ローマ・イタリア史⑱ ~十字軍~
1095年、西方からのイスラム勢力の脅威にさらされていたビザンツ帝国皇帝からローマ教会に支援の要請が届いた。ローマ教皇ウルバヌス2世はローマ教会の勢力を西に伸ばすための好機であるととらえ、クレルモン公会議で十字軍の派遣を宣言する。聖地エルサレムの奪回を掲げた十字軍であったが、その内実は教会や諸侯や都市の商人たちなど、さまざまな立場からの利害が錯綜する仁義なき軍事行動であった。十字軍の派遣は主要なものだけでも7回を数え、不純な動機と身勝手な大義名分を両輪とし、人々の欲望を駆動力