托卵。悪いのは誰か。
悪いのはアンタでもアイツでもない。仕事だ。会社だ。
いや、そういう空気にしてる社会全体なんだよ。
そう思った。あるドラマを見て。
来週、最終回を迎えるドラマ「わたしの宝物」について、ネット上では美羽が悪いか宏樹が悪いか、真琴が悪いか冬月が悪いか誰が悪いのか?みたいな議論がされていたけれど、私は悪いのは「宏樹の仕事および職場」「働き方」「多様性とか言いつつ多様な働き方を結局は決して許さない社会」だと思った。
いや、もちろんモラハラ夫だった宏樹も、不倫した美羽も冬月も、死を偽るという許されない勝手な事をした莉紗も、関係ないのに引っ掻き回す真琴も、みんなみんな悪い。
でも、そうなるキッカケをつくってしまったのは宏樹なんだよな。
だけど、宏樹がモラハラになるキッカケをつくってしまったのは会社。働き方。
というより、日本の仕事は「やらなくてもいい仕事」が沢山あるような気はずっとしてる。
仕事に無駄が多いのだ。もっと合理的にするべきなのに、変に古いやり方に拘って時間をかけるのが好きなご老人達がいるのだ。
もっと一日の仕事内容は減らすべきだ。定時で帰宅出来ることを悪としない雰囲気が欲しい。
一人で抱えるタイプの宏樹に、無責任な働き方をする部下と圧力をかけてくる上司。
中間管理職が辛いという構図はどこの会社も同じだろうけれど、宏樹が妻である美羽に強く出るのではなく、もう少し部下に強く出ていれば、一人で仕事を抱え込まずに済んだのではないだろうか。モラハラしていた頃の宏樹には、部下を育てる力が無かったのだろう。
だとすると、あまり子育てにも向いていないかもしれない。
それなのに、栞が生まれて宏樹も生まれ変わったかのように子煩悩になるなんて…
まぁ、ドラマなんでね。フィクションなんでね。そういう事もあるんでしょうけど。
とにかく宏樹は、自分にモラハラ要素があると認識した時点で早く働き方を見直して欲しかった。
それさえ出来ていれば、妻に托卵されるまではいかなかったんじゃないかな。
宏樹は、美羽からの子供をつくるかつくらないかの話もずっと避けていたんだ。罪は宏樹が先に犯している。
自分が痛い目みてからじゃないと、大切な宝物が近くにいつもあったと気付けないなんて愚かだよ。
でも、日本の家庭はこんな状態ばかりなんだろうな。
一日の大半を仕事に費やして死んでいく。大切な人を大切にしない。
もっと「仕事って何の為にしているんだ?」「お金って何でそんなに必要なんだ?」「お金があれば本当に豊かなのか?」「心の豊かさをもっと増やしてくれるのは大切な人達では?」などを考えて忘れないようにするべきなのだ。
人生いつ終わるか分からない。私達人間は、それをコロナ禍に嫌というほど学んだはず。いきなり人とお別れすることになる。ウイルスがうつるからと死に目にも会えなかったりした。人はいきなり死ぬ。
だから、しなくていい苦労をしている時間など一秒たりとも無いのだ。
やりたくない事ばかりに時間をかけている暇など無いのだ。
こんなに日本人は馬鹿正直に真面目に一日中働く。毎日毎日繰り返し。家庭や家族を置き去りにしても。
それなのに、手取りが何十年も変わらないなんて。労働とお金というエネルギーが上手く循環していない。
そうなると、やっぱり一番悪いのは、会社や働き方だけではなく「政治」なのかもね。