『キラッとプリ☆チャン バーチャルライブ』は、5周年を「やってみた」で始めてくれるライブだった
『キラッとプリ☆チャン』が5周年を迎えました。
プリティーシリーズでは同名作品では最長となる三年間放送した作品であり、昨年末に開催されたシリーズ合同ライブでもキャスト側から「何かほしい」と希望は出されていたんですが、五周年を記念してシリーズ単独では三回目となるライブが開催されました。
その記念すべき五周年ライブの最大の特徴は「バーチャルライブ」であること。
つまり普段開催しているような「『声優』が『キャラクター』を『演じながら』行うライブ」とは違い、「『声優』が『演じた』『キャラクター』が行うライブ」という点こそが「ライブ」と「バーチャルライブ」を分けているのです。
「映像に声を当てる」ということは、極論を言ってしまえば「いつも見ているアニメに近い」。
キャストとしてステージに立っているわけではありませんし、モーションキャプチャーによりキャストの動きにキャラクターを追従させているわけでもないわけではないですから、作りそのものはアニメに近いものであることは間違いありません。
それでも今回のバーチャルライブが「良いアニメを見た」とならずに「面白いライブを見た」という印象を残すのは「(おそらく)リアルタイムでカメラや演出を制御している」からでしょう。
リアルタイムで調整を行っているようにしか見えないからこそ、そこにはライブの「リアルタイムで変化し続けるものを観測し続ける面白さ」が生まれるのです。
今回のバーチャルライブもリアルタイムで見ていた人間には分かると思いますが、アングルもカメラワークも作り込まれてはいません。時間は合ったはずだし、「ライブのような映像を作る」がコンセプトでも、もうちょっと作り込んだものにも出来たはずです。
にも関わらずそうした作り込んだ映像になっていないのは、「おそらくキャラクターがやること」は決めているものの、カメラ周りの制御はリアルタイムで行っているからでしょう。そしてだからこそキャラクターが画面の向こう側にいるような面白さが生まれる。動画配信が題材の『プリ☆チャン』らしさも息づくのです。
まあリアルタイムで行っていることなので、想定されていないアクシデントのような部分も多かったんですが、そのおかげで「あ、リアルタイムでやってそうだな」ということに気づく事ができましたし、リアルタイムだからこそのライブの面白さをバーチャルライブでも楽しむことが出来たと思うので、その辺はアーカイブじゃないからこその特権ですね。
そういう細かい事を抜きにしても、『キラッとプリ☆チャン』のシリーズ構成を努めた兵頭一歩氏が脚本で参加しているため、グダグダしている時間は皆無だったのも良かったです。
「脚本はある」と言ってもアドリブが比較的多めな『キラッとプリ☆チャン』なので、三年間キャラクターと共に歩んできた声優の本気でやったアドリブは多め。
「もうこれキャラの発言なのか、中の人の願望なのかよく分かんねぇな……」という破茶滅茶な面白さがあったので、ファンにとってはそこだけでも見る価値が合ったと断言できます。
加えて言うなら、オーディオコメンタリー的に桃山みらい役林鼓子さんが実況していたのも良かったですね。
二代目優木せつ菜になった翌日に自身の初主演作品のライブで盛り上がっている姿は微笑ましく、自身が応援している緑川さらと自身が演じたキャラがまさかのデュオを披露した事に興奮を隠しきれないご様子で、見ているこちらも大変おもしろ、いえ笑顔になれました。
こうした光景を見れるのもバーチャルライブならではと言えましょう。
そして最後に「バーチャルミュージカル」として『ハイスクールキラッとプリチャン』の制作が発表。
『キラッとプリ☆チャン』は最終話で全員が高校に進学。それぞれの新生活が始まったところで幕を下ろしたなかなか珍しい終わり方をしているのですが、この『ハイスクール』はその続きになるのか。それとも全然違う方向性になるのか。
その辺りはおいおい分かるとして、なにより「バーチャルミュージカル」という言葉の響きに大変心がときめきます。
バーチャルライブ。バーチャルミュージカル。
バーチャルの世界に「やってみた!」と挑戦していく『キラッとプリ☆チャン』の五周年が楽しくなる素晴らしいライブでした。