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湯呑茶碗

いつも使っていたひとの
手を感じる
手を温めるために
手で温めるかのように
まるで卵か雛かを抱くように
両の手でくるんでいたこと

ひとのものにさわることは
どこか後ろめたくもある
壊してしまいそうで
使うことはできない
けれども時折
ふいに手を重ねている

つくったひとの
手も感じる
そのひとの手のかたちが
透けて見えてくるようでもある
幾重もの手と手と手と手を
手で感じる

湯呑茶碗は朗らかに
どこか誇らしげに
いまも ふれる者を温める
重ねられてきた掌の熱が
よみがえるのを
淡く思ってみたりもする

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