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「ご注文はうさぎですか?」最新話の感想まとめ(まんがタイムきららMAX2024年10月号)

「すべてが、かわいい」のキャッチコピーでおなじみの、「ご注文はうさぎですか?」。本記事は、ごちうさ最新話の感想をまとめていきます。

内容の都合上、本誌のネタバレを含む文章となっています。未読の方は、あらかじめ本編に目を通してから読んでください。リアルタイムで成長していくココアたちの物語を、一緒に追いかけましょう!

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【MAX表紙】

まんがタイムきららMAX2024年10月号

千夜シャロが普段のイメージよりも大人っぽくて、驚きました。二人とも、なんかいつもと雰囲気がだいぶ違って見えますね。千夜の方は近所のお洒落なお姉さんっぽい感じ。対するシャロは、モダンガールな貴婦人を思わせる格好です。おそろいの花柄ピアスも、大人っぽい。高校生にしては少し大人びている気がします。時期的には大学一年生の夏あたりでしょうか。

都会の大学に行ったシャロが、夏休みを利用して、木組みの街に帰ってきた。都会の出来事を共有したり、逆にかつての思い出話に花を咲かせたりと、話題は尽きません。二人で過ごすかけがえのない時間がありありと想像できます。千夜の顔が何だか本当に嬉しそうに見えるんですよね。久しぶりに幼なじみが帰ってきたから嬉しいのかな、と思ったり。光を当てて千夜の表情をより明るくしているのも、Koi先生の見せたい部分がそこにあるからではないでしょうか。

嬉しげな千夜。光の効果で、より明るく見える

光を当てれば、必然的にシャロの側には影が落ちます。これも、彼女の照れや気恥ずかしさが入り交じった複雑な表情を絶妙に引き立てていると思います。毎度ながら、Koi先生は光の使い方が本当にうまい…。

困り顔のシャロは、影によって逆に表情が際立つ

白い花弁の黄色い花は、千夜シャロといえばカモミールでしょう。ただ、カモミールって、実は近縁種が結構あるみたいです。筆者も初めて知ったんですが、下記のサイトで紹介されている花だけでも4つあります。中でも特にカモミールとそっくりなのは、マトリカリア。この外見がカモミールのそれとかなり似ているんですよ。つまり、花はカモミールではなく、マトリカリアの可能性もあるわけです。そして、マトリカリアの花言葉は「集う喜び」。

左:マトリカリア 右:カモミール。花弁の枚数や黄色い部分に若干の違いはあるが、見た目はほぼ一緒。
マトリカリアの花言葉は「集う喜び」「楽しむ」

都会の大学に行ったシャロが、夏休みを利用して、木組みの街に帰ってきた。久しぶりに会えた二人の嬉しさを象徴する花として、マトリカリアはぴったりだと思います。

もちろん、これは想像に想像を重ねている説です。なので、本当に花の正体がマトリカリアなのかどうかは分かりません。ですが、想像の余地がある部分は自分なりに解釈の幅を広げていく方が楽しいと思います。

ちなみに二人の髪留めを見ると、緑色がおそろいですね。緑の色言葉には、「平和」や「癒やし」などがあります。部屋に観葉植物があると、何となく落ち着きますよね。緑がもたらす癒やし効果が色言葉となっているようです。幼なじみと一緒で、二人とも安心しているのかもしれません。

【扉絵】

まんがタイムきららMAX2024年10月号

さまざまな解釈ができるMAX表紙とは対照的に、扉絵の方はもうストレートです。天使ココアにねっとりと絡み付く、悪魔の狩手結良。これ自体がまるで一枚の宗教画であるかのごとく、隅々まで完成されています。本編を読んだ方なら、このあたりはおそらく合点がいくでしょう。彼女をただひたすらに悪の存在として描こうとする強い意思を感じます。

扉絵を見た時点では、まだ救いがあったんですけどね…。二人の衣装がハロウィンの仮装を示している可能性も十分あったからです。しかし、そんな淡い期待は、無情にも打ち砕かれました。ココアはともかく、肝心のユラはハロウィンに全く興味がなく…。最後の最後まで、とうとう悪魔の仮装をするシーンはありませんでした。ユラに関しては扉絵の姿は仮装などでは決してなく、ただ純粋に彼女の悪魔的側面を描き出していたわけですね。

そういうわけで今月の扉絵は筆者の中で若干トラウマになりつつあります。しかし、イラスト自体の完成度が高いのは間違いありません。白と紫のコントラストで、不安をかき立てる色調。それに、ユラの姿はよく見ると、アスモデウスじゃないですか。先月号のシャロによれば、アスモデウスは「怒り」の悪魔です。

まんがタイムきららMAX2024年9月号

狩手結良がココアにどれほど根深い嫉妬を抱えているのかは、本編の通りです。ユラの中にある激情はもはや嫉妬の類いではなく、怒りにも似た感情なのかもしれません。

ブルアカファンの間では、ココアの頭にヘイローらしき光のオブジェクトが乗っていて話題になってますね。

ココアの頭にラビットハウスのロゴ型ヘイローが見られる。Koi先生、ひょっとしてブルアカ民なのか…?

【ストーリー】

謎のゲームセンター。原作7巻以来の再登場となった

前回に引き続き、今月号もハロウィンのお祭りがテーマです。猫又姿のフユをはじめ、ゾンビ妖怪のマヤメグに、狼軍曹のリゼ。シスター千夜に小悪魔シャロも魅力的ではありましたが…それ以上に、モノクロページの情報量がすさまじい。まさかの展開に、SNSではすでに多くの感想や考察が出回っています。語るべき内容はたくさんあるのですが、ありすぎて正直何から話せばいいのか。さしあたって個人的に一番心配なのは、やはりココアです。異世界に飛ばされただけでなく、そもそも今のココアは精神的に不安定なはず。表面的には普段通りでも、他のあらゆる要素がココアの精神状態を物語っていてつらい…!

ココアの心情を理解するためのカギであるゴーストゲーセンは、原作7巻3話が初出です。サブタイトルは「捨て姉妹と捨てられた地の冒険」。意味深なタイトルが、ここにきて大きなメッセージ性を帯びてきました。「捨てられた地」がゴーストゲーセンを指しているのは明白です。つまり、あの不気味な施設は人の孤独感に反応して現れる怪異なのでしょう。もっとも、ゲームセンターは人を楽しませてくれる場所です。なので、あの怪異も人の弱みにつけこんで悪さをする類の妖怪ではないと思っています。むしろ、行き場のない物や人を一時的に受け入れて、あるべき場所へ帰してあげるためのモラトリアムなのかな、と。

ゲームセンター内部の様子。怪しいのは確かだが、敵意は感じられない

とはいえ、ゲーセンが現れた以上、ココアが寂しがっているのは確かです。そして、その感情がおそらくはただの孤独感ではないのも、彼女の振る舞いから伝わってきます。私見ですが、今のココアは感情の板挟みに遭ってるんですよね。

このあたりは10巻収録の球技大会が分かりやすいです。シャロがお嬢様学校の友達と仲良くしているのは嬉しいけれど、自分たちから遠い存在になってしまうのは寂しい。思い返せば、2巻の球技大会の時もそうでした。練習するからバイトを休むけど、本当は自分を引き止めてほしい。今月号のココアもまさに同じ気持ちを抱えていて、みんなが成長していくのは嬉しい。けれど、自分から離れていくのは寂しい。相反する感情の間で、どうしたらいいか分からなくなっている印象です。

原作10巻のワンシーン。嬉しいのも寂しいのも本心だから、つらい…
天使のぬいぐるみは明らかに今のココアを示している。でも表情が…

ぬいぐるみの顔が、真っ黒なんですよ。明らかに今のココアをイメージしている天使のぬいぐるみが、目だけを残して真っ黒に塗りつぶされているんです。それに、ココアの天使の羽も、塗装の下はつまり「黒」ですよね?誰にも言えない深い孤独を表す黒にも見えますし、出口のない迷路に陥った絶望を表す黒にも見えます。

だから、狩手結良がその弱みを利用してきた時は、正直目を疑いました。何やってんの!?と思いましたし、実際SNSでも困惑している意見をしばしば見かけます。確かに、アレはやりすぎでした。直前の台詞は百歩譲って悪意がなかったとしても、ココアが目に見えて動揺しているのは、ユラには分かり切っていたはずです。それをさも知らない体で「どうしちゃったの?」は、さすがにひどい。

今月号の問題シーン。これはさすがに擁護できない…!

なんだか、ユラもユラでメンタルがすごく不安定ですよね。彼女が今回の件で必要以上に責任を感じてしまわないかが心配まであります。ココアは異世界に飛ばされて、木組みの街から消えてしまいました。ユラがしっかりと謝罪の言葉をココアに伝える前に、です。いなくなったのは自分のせいだとか変な思い込みをしないといいのですが…。

謝る前に、ココアは現実世界から姿を消してしまった。

とにもかくにも、今月のごちうさを読み終えた感想としては、ココアとユラが救われてほしい。ただ、その一点に尽きます。しかし、全く希望がない状況かといえば、そうでもないです。ココアがゲームセンターの地下から迷い込んだのは、荒廃した世界。

突如として始まったリプラビ。今月は本当に情報量が多い…!

2020年のエイプリルフール企画、「Regene Play Rabbits」がついに原作に登場しました!クロラビ、ナナラビ、ごちハピが次々と採用される中での、満を持しての登場です。そのリプラビがまるでピンチヒッターと言わんばかりに、ココアを颯爽と救いに来たのだから熱い…!もちろん、現段階でそう解釈するのは早計ではあります。が、このタイミングで待望のリプラビが登場したからには、やはりココアの救済が目的なのではないでしょうか。

ただ、具体的にどんな流れでココアを救うのかは、全く予想できません。本家リプラビのストーリーを読むと、「一緒にかつての楽しいを再生していきたい」がココアの願いとなっています。原作でもこれを実現するのでしょうか?それとも、全く別のストーリーでココアの心を救うのか。今回登場したのはあくまで「World End Rabbits(以下、ワルラビ)」。厳密にはリプラビと異なります。

ココアが落ちた世界の名前は、「World End Rabbits」。

名前だけでなく、世界設定も異なる部分があるようです。たとえば、ワルラビの方は大災害が起きているのに対し、リプラビの歴史にそうした記述はありません。ココアとチノの遭遇にしても、本家とは違い、逆にチノがココアを見つける形になっています。である以上、リプラビはあくまでエイプリルフール向けの企画であって、ワルラビとは区別した方が良さそうです。チノがくれた飴玉が世界の境界すらも飛び越えて、異世界でもなおココアの手元に、お守りとして残り続ける。それが最終的にココアの心を救う力になったら素敵だな、と思いました。ちなみにこれは筆者のアイデアではなく、フォロワーさんの意見です。

肌身離さず持ち歩くと約束した飴玉。この魔法なら、きっと世界も越えられる。

なんにせよ、来月以降のごちうさがとても楽しみになってきました。登場人物の人間ドラマに感動できるだけでなく、非現実的なファンタジー世界も楽しめるのが、ごちうさの魅力です。時間を来月の19日に飛ばしたい。19日はまだか!早く続きが読みたい…!

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