『ラブライブ!スーパースター!!』3rd Season第五話 海外に「スクールアイドル」が存在する世界
『ラブライブ!スーパースター!!』で驚いたのは初期メンバーに「中国からスクールアイドルをやるためにやってきた」という設定の唐可可がいたことだった。
『ラブライブ!』『ラブライブ!サンシャイン!!』が中国で高い人気を集めていることは知っていたので、「いつか初期メンバーで『中国からやってきた』という設定が来るのかもしれない」という予感はあったのだが、唐可可はそれが現実になったことを教えてくれたのだ。
あの時は「ついにこの日が来たのか」と思ったものだが、まさかそれから数年後に放送された『ラブライブ!スーパースター!!』3rd Seasonで、TVシリーズでも上海へと向かうことになる日がくるとは!予想してなかったなぁ……。
その上海へと向かう物語を描いたのは3rd Season五話だ。
「スクールアイドルをやるために日本にやってきたので、この先の事は考えられない」と言いつつ、前向きに進路を検討するべく故郷である上海へと旅立った唐可可。そんな唐可可にLiella!と澁谷かのん達に上海行きの航空券がやってきた。これは何かあったに違いない。そう考えたかのん達は上海に飛ぶ!……というのが大まかな上海行きの流れとなる。
まるで劇場版のような導入だし、次回以降も物語が引き継がれていく点も基本的には一話完結である『ラブライブ!スーパースター!!』らしくないといえばらしくない。
正直五話単体では感想が述べづらいのだが、ただ個人的に嬉しかったのは「日本国外でのスクールアイドルがどのように受容されているのか」をようやく描いてくれたことだ。
『ラブライブ!』も『ラブライブ!サンシャイン!!』も『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』も、基本的には日本のスクールアイドルが主役だった。
『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』には鐘嵐珠やエマ・ヴェルデのように「スクールアイドルをやるためにやってきました」という留学生もいるが、舞台となっているのは「日本」であり、「海外でスクールアイドルはどのように扱われているか」については設定で語られるぐらいであったと思う。
今回のように「上海ではスクールアイドルフェスが開催されるぐらい(には人気がある)」と描かれたのはおそらく初のことではないだろうか。
冒頭で述べたように唐可可は中国人気を受けて設定されたキャラクターだと思うが、ようやく「作中世界が現実の人気に追いついたかのようなエピソード」が制作されたのは感無量である。話を聞いた時から見たかった景色の一つがこれなんだ!
この上海でのスクールアイドルフェスがどうなるかは六話以降に期待するとして、物語以外の点ではキャラクター同士のやりとりが面白かった。
例えば鬼塚冬毬とウィーン・マルガレーテは、同学年で同じ部活ということで何だかんだでやりとりがあることが語られた(そしてマルガレーテも心を許している)ことが描かれたし、海外へと飛んだ事で今までにない挙動を見せているキャラクターも多く見られた。
個人的には平安名すみれが面白かった。
上海に行くかどうかの話し合いが持たれた際もここでの結論に関わらず、「私は一人でも唐可可を救いに行く」という素振りだったし、上海に到着後も一番浮かれているような格好をしつつ、心中では「唐可可を探すこと」を重要視している。
2nd Seasonでは「憎まれ口を叩くが、誰よりも平安名すみれのことを信じている」として描かれたのが唐可可であるが、3rd Seasonで見せた「唐可可のためなら海だって超えてやる平安名すみれ」はそのアンサーじみていて面白かったと思う。
しかし普段は頼りがいのあるしっかり者の先輩なのに、丸が絡むと理性を失う嵐千砂都のせいで、桜小路きな子が頑張らないといけなくなるのはこう、「次期部長はやはりきな子か……?」という気にさせられる。
でも正直今の二年生は誰が部長になってもいい気がしている。
三年生から見習うべきものをしっかりと見習い、受け継ぐべきものを受け継いでいる子ばかりなので。