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「どこでもいっしょ」のお別れイベント回避方法をYahooで検索した思い出

#はじめてのインターネット
というタグがあったので、インターネット黎明期の思い出話をしたいと思う。

まだインターネットへの接続がISDNだったころだと思う。

ゲームの攻略サイト、いや、ファンサイトというべきか。
発売日に買ったゲームの攻略法が知りたくて、初めてYahooで検索して、個人が運営しているファンサイトを発見。
ゲストブックと掲示板に質問を書き込んだ。


★「どこでもいっしょ(通称“どこいつ”)」とは?

1999年7月。
ノストラダムスの大予言で、世界が滅びると言われてた月。
PlayStationで「どこでもいっしょ」というゲームが発売した。
「ポケットステーション」という液晶画面の付いた特殊なメモリーカードを使って遊ぶゲームだ。
ゲーム雑誌などを見てちょっと前から楽しみにしてて、発売日の朝にヨドバシカメラにダッシュして購入した。

シリーズがPSPになったりスマホでパズルゲームになったりしたから知ってる人もいるかも?
また、登場する猫のキャラクター「トロ」はPS3のニュースアプリに出てきたり、朝の情報番組の1コーナーに出てきたりしてたので見覚えのある人は結構いるだろう。

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猫の「トロ」をはじめとした動物たち(ポケピ)が自分の家に居候することとなり、リアルタイムの時計と連動して、実際に何日間かを一緒に過ごす。というゲームだ。
この「どこいつ」には当時のほかのゲームにはない、斬新で面白い要素が3つあった。

★1.ことばを教える

面白い点の1つ目は、「ポケピに言葉を教える」という点。
ポケピはみんなプレイヤーの事や人間の事を知りたがっており、文字入力で単語と、その意味を教えることがゲームプレイのメイン要素だった。

入力 → 「プレステ」
ポケピ「プレステって何?」
選択 → 「するコト」
ポケピ「水おかきは、プレステするの好き?」
選択 → 「すき」
ポケピ「プレステってお金持ちと関係ある?」
選択 → 「ない」
ポケピ「ふーん、ありがとう」

というようなやりとりを何度も行っていくうちに、無知だったポケピは、だんだん教えた言葉でしゃべるようになっていく。
「今度のお休みは一緒にプレステしよう?」とか言うようになるの。

専門用語で言うと「人工無脳」というものらしい。

言葉を教える気がなく、話しかけただけの時も、ポケピの方から
「水おかきは、好きな食べ物って何?」
とか聞いてきたりする。
答えると「それって胸キュン?」とか聞かれることも。

★2.お出かけする

プレステでゲームを起動するとプレイヤーの部屋の画面が表示される。
ここで「おでかけする」を選ぶことで、ポケピをポケットステーション(メモカについてる液晶)に入れて持ち運ぶことができる。
これでポケピを外に連れ出して、外でも言葉を教えたり、お話をすることができる。
なんじゃそりゃ。家でやれよ。と思うかもしれないが、これはエンディングを見るために重要で、且つ下の3つ目の要素と連動している。
覚えておいてほしい。

★3.通信でほかのプレイヤーとコミュニケーション

ポケットステーションでお出かけをすることで、他のプレイヤーと通信ができる。
ポケットステーションには、端末同士通信を行うための赤外線ポートが備わっていた。
たまごっちやデジモンのように、これで他のプレイヤーと通信ができるのだ。
通信すると以下のようなことができる

・名刺交換
プレイヤー同士、お互いのプロフィールを交換する。
プレイヤーの名刺をポケピが持って行ってくれて、相手のポケピと会って遊んだ時に交換する。という体裁になっている(これちょっと大事)

自身のプロフィール設定画面には、「携帯電話の番号」を入れる欄がある。
名刺交換をすると、基本的に携帯の番号が相手に知られてしまう。(帰宅してプレステにつながないと番号は見れないが)
ただ、オプションで「電話番号はヒミツにする」という項を選択可能。
女子と名刺交換して、わくわくしながら家に帰ってプレステにつないだら番号秘密にされてた。ってこと何回もあったな…笑

・しりとり
ポケピ同士で「覚えた言葉だけを使ってしりとりで対戦する」というミニゲームが遊べる。
文字入力はできず、教え済みの言葉だけが2択で出てくるのを選ぶような形でゲームが進行する。
ポケピが覚えられる言葉の数には限りがある(100個くらいだったかな?)ので、何を覚えさせるのが勝利への近道か?などを考えるのも楽しかった。
「あ」から「を」まで、すべての文字から始まる言葉で、すべて「る」で終わる言葉を用意するのが強かったように思う。
あと、隠語ばっかり教えていると、女子としりとりしたときにヤバい言葉を選ばざるを得なくなって焦ったりもしたw

・伝染
「伝染」というのは私が勝手につけた名前で、システム的に正式には名前がついてなかったと思うのだけど。

通信を終えると、自分が教えた言葉のいくつかが(意味なども含めて)相手のポケピに伝わる。
同時に、相手が教えている言葉のいくつかを自分のポケピが覚えてくる。
これは特別な操作ををしなくても、通信するだけで勝手に行われる。

なので「いつの間にか教えた覚えのない言葉を覚えている」という感じになる。
しかも教えてもらった言葉を日常会話に取り入れてくるので、結構びっくりする。

人工無脳は1人で遊んでると、自分が教えた言葉を教えたように話すだけなのでむなしくなることがあるが、
通信することで、それが解消できる。
AIなどのディープラーニングと思想が似てると思う(全然ディープじゃなくて通信相手1名のデータだけだけどw)

★伝染に潜む恐ろしい罠

そしてこの「伝染」にはもう一つ、恐ろしい罠が潜んでいる。
伝わるのは教えた単語だけではない。
普段の何気ないポケピとの会話のなかで選んだ選択肢などの情報が、相手ポケピにバラされるのだ。

ポケピは5体いて性格がみんな違うのだけど、5体中3体はどちらかと言うとオマセさんで
「ねえねえ、水おかきは異性の体の部位で好きな場所ってどこ?」とか
「水おかきは○○ちゃん(通信したことがある他のプレイヤー名)のこと好き?」>大好き・好き・普通・嫌い から選ぶとか
そういうことを日常的に聞いてくる。

言うまでもないがこれは誘導尋問だ。

ポケットステーションで遊んでいると、どうせ俺とこいつ(ポケピ)の1対1だし、教えちまおう。
という思想になりやすい。
ここで入力したデータが表に出ることが普段プレイしていてほとんどないことも、それに拍車をかける。

しかし通信で伝染すると…

「こないだ水おかきのトコのトロ君と遊んだ時に聞いたんだけど!
水おかきって、おっぱいが大好きなんだってさ!チョーウケル!>v<」

…みたいな会話が、相手の端末で繰り広げられてしまうのだ。(通信した翌日とかに発生したはず)
この場合「おっぱい」という単語も伝染する。

とんだ性癖晒されマシンだ。

PS版のどこいつは確か、禁止ワードフィルターがなかったので卑猥な言葉が無制限入れ放題だった。
私はそれをいいことにやばいワードを一杯教えていて、オフ会で女子と名刺交換して冷や汗かいたのを思い出す。


★そしてインターネット

このゲーム、ポケピと一緒に居られる日数には限りがあり、エンディング…すなわち「お別れ」が存在する。


※以下ネタバレを含みます※


11日目に、ポケピとのお別れが発生。
プレイヤーを嫌って出ていくのではなく、ストーリー上、ポケピの本来の目的のために旅に出る。というようなシチュエーションで。
5体いるどのポケピを選んだ場合も、必ず発生する。

10日目までたくさん遊んでいると「やっぱりもっと一緒に遊びたい」と、プレイヤーのところに戻ってくる。
前述した「お出かけ」を毎日していたかどうか?は、戻ってきてくれるかどうかのかなり重要なポイントとなる。
これまでに遊んだ頻度や長さによって、何日かの延長戦を遊ぶことができる。何日延長になるか日数は告げられない。
何日か延長戦を楽しんだ後(最長で15日目に)本当のお別れがやってきて、そこで絶対にエンディングとなる。
16日以上、同じポケピと一緒に過ごすことは絶対できない仕様となっていた。

発売から11日後、最初の別れが発生したとき。
思い入れたっぷりに(隠語の)教育をしてきた、私の超面白会話連発ポケピが「旅に出る、もう会えない」と言う。
これは困った!
どうすればこのイベントを回避できるのか?

しかし攻略本もないしどうしていいかわからない。
私は初めてインターネットで攻略法を検索した。

まだGoogleで検索するという文化が根付く前だったから、Yahooで検索した。当時は検索と言ったらYahooだった(よね?)

いまはネットで検索すると、検索結果にamazonや楽天などの「売ってるページ」ばっかりヒットするよね。

そうじゃねえよ、情報ねえのかよ!と思って2ページ目くらいまで進めるとWikipediaが出てくる。

更にページを進めて、やっと攻略ページ見つけたと思ったら広告ばっかりで中身スカスカのガワだけWikiだったりする。

何が集合知だよ死ねよみたいな気持ちになる。

…こんな感じの事が多い。気がする。個人の感想だけど。

でも当時は、検索の上部に販売ページが出てこなかった。そう言うビジネスする奴らがまだいなかったのだ。Amazon自体はもうあったかな?まだかな?くらいの頃で、他に通販サイトもあまりなかった。Wikipediaもまだ存在しなかったはず。

検索結果の1個めから、個人が運営しているファンサイト、攻略サイトがいきなりズラッと出てくる。
個人のサイトは体感的にだけど今の10倍くらい数があった。(今は死んでしまったのか、またはヒットしないだけなのか…)
あの「2ちゃんねる」もできたばっかりくらいだったと思う。

私は、検索で出てきた個人サイトのなかのいくつかのBBSに、困っている旨を書き込んだ。
同じように困っている人もたくさんいたようで、チャットルームに案内されて、同行の志とチャットで交流をした。

インターネットで知らない人とやり取りしたのは、これが最初だった。


★交流の結果

結局のところ、その時は明確な答えは得ることができなかった。
他のプレイヤーもみんな11日目で、答えを知っている人がいなかったからだ。
けど、10日目までたくさん遊んでいたおかげで戻ってきてくれて、15日目にお別れになった。
このことを私からBBSで共有したのも懐かしい思い出だ。

また、親切にいろいろ教えてくださった方々と、名刺交換会と称したオフ会で会うようになった。
知らない人といきなり飲み会するなんて…!と緊張もかなりした。
奇麗な女性の方もすごくたくさんいてビビった。
年上の方も多くて、陰キャでコミュ障だった私は、人付き合いについて凄くいろいろと教えてもらった。

そして、そこで知り合った女性と交際・結婚したのだから人生どう転ぶかわからないものだ。

「どこでもいっしょ」は最近シリーズがあんまり出てなくて、スマホで出てるパズルゲームも2021年5月でサ終になるとのことで、寂しい限りだ。

どこいつはスマートフォンにすごく適してるゲームだと思うんだ。

iPhone5くらいの頃かな?ソフトバンクだけじゃなくて3キャリアでiPhoneを利用できるようになったけど、その時に早くiPhone版のどこいつを出せよ。って思った。
ソニーさんのゲームなのでエクスペリアにプリインで…みたいになると糞だな、がたがた言ってねえでiPhoneでできるの早くくれ。女子はiPhone使うだろ。って一人で妄想したものだ。

横持ちのパズルゲーじゃなくて縦持ちで、女子と話すことが裏の目的になってる言葉遊びゲームとしての再始動をぜひしてほしいな。

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