久保九段のアウトロー的ルックに痺れる

スポーツ総合誌Number初の将棋特集「藤井聡太と将棋の天才。」が、大きな話題になっていましたね。

増刷に増刷を重ねて、累計23万部を突破とか。日本中が沸いた2019年ラグビーW杯特集の累計17万部を大きく超える発行部数だそうで、異例の大ヒットとなったようです。

これまでにもNumberには、単発で棋士の記事が掲載されたことが何度かありました。中でも藤井猛九段の記事が掲載された号は私の家宝なんですが、現在はネットでも読めるようになっていますね。いい仕事するなぁ。

Number783号(2011年8月4日号) <非エリートの思考法> 藤井猛「常識を打破して頂点に立った男」

将棋は”ブレインスポーツ”とも呼ばれているので、棋士をアスリートと捉えるのも「確かに」という感じです。あと、頭使うのも長時間座っているのも、普通にフィジカル鍛えてないと無理ですよね。なのでもう棋士=アスリートで大正解です。

内容としては、藤井二冠の巻頭特集に加えて、今注目すべきプロ棋士複数名による独占インタビューが掲載。対談記事や特別エッセイなんかもあったりして、個人的には棋士の和装を支えている白瀧呉服店さんのインタビューが興味深かったです。

藤井二冠ブームの最中ながら、藤井二冠の特集に収まることなく、いろんな棋士にスポットを当てる内容になっていたので、これには幅広い将棋ファンもニッコリだったのでは。

でも、何より私を含め全将棋ファンの視線を釘付けにしたのは、久保利明九段による衝撃のグラビアです。

無造作に自転車が並ぶ路地裏に、スーツ姿で一人佇む久保九段。無精髭で軽く顎を上げ、こちらを見下ろす目には、冷たい熱が宿っています。少し乱れた髪、左手でジャケットの袖口を整えている様子は、確実に誰かぶん殴ったあとですよね。ステゴロで。

ロケ地は大阪だそうですが、歌舞伎町で脳内変換余裕です。フィルムのような色味も相まって、まるで映画のワンシーンのようなカットに仕上がっていました。

久保九段は、自粛期間中から髪を伸ばしたり髭を伸ばしたりしていたようで(あと担当の美容師を同級生の方に変えた模様)、最近イケオジ感というかチョイ悪感というかが滲み出ていると将棋ファンの間で話題になっていたのですが、このグラビアには完全に参りました。

これはもう完全に私個人の癖(へき)なんですが、アウトレイジ方面の男性ってちょっと疼くものありますよね。独特の色気を纏っているというか。ビンタされたあと抱きしめられたい的な。何かしらを激しく奪われたい的な。何かしらって何。尊厳?

あまりにも素晴らしい一枚だったので、思わずフォトグラファーの名前で検索してしまいました。倉科直弘さんという方で、Twitterのプロフに「錆びついた街の路地裏のビルや看板、貼られた印刷物等の風化した様子が好きで撮影をしています。」とあったので、この方の作品の世界観と被写体としての久保九段の相性が100点だったようです。マジでダントツ好みでした。てかNumberでこのテイストありなんですね。

棋士=アスリートという話をしましたけど、そもそも棋士=勝負師でもあるんですよね。

勝負師。

一気にヤベー感じ出ましたね。そう、元来棋士はアウトローな存在でもあるのです。勝ち負けで身銭を稼ぐとか、この上ないギャンブルじゃないですか。タイマン張って王者(ドン)を目指すとか、ある意味ものすごい武闘派ですよね。凄みが違います。

正直、私が将棋に惹かれる理由の一つは、これかもしれません。真剣勝負のひりつくようなスリル。ゾクゾクしますでしょ。インタビューの内容も含め、久保九段のグラビアからはそうした棋士の勝負師たる一面が伝わってきて、だからこそ余計に印象的だったというか、説得力があったような気がします。

そういう意味では、国民の孫こと藤井二冠も立派なアウトローになるわけですが、ルックとしてはちょっと爽やかが過ぎるでしょうか。棋士の中でも、アウトレイジなルックの方はちらほらいます(誰とはあえて言及しません)けど、今ならやっぱり久保九段がダントツ渋い気が。ご本人にそんなつもりはまるでないかもしれないですけど、しばらくはこちら方面でお願いしたいと、私の癖が叫んでいます。

現在、久保九段はタイトル挑戦者として第68期王座戦五番勝負を戦っている真っ最中です。現時点で1勝1敗。結果によっては「グラビア再び」もあるかもしれません。その日を夢見て、残りの王座戦を楽しみたいと思います。実現するなら、同じフォトグラファーさんがいいなぁ。

#趣味 #将棋 #久保利明  





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?