短歌(2023年3月)
洗濯物干しつつ涙あふれ出す、乾かしてくれこの水分も
きみの写真毎日見ては宙を撫で 柔らかな毛並みのあのあたま
巣にこもり友らの日常垣間見るもはや雛鳥ではない我は
羽根ペンにインク吸わせてしたためるその文(ふみ)はきっと菫の匂い
届かぬとわかっていても祈る日々それが自己満足だとしても
恐竜たち戦いの末斃(たお)れゆくあの眼を知ってる 愛犬の、あの
隕石がおちて滅びゆく恐竜たち他人事(ひとごと)だとは思えなかった
きみとの想い出すくい上げる度きみの遺した色が濃くなる
きみという子がいたことを歌に詠む百年後(のち)も色褪せぬよう
きみの鼻息かと思ったその一瞬 風の姿を借りて来てくれた
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