独断 2022年4月
(承前)もちろんそこに「それで儲けよう」という意図も大きいが、「ルールの創始者になりたい」いう尊大な欲望もかなり含まれているのではないかと、私は勘繰る。
スポーツの金メダル。おそらく何千万・何億分の1人の快挙であり、普通は決して手に入らない。しかしそれが多く報道されると、何だか身近に感じ、自分にも何らかの「金メダル」が与えられてもおかしくないと錯覚するのではないか。
ルールを作る・変える・破壊することができる者を「神」という。人間ならその「神」の恩寵(カリスマCharisma)を与えられた者のみである。中国の皇帝は、自分のその地位を、自分のカリスマ性の証だとして、専制を敷いた。
もしそれが1億人に1人だとすると99.999999%の人間は凡人であり、その者たちにルールを変える資格はない。「自分はもしかしたら0.000001%の選ばれた人間かも」と思う者はおバカさんである。「宝くじの一等が当たるかも」と思っている人と同等である。バカという言い方が悪ければ、身の程知らずと言い換える。ン千万分の一など0と等しい。「いや数学的には0ではない。可能性はある」という人、数学バカです。現実には適応できません。
「努力すれば叶う」などと言っている金メダリストはナイーブな夢見る乙女だ。努力以前に、才能・資質、さらに運も与えられていることを忘れている。あなたは既に与えられた人Giftedなのに。
このGiftedという言葉が、同じく「普通の人」に対して使われ出している。GiftedはCharismaと同義語であり、何千万分の一の話である。今コラムは、だから「奢るな」というお話です。了