79歳父、免許返納す⑤納車と祝い酒
自動車保険の見積は、本人限定に変更できたおかげで、年間で数千円安くなった。
納車日当日、私は同行していないので、様子は分からない。
おそらく、指定の時間に中古車販売店へ今までの車で行き、自動車保険の手続きをして、新しい車の説明を受けて、新しい車を運転して帰ってきたのだろう。
その日、私は体調が悪くて、家でのんびりしていた。
午後、母からLINEが入った。
「今、中古車販売店から帰ってきました。それでQRコードを頼みたいので、よろしくおねがいします。」
ん?意味が分からない。
QRコードを頼みたいって?
日本語が足りなすぎる。
おそらく、何かの登録をスマホでやる必要があり、それをやってくれということだろう。
私は体調も機嫌も悪く、できれば出かけたくなかったのでこう返した。
私「は?家に来いということですか?急ぎですか?」
母「早い方がいいですけど」
私「QRコードを頼みたいという意味が分かりません。何をするということですか?」
母「保険料の口座振替だそうです 明日でもいいよ」
私「自動車保険のクレジットカードの登録ですか?やり方がわからなければ、販売店の保険担当に聞いてやればよいのでは?」
母「できました ありがとうございましたです ごめんなさいね」
・・・・。
おいおい!
自分でやろうともしないで、丸投げする気だったんかい!
私のことを何だと思っているのか?
言えばタダで何でもやってくれるとでも思っているのか!
何のための保険代理店なのか!
まあしかし、今回母は自分で何とかしたので、良しとしよう。
納車翌日の夕方、
私の夫が、うちにある日本酒とつまみを持って、父母の家に出かけて行った。
納車と免許返納(←まだ終わってないけど)のお祝い、ということだそうだ。
私は、引き続き体調も機嫌も良くないので、自分の家で夕飯の準備をしていた。
二時間後、しっかり酔っぱらった夫が帰ってきた。
夫いわく、父はこう言っていたそうだ。
「俺はずっと免許返納したかったんだ」
「新しい車は怖くて運転できない」
はあ?お兄ちゃんからの電話の後、あんなにすねてたのに~?
ナビ付の車がいいって言ってたのに~?
びっくりしてしまった。
まあだけど、そういうことにしたんだな、と思った。
そうやって、自分を納得させたんだな、と。
かっこつけているのだろうとも思うが。
最終的に納得しているなら、それでよかったのかなと思った。
夫が帰るとき、父母は二人そろって、外まで出てきて見送ってくれたそうだ。
きっと、二人がこっちに引っ越してきてから、一番楽しい夜だったに違いない。
ほんとに、夫には感謝しかない。
納車前に、ラストドライブとして、父の運転で近くのイオンへ行ったそうだ。
それがなぜか、目的のイオンではなく、同じ市の違うイオンへたどり着いたらしい。
最後まで何やってんだか・・・