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味噌汁対話

応答ではない しかし
どこからか立ちのぼってくる
〈こたえ〉がある
けはいのように かすかな
けれど たしかな

たとえば
味噌汁の湯気のようなものだ
母の味も 炊き出しの有難味も
涙の塩味とないまぜに啜った記憶も
同時に匂い立ってくる

あの日も生きていたし
きょうも生きていることに
答えはない
応えてくれるひともない
火を止め そうっと味噌を溶く

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