呼び声
名を呼ぶ声がする
なあに と
こたえる
呼んだだけ と
あなたは笑う
なによ まったく と
呆れながら
これでよいのだ と思う
わけもなく ただ
わが名を呼ぶひとは
ほかには もう ない
おかあさん とも
呼ばれることのない わたしは
詩に詠まれることもなく
あなたの声で
呼ばれるたびに
何者でもないまま
かけがえのない者に
還っていくと思える
こだまのように 念誦のように
呼び慣れた名を呼び返す
名を呼ぶ声がする
なあに と
こたえる
呼んだだけ と
あなたは笑う
なによ まったく と
呆れながら
これでよいのだ と思う
わけもなく ただ
わが名を呼ぶひとは
ほかには もう ない
おかあさん とも
呼ばれることのない わたしは
詩に詠まれることもなく
あなたの声で
呼ばれるたびに
何者でもないまま
かけがえのない者に
還っていくと思える
こだまのように 念誦のように
呼び慣れた名を呼び返す