アフロんからのメール
アフロんからのメール
(もうすぐおしまい…)
「もう一度聞くけど、あなたの望みはなんだったっけ?」
そう。
私の望みは
【 安心して笑っていたい 】
そして自分を幸せにしてあげたいんだ。
「だよね!なら、笑うだけでしょ?」
「もう幸せにならない理由はいらない」
「自分で不幸を探しに行かなくていい」
「ほら、もう飽きたでしょ?」
「自分で掴んだ変化を活かして?」
「彼と出逢えた事の意味に気付いて?」
立て続けに届くメールを目で追いながら生きづらかったこれまでと、そうじゃない真逆の未来を頭の中で思い描いた。
( そうね、そうだよね… )
不安や恐れ、悩み、怒り、悲しみが全くのゼロになることなんてこの先もなくて、だけど喜びも楽しみも同時に全くのゼロという訳じゃない。
人間だもの。
そういう事の全てをしっかり味わいながら、ゆったりとした余裕を持って楽しんで生きていきたいんだから、目の前の事に反応しすぎた時は1度立ち止まって視点変えたり、強制的にそこから離れる技術も学んだ。
自分に戻って本来の望みを思い出したら、偏ってる事に気づける様になってきてるのも確か。
私は、着実に一歩ずつ成長出来てる!
「でしょ?」
その思いが分かったかのようにアフロんからメールが来た。
( うん! )
また少し軽くなった感じがした。
「そうやっていつも自分に戻って?」
「私が見たい世界を選ぶの!」
( うん! )
「その世界に居られるから!」
「私が選んで望めばいいの!」
( うん! )
え?!
私?
今、アフロん「私」って送って来た?
え?!
( アフロん?「私」って?どういう事? )
「そのまんまだよ?」
( そのまんま? 「私」? )
「まぁいいから!彼と会うんでしょ?」
( はっ!忘れてた! )
「余計な事は気にしないで、とにかく楽しんで来なよ!」
( う、うん… )
𖤣𖥧𖥣。𖡼.𖤣𖥧𖡼.𖤣𖥧⚘𖤣𖥧𖥣。𖥧 𖧧𖤣𖥧𖥣。𖥧 𖧧
そうして後日、待望の彼との初対面の日を迎えた。
案の定、その数日前から突如モーレツな不安と恐怖に怯え、楽しむどころじゃなくなっていた。
けどその反面、浮足立たずに冷静に日々を送ろうとする自分もいた。
矛盾しているけど、この2つの状態を交互に味わいながら過ごしていたのだった。
そしてそれは彼も同じだった。
日が近づくにつれ様々な事が気になってしまい、ケンカとまでは言わなくても不安を口にして少しモヤモヤするやり取りがあって、そのうちお互い口数が少なくなっていた。
以前、彼とのメッセージのやり取りの中で、到着ロビーで見つけたら飛びつく!と話していたのに、私は見つけた瞬間物陰に隠れた。
目の前に来た彼の優しい瞳にキュン死しそうになる。
飛びつく事はしなかったけど、照れて肩に頭をコツんとした。
初めて会うのに初めてじゃない感じがしてホッとする。
彼の手のやわらかさが更にホッとさせてくれた。
一気に安心できた事に驚かなかった。
緊張は少ししていたし恥ずかしかったけど、それ以上に嬉しくて仕方なかった。
たった3日間だけだったのに、ずっと前から一緒にいたかのような不思議で気楽で愛しい時間だった。
片時も離れたくなくて、寝ている彼に触れては起こした。
睡眠妨害だと笑いながら、ウザいと何度も言われながら、私はひるまず彼にくっついた。
心の中で
【嬉しいね。楽しいね。幸せだね。愛しいね。】と、何度も繰り返していた3日間は、あっという間に過ぎていきすでに帰りの空港にいた。
見送らないで帰りなと言って、あっさりと搭乗口に入る彼に手を振り、送迎デッキに向かった。
帰ろうかとも思ったけど、見送る自分がどうなるのか知りたかったのと、思い出に浸りたかったのだ。
さっきまで一緒にいた場所。
おどけて突然変な踊りをする彼が可愛かったと思い出しながら、ベンチに座ってボーッと飛行機を見ていた。
また彼のいない日々が来てしまう。
そうして私はどうしたいんだろう?
彼のいる空間と、いない空間を行き来しながら辿り着きたいのはどこなんだろう?
そう考えながら彼が乗った飛行機に、私はココだよ!と言わんばかりにスマホのあかりを飛行機に向けて振った。
答えは出ていた。
………つづく。
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