富士山の裾野に咲く花々
富士山は、その昔、草山と木山と焼山の三つに区分されていたと言われ、木の生えない森林限界より上が焼山ということになるのでしょう。
吉田口登山ルートだと六合目で一気に岩石だらけの風景となります。
ただし八合目まで行っても荒れ地に草が見えます。これは、パイオニア植物と呼ばれる地中に3メートル以上に及ぶ長い根を張り、厳しい条件でも生きていけるだけの生命力のあるオンタデ(御蓼)と呼ばれる高山性イタドリです。
イタドリは平地では高さ1.5m程にまでなりますが、高地のオンタデは数十センチ程度。若葉を揉んで傷口に貼ると止血作用があり「痛取り」が名前の由来とされています。中国語は虎杖で、根は漢方薬の原料、虎杖根。
オンタデの花は白ですが、赤いものはメイゲツソウ(明月草)と呼ばれて区別されます。
五合目付近の日の辺りの良い場所には、クルマユリが咲いていました。大きさは5cm程度の可愛い百合です。
クルマユリ(車百合)の名は、基部の葉が車状に付くことから。
ヤマホタルブクロは馬返しから五合目まで広く咲いていました。
ミヤマアキノキリンソウ(深山の秋の麒麟草)。五合目から六合目の間で
五合目付近で見たオダマキです。花は3cm程度
こんな色のものありました。オダマキ(苧環)は、イトクリソウ(糸繰草)とも呼ばれ、要は紡いだ糸を巻きつけるオダマ(苧玉)に似ていることから名付けられたとのこと。英名は、Columbine(コロンバイン)、学名はAquilegia spp.(アキレギア)。
余談ですが、コロンバインの名は、この名前は残念なことに米コロンバイン高校での銃乱射事件で有名になってしまいましたね。実はオダマキはアメリカ合衆国の国花でもある(アメリカ人自身も知らないことが殆どだが)そうです。
上手く写真に撮れませんでしたが、オダマキの右横には巴状(船のスクリューの形)に咲くトモエシオガマ(巴塩釜)の花が咲いていました
キリンソウに似た黄色い花のキオン(黄苑)
六合目で見たピンク色のフジイバラです
こうしてみると凄い棘
六合目より上は過酷な環境で植物は殆ど生えていませんが、風除けとなっていた七合目の岩場にもオンタデがしっかりと根を張っていました
ほぼ同じ場所に生えていたミヤマオトコヨモギ。名前は、葉がヨモギに似ていることから
一合目から二合目の間では、シモツケ(下野)が綺麗に咲いていました
最後は、サムネイルにもしたハクサンシャクナゲ
こんな風にぽつんと咲いていることもあれば、
これでもかと群生していることもあります。
どうでしたでしょうか?思ったよりも花が多いと思ったのではないでしょうか?
ご紹介した以外にもまだまだ植物の種類はたくさんありますので、馬返しから五合目まで歩いてみて、自分で発見してみては如何でしょうか?