独断 2022年3月

 以前に、間違った言葉遣いがさも正しい言葉のように喧伝されていることについて書いた。それがただの素人の意見ならまだしも、大手出版社の記事にも見られるので、これは問題だという私見を述べた。そして、徹底してその間違いを指摘し続けたら、さすがに上から目線の「これが正しい言葉遣いです。覚えておきましょう」などという記事はほぼなくなった。

 その代わりというか、最近は「この漢字、読めなければ恥ずかしいですよ」という類の記事がみられるようになった。どうしても上から目線で話さずにはいられないらしい。それが根拠のある正しいものであればそれはそれで良いが、間違ったことをさも正しいかのように書かれると、教育上良くないから、私は反応する。

 「これが正しい」と、今までなかったルールや誤用を押し付けようとするネット記事は、年々増え続けているように思える。新聞や書籍・雑誌などに比べて気軽に書ける分だけ責任感が薄くなっているのだろう。大出版社が、確信的に言葉の間違いをさも正しいかのように喧伝すれば、以前なら編集長のクビが飛んだだろう。今はコソコソと修正して、謝罪もなしに終わり。

 最近見た「上から目線の間違い」には、「神社のお賽銭に△△円は良くない」がある。お賽銭は「気持ち」だから、神様は「△△円はダメだ」なんてことは仰らない。また「高速道路の渋滞でハザードランプは×、ブレーキランプの点滅が◯」とかいうのも出てきた。

 どうしてこのような新しいルールを押し付けようとするのか。懲りずに続いている新しいルール「節分の恵方巻」(元は色街の遊び)を見て、思い出させられた。(続く)

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