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「ご注文はうさぎですか?」最新話の感想まとめ(まんがタイムきららMAX2024年11月号)

「すべてが、かわいい」のキャッチコピーでおなじみの、「ご注文はうさぎですか?」。本記事は、ごちうさ最新話の感想をまとめていきます。

内容の都合上、本誌のネタバレを含む文章となっています。未読の方は、あらかじめ本編に目を通してから読んでください。リアルタイムで成長していくココアたちの物語を、一緒に追いかけましょう!

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【MAX表紙】

まんがタイムきららMAX2024年11月号

今月号は独立創刊20周年を記念して、「ご注文はうさぎですか?」と「ぼっち・ざ・ろっく!」のコラボ表紙です。ごちうさ側からはココアが、ぼざろ側からは「ぼっち」の愛称でおなじみの後藤ひとりが登場。大人気コンテンツの主人公が並ぶ、圧巻の表紙となりました。両作品のコラボが実現したのは、今回が初めてです。10年以上の歴史を持つ「ご注文はうさぎですか?」と、新進気鋭の「ぼっち・ざ・ろっく!」。新旧両作品がこうして肩を並べているのを見ると、時代の移り変わりを感じます。ごちうさもぼざろも、いまやMAXの屋台骨と言える存在。これからも、二人三脚でMAXを引っ張っていってほしいです。

コラボそれ自体も嬉しいですが、二人のポーズもまたネタ要素が強くて笑いました。気付いた方はご存じの通り、これはいわゆる「オタクの片想いハート」と呼ばれるポーズです。この手のパロディが好きなオタクには結構な勢いで刺さっており、SNSはちょっとした大喜利状態。加えて、独立創刊10周年の表紙を振り返ると、リゼとあややが二人仲良くハートを作ってるんですよね。おそらく、ぼっちはココアと一緒にこのポーズをやりたかったのだと思います。

まんがタイムきららMAX2014年10月号

しかし、当のココアはどういうわけか、サムズアップを実行。結果、二人はコアなネットミームを再現する形になってしまいました。息が合っているのか何なのか分からない二人が面白いです。ごちうさファンとしては、なんだか「うちのココアが自由すぎてすみません…」と頭を下げたくなりますね。

ココアとぼっちがツチノコとティッピーを互いに交換しているのも、コラボならではの面白さです。20周年の節目にふさわしいイラストでした。改めまして、独立創刊20周年おめでとうございます!

【扉絵】

まんがタイムきららMAX2024年11月号

数千年という人類にとって長い時の果ての物語ーーーー築き上げた文明は、繁栄と衰退を繰り返し、今は幾度目かの再生のタイミングを迎えていた。

「Regene Play Rabbits」公式サイトから引用

2020年のエイプリルフール企画・通称「リプラビ」は、荒廃した終末世界を舞台とするファンタジーでした。先月はその異世界がようやく原作本編に登場し、読者を大いに沸かせてくれたのが記憶に新しいです。今月号はいよいよココアが、終末世界の住人たちと交流を深めます。本編に合わせて、扉絵もがっつりとリプラビ仕様ですね。

23時の告知と同時に扉絵を初めて見たときは、その桜の美しさに目を奪われました。薄桃色の花びらが風に乗って舞うさまを見ていると、どうしようもなく切なさがこみ上げます。ココアの表情も心なしか泣き笑いに見えてしまい、本編の行く先を想像して一人で勝手に苦しくなっていたりしました。しかし、今にして思えば桜は決して悲哀の象徴ではなく、むしろ「再生」を意味していたんですね。先日、改めてリプラビのサイトを遊んでみて思い出したのですが、ミニゲームの最後に必要な合言葉は「BLOOM」でした。

パスワードの入力画面。色と対応するアルファベットを並べると、「BLOOM」になる。

リプラビは確かに、ポストアポカリプスを描いた終末の物語です。ですが、そこに生きるココアたちは決して絶望はしておらず、日々の生活から自分たちなりの楽しさを見つけ出しています。リプラビが本当に伝えたかったのは、「滅びた世界にも花を咲かせる事はできる」。そんなメッセージではないでしょうか。

だからリプラビの桜とは、つまり再生の合図なんですよね。ではいったい、リプラビはココアの何を再生したのでしょうか?詳しくはストーリーの項でも触れますが、本編の内容も踏まえると、個人的には「夢」だと思います。10巻末にて、ココアは都会でパン修行をすると宣言します。しかし、本当は心のどこかに迷いが生じていました。その理由は本編の言葉にある通り、木組みの街を離れてもみんなに自分の存在を忘れてほしくなかったからです。迷いを断ち切り、寂しさを振り切ったココアは、まさに「夢の再生」です。実際、テレビアニメ3期のサブタイトル「BLOOM」には、ココアたちが夢や目標を切り開く意味があるそうです。2021年2月号のメガマガが情報ソースなので、持っている方は確認してみてください。リプラビの桜は最初から、「夢の再生」を示唆していたんです。

メガミマガジン2021年2月号より抜粋。

シンプルな扉絵ですが、それだけに桜やリプラビの印象が際立ちます。Koi先生の伝えたいメッセージはまさにここにあるのだと雄弁に物語っていると感じました。シンプルですが、奥の深いイラストです。

【ストーリー】

ココアのポケットに入っていた、小さな包み。この飴玉は…。

「Regene Play Rabbits」の公式サイトには、こうあります。「エンターテイメントと呼ばれたものの大半は、過去のものになっていた」。衰退したこの世界において、嗜好品の類は人々にとっては無縁な存在なのでしょう。ではなぜ、ココアはポケットの中に飴を持っていたのでしょうか?この世界には存在しえないオーパーツとも言える飴玉が、ココアのポケットから出てきたのはなぜか?その理由はもう言うまでもなく、チノを思うココアの気持ちが世界を越えたからだと思います。2ヵ月前のお話にて、ココアはチノがくれた飴玉をずっと大事にすると約束しました。約束は、たとえ時空を越えても、失われたりはしなかったんです。ココアの思いの強さ、そしてチノの初めての魔法もまた、世界を越える強さを持っていると気付いた時には思わず泣きました。良かったです。ココア復活の兆しがようやく見えてきましたね…!

チノがくれた、初めての魔法。ココアはこの飴玉をずっと大事にすると心に誓う。
約束は時空を越えても、失われることはなかった。

2話前のハロウィン回からどこか様子のおかしかったココア。彼女が並行世界に飛ばされてしまった時は、本当に不安でした。リプラビは「再生」の異世界ですが、それが具体的にどうココアを再起するのかは全く読めなかったんですよね。しかし、そもそも大前提として、2020年のエイプリルフールと、今回の本編ではストーリーが異なります。2020年のエイプリルフールでは、集落の仲間として新しくメンバーに加わったのはチノでした。対して今回の本編では、その立場がココアに変わっています。ストーリーに改変があったおかげでココアは余所者の扱いになり、周りがココアを誰も知らない状況が出来上がります。そして、それこそがココアの最も恐れていた事態でした。卒業したら私はみんなから忘れられてしまうんじゃないか。木組みの街を離れた後も、みんながちゃんと私の存在を覚えていてくれるかどうか。ココアは、ずっとそれが不安だったんです。チノには冷たく扱われ、リゼにはロープで拘束され、頼みの綱だったラビットハウスは跡形もなく倒壊し、残ったのは看板だけ…。目を覆いたくなる展開の数々は、苦しいほどに胸が痛みます。しかし、前半が苦しかったからこそ、ココアが自身の本音と向き合い、再起していく後半の展開はカタルシスがすごいです。イスメネ・デフレクサの花言葉は「再生」。未来を目指してともに歩いていくココアとチノの背後にひっそりとこの花が咲くの、美しいです。

イスメネ・デフレクサの花言葉の一つは、「再生」。

今回で一つはっきりしたのは、やはりココアは都会に100%行きたいわけじゃなかったんですね。もちろん、都会でパン修行をしたい気持ちに嘘はないと思います。ですが一方で、木組みの街のみんなと疎遠になるのも嫌だった。私たち読者の立場からすれば、チノたちがココアの存在を忘れるなんて絶対にありえない事です。が、こういう感情の問題って、理屈じゃどうにもならないんですよね。一度気になってしまったら、その不安は本人が気の持ちようを変えるまで、しつこく付きまといます。10巻末で、ココアは都会へパン修行に行くと宣言しました。しかし、当時のココアは、ひょっとするとまだスタートラインにすら立っていなかったのかもしれません。街を離れる不安を強い決意で乗り越えた今、ココアはようやく、本当の意味で夢のスタートラインに立ったのだと思います。だからリプラビ世界の花は、まさしく「夢の再生」なんです。花は扉絵の桜だけでなく、イスメネ・デフレクサが咲いた事自体にも意味があると思ってます。

終末世界に、花が咲く。夢を切り開く、再生の花。
「会って3秒で友達」がモットーのココアが言うと、説得力が違う。

「何度だって仲良くなってみせるよ」。作中ナンバーワンのコミュ力を持つココアがこう宣言すると、頼もしさが違いますね。

そういうわけで、今月号はココアが自身の夢に向かって再起する姿に感動しました。間違いなく、ここ最近で一番泣けるお話だったと思います。ちなみに他の見所としては、全体的にセルフオマージュが多めで楽しかったです。前半は苦しいと言いましたが、リゼの下着の一件や、「ただのココアです…」の派生系が登場したのは、サービスですね。リプラビも、ますます考察しがいのある重厚な世界になってきました。リプラビに関しては、また別の機会にnoteを書きたいです。

絞めるリゼと、絞められるココア。この二人は、異世界でもこんな調子。


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