色の意味
メディカルイラストレーターの水野です。
今回は色の意味についてのお話を。
地味だけど、手術になくてはならないものの一つにテープがあります。
血管などの組織にかけて牽引することで術野を確保し、術者がより安全、的確に手術を進めるのに大変役立つものです。
テープは多くのメーカーから販売されていて、様々な色があるんです。
今回のラフスケッチは呼吸器外科のドクターからの発注で、「カラーイラストで。」というご指定でした。
しかし、資料としていただいた術中写真を見て頭を抱えることに。
血管を牽引しているテープは赤。
術野→めっちゃ赤(当たり前ですが)
赤×赤≒テープが背景に同化
そもそもモノクロ線画であれば、このような問題は起こらないのですが、とにかく何とかテープを目立たせたい。
そこでテープの色変更をクライアント様に提案しました。
「赤じゃなくて、黄色とか目立つ色に変更したいんですが。。。」
そうお聞きしたところ、
「テープの色にも意味がありまして。
動脈は赤、静脈は青、神経は黄色にしているんですよね。
どうしても変えるのであれば、白いテープにして下さい。」
とのご返答が。
いやー、あぶない。
フィーリングで黄色にしなくてよかった。
クライアント様によると、
「色のこだわりはローカルルールみたいなところもありますが、全国の学会 などでも、やはり肺動脈は赤、肺静脈は青、神経は黄色にしている病院が多いです。
ただ、白いテープを使用している病院も結構あります。」
というのが現状のようです。
今回の場合、カラーイラストをご所望の際は、テープの色を確認して不都合があれば『意味を持たない色』に変更を提案する、という手順が正解。
このようなことは、メディカルイラストならではの事例と言えます。
自分の感性で進めてしまうと、大きく意味が変わってしまうものがあるのがこの仕事の特徴です。
些細な(と自分が感じている)ことでも、一々確認しながら進めた方が、無駄な作業を増やさないことに繋がります。
いい勉強になりました。
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