ストラテラの効果と反動
躁でも鬱でもなくストラテラが完全に効いている、という状態を久しぶりに経験している。躁のときの我が人生は最高だぜっ!という感覚はないが、しかしやっぱり効いている生活は良い。
私はストラテラとはものすごく相性がよかったらしく、副作用らしい副作用はほとんどなかった。ごくごくたまーに吐かないけど仕事には集中できない程度の吐き気。20mgからじわじわ増やしてもらったのがよかったのかもしれない。
せっかくなので、自分にどんなかんじで効いたかをここにまとめておく。当方ADHD+ASD+双極Ⅱ型、一応社会人アラサーである。
ストラテラを飲んでまず感じたのは、疲れにくくなることだ。これは本当に初期、20mg時代から効果が体感できた。どのぐらい疲れにくくなるかというと、最大HPが倍になったぐらいだ。良く飲み忘れが問題になるが、自分の場合は、飲み忘れると昼頃にはしんどくなって気付く。倦怠感と疲労感、なんともいえないやる気の出なさ。今では職場に薬が置いてあるので飲み忘れても大丈夫。
そして、ある程度用量を増やすと飛躍的に仕事ができるようになった。
第一に座っていられるのがあまり苦痛でなくなった。小学校高学年以降ノートなんかほとんどとれたことのなかった私が、高校の授業50分×6時間中5.5時間は体を起こしていることもしんどかった私が、大学のゼミは途中退席常習犯だった私が、60分を越えるセミナーの間通してじっと座って話をきき、ノートをとり、必要に応じて質問などをすることができる(ただし面白いやつに限る)。やばい。
第二に、段取りがうまくなった。これまではどのタイミングやったらいいかわからなかった雑務も、大きな仕事の合間にこなすことができるようになった。そうすると、なぜか仕事が進む。鬱で薬の効果がいまいちのとき、死力を尽くして半年足掻いてもできなかったたことが、ほどほどにセーブしながら二週間ぐらいで終わったときはオーマイガーというほかなかった。なんで他の人は遊んだりしてるのにばんばん成果が出るんだろう....と不思議だったのだが、一年中この超段取り生活をしていたら成果が出ないほうがおかしい。
第三に、そんなにやりたくないことができる。私はよく漫画とかにある「嫌々会社に行く」などというシチュエーションが長年疑問だった。なんでそんなに嫌なのに動けるんだろう、と。しかし、ストラテラが効いていると、今日まじ行きたくねーなー、と思いながらなんとなく朝の支度をしてなんとなく家を出られてしまうのである。革命である。もちろん「できるけどやらない」という選択肢もあるので社会人だと嫌だけど出勤して給料をもらうか、給料を犠牲に休日を召還するかを自由に選べるようになる。これはでかい。
さて。ポンコツが薬飲んだらできる人になってハッピーエンド、かと思いきや、色々できるようになったことにより、新たな問題が発生した。ここらへんは多分、あまり言及されることがないと思うので書いておく。
まず、肉体のメンテナンスが必要になったこと。これまでもデスクワークの多い仕事だったのに腰痛肩こり眼精疲労などとは無縁の人生を送ってきたのだが(痛くなるまでじっとしてられないから)、ストラテラのおかげで遅ればせながらそういうあれこれを体験することができた。結構大変なんですね....。整体などは保険がきかないこともあるし、地味に財政を圧迫する。このことにより、ずっと健常者羨ましくて憎い..と思っていたのだが、お互い色々大変だけど頑張ろうぜ☆と思えるようになった。肩こり腰痛などはメジャーな悩みゆえに検索で引っ掛かるライフハックも玉石混淆、初心者はまだまだ迷走中である。
それから、疲労のコントロールが難しい。浮き沈みが減ったこと、キャパシティが増えたことにより、ADHD+躁鬱全開時代のように、動けるときは120%動く!というつもりでいると、一瞬で破綻する。調子のいいときほどこまめな休養を心掛けなければならない。なお、精神的にリフレッシュできるから休養日はライヴ行く!みたいなのを繰り返していると、肉体が死ぬ。脳が終了して動けないというイベントがない場合は、自分で体を動かさない日を作らないといけないことを覚えるまで、私はかなり時間がかかった。そして、疲れすぎて体調を崩したり鬱になったりした。アラサーだと同年代はとっくに卒業している境地なため、無能感が拭えない気がして大変落ち込んだ。しょうがないんだけどさ。
そもそも、ストラテラによって元気/疲れたの感覚自体が根本的に変わってしまった。疲れてない、というのはテンションが上がってて何も感じないことではないし、やらなきゃいけないことがあるのに何故か体が動かない状態はサボりではなく疲労だ。つまり、これまで「自分を鼓舞してガンガン行くべき」と思っていた状態はまさに「休み時」だったのである。
これまでの価値観をかえて、健常者がn十年かけてやってきたうまく休むためのトレーニングを、できるだけはやく(社会人生命が終了する前に)終わらせないといけないというプレッシャーは結構大きく、これは多分社会のなかでも今後大きな問題になるのではないかと思う。自分は幸い大学の障害支援室で助言を受けることができたが、支援室がなければどうなっていただろうと思うとぞっとするし、修了してからも何度かお世話になっているのは本当にありがたい。
ちなみに、私の場合は細かい短期記憶はほとんど改善されず、うっかりや忘れ物は特に減った気がしない。躁鬱の後遺症もあるのでなんともいえないが、遂行能力もあまり上がった感じはない。
あと、ネットで良く言われる「クリエイティブじゃなくなる」「発想力がへる」という問題について。
自分の場合は、飲んでいてたまにそういう状態(過剰な鎮静化)になる日があった。どのぐらい効くかは日によって違った。
効果レベル1:疲れにくくなる。そわそわはする。クリエイティブ。
効果レベル2:疲れにくくなる。そわそわせずいろんなことに集中できる。クリエイティブ。
効果レベル3:疲れにくくなる。そわそわせずいろんなことに集中できる。頭のなかがしーーんとして、感情が消える。
体重50キロ、1日75mgだったときは、レベル1:レベル2:レベル3=2:4:1ぐらいだった気がする。だいたいの感覚ですが。
今65mgに減って(他の薬もだいぶかわったので一概に用量のせいとはいえないが)この調子いい二週間でレベル3の日はまだない。
まあ、動けなくなったらクリエイティブどころではないので、多少感情のなくなる日があっても、クリエイティブかつ集中できる日がそこそこあればいいんじゃないかなと思っている。もっとも自分はぶっ飛んだアウトプットを常時求められる職業(アーティストとか)ではないのでここらへんは多分個人差があると思う。
特にオチはない。ありがとうストラテラ、これからもよろしく頼むぜ!
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