『原神』知恵の国で「狂信」と「継承」による新たな神の誕生を見届けた
中国のゲーム会社「miHoyo」が2020年9月末から展開しているオープンワールド型アクションゲーム『原神』。
『鬼滅の刃』などで知名度のあるufotableによる本作のアニメ化企画が進行中というニュースがまだ記憶に新しいところですが、そんな『原神』で一年ぶりとなる新しい国「スメール」と、そのスメールを舞台にしたメインストーリーがVer3.0~3.2にかけて実装されました。
この世界に漂着した際に離れ離れになった肉親を探す「旅人」として、7つの国を巡る旅は、風と自由の国「モンド」、岩と契約の国「璃月」、雷と永遠の国「稲妻」まで終わり、今回やっと四カ国目となる「スメール」へと突入したのですが、このスメールの物語が実に面白い!
正直「これを見るためだけに始めても良いのでは?」というぐらいに面白かったんですが、「知恵の国」であるスメールの何が面白いって「スメール国民から愛される神様が死んでしまった」から始まる物語になっていることですね。
狂信を描いた物語
私が思うに、スメール編のテーマは「狂信」だったのかなと思います。
知恵の神マハールッカデヴァータが死んでしまい、新たに生まれた知恵の神クラクサナリデビは自分達が崇め、そしていつか辿りつきたいと思えるような存在ではなかった。
その事実を知ってしまったことにより絶望するスメールの学者達。そんな学者達に主人公達と敵対する組織「ファデュイ」の幹部は甘い言葉をかけるのです。
「現在の神が自分達の求めた神の姿をしていないのであれば、自分達の手で理想の姿をした神を作ってしまえばいい」
スメールの学者達はファデュイの計画に賛同。雷神に創造された人形「散兵」を元にして「自分達の、自分達による、自分達のための神」を作り出そうとするのです。スメールの一般市民を犠牲にしながら。
主人公達(つまりプレイヤー)は、一般市民に犠牲が出ても自分達の計画を成就しようとする学者達(及び裏で操るファデュイ)を止めるべく行動するのですが、今回のスメール編が凄いのは「学者達の狂信によって一般市民に犠牲が出ている(=なので阻止しなければならない)」という展開をプレイヤーに深刻に受け止めさせるために物量が凄まじい。
スメール編が開幕したver3.0は「目の前にいる人間を救うためには同じ一日を繰り返す夢の中から脱出しなければならない」というループ構造の物語になっていて、「誰がループの起点になっているか」を考えながら進む物語になっているし、本格的にスメールの学者達と敵対する流れとなったver3.1は様々な角度からスメールの学者達の行動・思考について検討する展開になる。ver3.2は完結編で、学者達が生み出した機械仕掛けの神との決戦となっていて、理詰めながらもプレイヤーの感情を置いてけぼりにはしない物語展開で最後まで飽きさせない。
また「自分はいいけど一般市民を犠牲にすることは好ましく思わない」という現在の神クラクサナリデビ(キャラ名「ナヒーダ」)のヒロインとしての魅力も強く、プレイしていて湧き上がる「何とかしたい」という気持ちが物語を読み進める推進力として上手く作用するように設計されていましたね。
余談ですが、これらの展開を支える小道具の数々も面白くて、「スメールの国民全員に配布され、普段着のようになっている『サーバーから知識を引き出せるが、代わりに夢(知識)を集積される』というウェアラブルデバイス」や「使用するだけで知識をインストールされる缶詰知識」など、SF的なアイテムが数多く登場するのですが、これらが木々の生い茂る森や菌糸類で形成された土地、「アランナラ」という子供達の友となる精霊達が存在する国の物語で使用されているギャップが楽しかったです。
意思の継承
そして「狂信」の物語を締めくくった「想いの継承」は美しいものでした。
具体的なことは避けますが、マハールッカデヴァータが死んだ理由とクラクサナリデビが生まれた理由。それらを上手く繋げ、マハールッカデヴァータの想いをクラクサナリデビが自らの意思で継承する。知恵の神であるからこそ知恵のみではなく、使命と共に想いも受け継いでスメールに暮らす人々を守り、そしてともに歩んでいく「国民」として降臨を果たす瞬間は一年ぶりのメインストーリーに相応しい光景だったと思います。
その光景を覚えているのは主人公のみである点はわずかな苦みを残しますが、だからこそマハールッカデヴァータが「そうまでして守りたかったもの」と「その思いを背負う覚悟をしたナヒーダ」を引き立てていてよかったです。
その後の「次の物語」につなぐためのファデュイとナヒーダのやりとりは、互いに「知恵」を持つ者同士の交渉になっていて、相手の腹の内を読みあう面白さが存在しており、地味ながらも熱い展開でした。
アスレチックのようなフィールド
風の国なら風を使った仕掛け、岩の国なら岩を砕く仕掛け……など、訪れた国ごとの特色が表れたフィールドも『原神』の面白さの一つですが、スメールはアスレチックみたいで探索がとても楽しかったです。
大樹が無数に立ち並ぶジャングルや木々によって隆起した大地、砂丘やオアシスの存在する砂漠地帯などがあり、中には過去の戦争で使用された巨大ゴーレムが横たわった谷なんかもあるんですが、スメールでは種子を使った立体機動が可能なので複雑な地形を飛びまわる事が出来る。
今までなら崖を登っていたはずなのに、スメールだと立体機動で一瞬で高く跳びあがる事が出来るし、種子から種子への移動も出来るので探索する事が本当に楽しい。
砂漠地帯にはダンジョンも豊富に設定されていて、ギミックを解く面白さがあるし、かなり面倒くさい部分はありますが楽しかったですね。
そんな探索を促すサブクエストが豊富に用意されているのもよかったです。
特に「森林書」はサブクエストにしておくことが惜しいぐらいでしたね。
スメールの人間とアランナラの関係性、本当によかった。
そんなことよりナヒーダだ
しかしながら、私にとって先に述べた内容は全て些末なことに過ぎません。
なぜならスメールの実装はスメールを統べる草の女神クラクサナリデビこと「ナヒーダ」の実装にほかならないからです。
今年の夏イベントにて台詞だけ登場した際に、「真実かよ原神クン。草神は田村ゆかりかよ!すぐに帰国する」と覚悟を固め、溜め込んだ石を「全てナヒーダに捧げるための石、またの名を忠誠心」と呼んで、実装されるのを今か今かと待ち続けていました。
ver3.0でティナリとコレイが実装された際は「ここじゃないのか!まあ最初だしな」と落胆を期待への踏み台にし、ver3.1でセノとニィロウだった時は「まだか……焦らすな……」とゲートが開くのを待つ競走馬のような心境へと至りながら、ナヒーダを待ち続けていました。
そしてver3.2で実装されると告知された時にはもう「最初から全力で行く。とりあえず1凸はするつもりで回していく!」と覚悟が完了。とことんまでぶん回すつもりで待機しておりました。
具体的にはこんな感じ。
そしてガチャの時間を始めるのです……ってすぐに確定演出がきたよ。
まあこういうオチをつけてしまうのですが。
なお、すり抜けた七七は田村ゆかりなのでこれはこれで良し。すり抜け星5したら次の星5はピックアップ確定なのが『原神』の良いところですからね!(なお90連目で星5確定です)
ようこそナヒーダ。
これで田村ゆかりと田村ゆかりで思う存分に遊べるゲームになったね!
なおこちらが最終的な結果。
無事に三枚引いて2凸。1凸が目標ってなんだったんでしょうね。
2凸するとスキル効果を受けた敵への攻撃に対してクリティカル率とクリティカルダメージの上昇効果を受けられるだけでなく、防御力を下げられるのでなんの問題もないです。好きな声優が担当したキャラが強い。最高かな。
というわけで夏イベントから焦らされ続けた忠誠心は、ゆかり王国の建造に費やされ、無事に目標は達成したのでした。
ナヒーダと八重神子を組み合わせて、えげつない火力を出すのは楽しい。準備が終わったら放置してても相手が死ぬので脳が溶けますね。
次バージョンの後半には雷電将軍(沢城みゆきの声をした雷の女神。バカみたいに強い)が復刻される予定なので、年末年始にでも是非スメールの物語を楽しんでください。