クリーニング・ハート
清潔にするとどういう効果が得られるのか、どれほどお得なのかを考えると、面倒なお掃除や洗濯・整理整頓も楽しくなるかも知れません。
《綺麗にする習慣をつけるとどうなる?》
①スッキリいい気分になる。
イヤな気分までスッキリしてしまうこともよくあります。日頃からすることでストレスも溜めにくく。生活や心のトラブルも小さいうちに消えてしまいます。もちろん、衛生状態を良くすることはからだの健康のベースです。
②防犯効果が高い。
よく知られた話ですが、清潔な地域は犯罪や非行が激減します。荒んだ人は近寄りづらくなるという研究結果があるそうです。
綺麗なトイレはいつも綺麗。心理的にみんなが汚しづらくなるからです。
汚れた場所では、
「これくらい、いいだろう」という心理が働きやすく、そういう人は悪さをやり逃げします。「人混みに隠れてしまえば分からない」と。
汚れは蓄積されます。犯罪は繰り返されます。スラムの出来上がり。
③自分だけ、自分の周りだけ綺麗になればいいと思わなくなる。
加齢や病気・障害で動けない人々もいます。
お金払って業者に来てもらえば?という考えもあることでしょう。私がその業者でした。安くはありません。
表を掃くときは向こう三軒両隣もやりなさい、と子どもの頃教わったので今もそうしています。昔は皆さんしていたし、当たり前でした。今は「そんなことしてくれるなんて」と驚かれます。それだけまれなことになってしまったのかもしれません。
顔だけ綺麗にしても、体、立ち居振る舞い、言動、心は綺麗でしょうか?
そこも考えるようになりました。
本当に美しい人、というのは、自分の美しさより他者の幸せをまず考えられるような人。そういう心根の優しい人をエレガントというのだ、と言った方がいます。ある世界的なデザイナーの言葉です。
④感謝されます。習慣的に感謝されます。
嬉しくなってモチベ上がって、また明日もやる。また「ありがとうねー」の優しい言葉と笑顔をいただき、またやる気に。たちまちご近所仲良し状態。掃除をしているとあいさつ・声がけもしやすいのでしょう。これも防犯対策にとても効果的ですし、災害時にも非常に有効です。
⑤汚れていたり散らかっているのはいやだなあ、と思うようになるため余計な物を買わなくなります。
家計もダイエット、断捨離しようにも物自体があまりありません。手に入れる時は本当に欲しいのか、それとも必要なのかを吟味します。
それにものがないなら工夫しようという知恵は昔からいくらでもある、と気づきます。
〈上級編〉
そこまでやらなくても、という所までやれるならやります。
プロスポーツ選手やプロミュージシャン、プロダンサー、プロのアーティストと同じです。
お金を払ってでもその人の技術を見たいのは、「自分にはあんなこととても出来ない❗️すごい‼️」というamazingを目撃したいから。
自分でできるのか。
キツいけれど、出来るようになれます。性別も歳も関係ありません。しかもとても楽しいことです。出来た時の喜びもありますが、体を動かすこと自体気持ちがいい。(個人的には関節や筋肉を傷めないために左右両手、両足を利き手利き足にし、ダンスを取り入れています。とても楽しいので、飽きずに動いていられます。休憩も大切なので、オンオフの切り替えが早くなりました。)
例えばものすごいピアニストは、よくそんな細かいフレーズまで❗️とか、ラストの音を大切に大切に、長ーく響かせ水のように蒸発させる。ペダルや指・関節、ひいては全身とハートの力加減ですが、そこまでやるから人を感動・魅了させられるのです。ラフなプレイでもかっこいいと思わせる人は、必ず基本ができてる人で、素人がやれば騒音にしか聞こえません。雑はダメです。
清掃も同じことです。要はやる気と心意気。逆に言えば、「そんな昭和みたいな根性論いまどきダメ」なんていう「いまどき」はむしろプロの世界では通用しません。上にビシバシ叩かれなくてもちゃんと素晴らしいプレイヤーや表現者になれる人は、自分自身をあらゆる方法で鍛えます。人に言われてやるようでは多分一流になれないでしょう。
人に認められなくても、浮かばれなくても、黙々と耐えてやれる。イチローさんや大谷翔平さんもそうですね。殿堂入りしたり百年に一人のスターになれるようなひとは、自分に非常に厳しく、他者には優しい。
練習と腕立て伏せと読書が趣味というベーシスト、米バンド「ドリーム・シアター」のジョン・マイアングの大ファンです。
別に彼は女の子にキャーキャー言われて大金を稼ぐ夢があったからミュージシャンになったのではありません。純粋に音楽が好きでしょうがないだけで、同じくらい竹馬の友であるメンバー達が好きだからです。
練習は6時間。早朝やるべき仕事を済ませてから、毎日欠かさず。ツアー中とレコーディング中以外は、もう何十年もの習慣とのこと。
腕立て伏せはベースを演奏するために上体の筋力が必要だからでしょうが、ライヴ前に100〜200回やるのが好きだそう。
読書は哲学、思想などの本を好みます。自分の思考を練り上げ、音楽や歌詞に反映させています。
彼のそういうスタイルすべてがクールだと思います。
人に優しく穏やかでスキャンダルなど無縁の彼の魂は、きっと彼の曲のように高潔で美しいと想像します。端正な面立ちにも、それは現れています。
私が清掃をする時、観客はいませんが、お客さまに気持ちよくその場を使っていただくために色々考えて個人的にやりました。
考えたオリジナルの自分の決まりは、7A。
安全に。
あわてない。
安心して、安心を与える。
愛らしく。
愛する心で物を扱う。
ありがとう。
愛してる。
7つのAです。
メイク・髪染・アクセサリーはしませんが清潔に愛らしく見えるよう、こざっぱりした清潔な格好を心掛ける。崩さずきちんと制服を着る。誰であろうと会えば短く丁寧な挨拶をする。職場を出たらテキトー、というのもしませんでした。エリア内は殊に、全てです。はっちゃけたいなら自分の部屋で飲んで踊ればいいので。
汗だくになるので毎日入浴。
この基本をやっただけのことが案外すごくウケました。
中には髪を染めたりアクセサリーをつけたりネイル(⁉️)までしたりしている人もいましたが、トラブルメイカーでした。
手より口がよく動き骨惜しみするのにお金ばかり欲しがる人は、結局上とトラブルを起こし退職しました。
ハラスメントに繋がるような発言を陰でしている人もいました。
技術も、教わったことが怖くて出来ないと言って自己流でやっている人もいましたが、とても危険でした。実際年間そのことによる事故は多く、怪我や事故を起こして心身もお財布も痛くなるのは本人なのですが。
(もちろん3Kの上事故・ケガも多いため離職率が高いのです。)
道具使いが荒く、静かにしなければならないオフィスエリアでかなり大きな音を立てて作業する人がいました(機械ならある程度仕方ないのですが、手で使う道具です)。
自分がもしそこで精密な仕事をしなければならなかったら?自分の大切な人や家族、友達がそこで…と想像するなら、そんなことは出来ない筈です。気になってお仕事に集中出来ないからです。
また、きちんと言われた通りに仕事を出来ていないなら、お給料を貰えなくても文句は言えません。
すべてその逆をやりました。仕事場では八方美人でいい。お客さま、上司、先輩、仲間すべてに笑顔とありがとうございますと言うのを癖にしました。
ごみを日常的に扱うため、それらの各組成や廃棄ルール、焼却するとどうなるかや水に流したらどうなるか、水質や薬品についても学びました。
また、尊敬していた先輩のかたがウィンクしてこっそり
「みんなうるさいからね、黙ってるのよ」と教えてくれたので、これも励行しました。これは情報や心の保護につながります。
そして、やはり尊敬し憧れていた直属の上司には、どんな事に直面しても「あわてないのよ」と教わり、これは今も守っています。実際、どんな変化や事故があろうと、無理難題があろうと、パニックにならないことが大切です。自己の内側のパニックは波紋のように広がり、大パニックを呼ぶことがよくあります。
また、ただ通勤して清掃しているだけなのですが常駐と間違われやすいため、「あそこの棟の改修工事はいつまで?」「どうして今週ここのトイレが使えないの?」
などと聞かれることもよくありました。
私は建設業ではないので分かりませんが、なるべく自分で勉強し、人にも聞いてすぐお答え出来るようにはしておきました。建物の配管、構造、工事の内容など。お客さまが安心して「なあんだ、そうなのね」と笑顔でお仕事に戻って行かれるようにするのも仕事の一環と心得ました。
建物の構造や工事内容などの知識は芋蔓的に得たものとはいえ、持っていると色々、分かってくる事が多くあります。簡単な程度なら修理も出来るようになりますし、トラブル再発も防げるようになります。
日頃から掃除・整頓していれば小さな変化にすぐ気づきます。それがよくないものなら簡単に排除でき、後々高額なクリーニング代や修繕費がかかりづらくなります。全てを観察するくせがつきます。
余計なことをせず、言わない。業務に集中し他の人と深く関わらない。危険を察知したらそれが小さくても最初から手を出さず即報告・シェア。他人や自分自身に迷惑をかけたくないなら。笑顔でいてほしいと願うなら。考えてから行動する。
基礎を毎日必ずやり、心身を鍛える。勉強をやめない。
武術のようなものかもしれません。
〈美味しいおまけ〉
昔は高額なお金を払ってスポーツジムに通い痩せようとしていたこともありましたが、清掃の仕事を始めたら1ヶ月ちょっとで5キロ以上落ちました。かなりきついあらゆる全身運動ですので、スタイルもよくなりました。ランニングもウォーキングもエクササイズもしませんが体重と体型は今も変わりません。
その上、経験も資格も要らないのにかなりお給料が良かった。人のやりたがらないお仕事だからでしょう。そして、腕力脚力も強くなりました。清潔を心がけることは、もちろん健康にもつながっており、コロナに罹ったことは一度もありませんし、インフル、風邪にもなりません。
清潔を習慣にし、自分なりに進化させていくのは、有益かつ興味の尽きない遊びとも思えます。