で房つくりたい!」って私が言い始めたから、今さら同僚には言えない。コレ、結構、手間仕事です。最近、ずっとコレばかり作っています。ありがたいことに、お客様たち皆さま待ってくださっています。すみません…。


最後に、今日10月10日は珠数の日でもあるそうです。
はじめて知りました…。