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『ポケモンレジェンド アルセウス』が描く「かつての『人間とポケモンの距離感』」
『ポケモンレジェンドアルセウス』をプレイしております。
初めて情報公開がされた時から「ポケモン×オープンワールド!? ありそうで意外となかった組み合わせ!これはやらなければ!」と心に決めていたゲームなので、滅茶苦茶楽しんでプレイしています。「オープンワールド」ではなく広大なエリアが複数存在する「疑似オープンワールド」でしたが、概ね満足しております。アヤシシで走り回るのが楽しすぎる。
そんな『ポケモンアルセウス』ですが、何が楽しいってポケモンを「別の角度から描いている」ということかなと思います。
これまでのポケモンだと「人間という種の友達」ぐらいの立ち位置でしたが、今作の描き方は「人間の隣で暮らす住人」で面白いんですよ!
ポケモンが怖い
巷での評判通り『ポケモンレジェンドアルセウス』に登場するポケモン達の印象は「怖い」に尽きます。とにかく自分のテリトリに入った人間に対して容赦がないのです。
木を揺らしたら降ってきてポケモンバトルになったり、人間を発見したら逃げ出すならまだいい方。こちらを見つけ次第排除しようと言わんばかりに突っ込んできて、ミサイルのように突進を仕掛け、絨毯爆撃するかのように岩雪崩を起こし、毒でじわじわといたぶるかのような攻撃を果敢に仕掛けてくる。野生動物ですから、自分達のテリトリを守ろうとするのは当然のことでしょう。
誰だって家に土足で入ってくる訳の分からない人がいたら、出て行ってくれるように威嚇ぐらいのことはする。飲んだくれていたオヤジだって、シラフに戻ってショットガンを片手に「出ていけ」ぐらいのことは言うでしょう。
しかし「野生のポケモン」がここまで「自分の領域に踏み込むもの」に容赦がないとは思っていませんでした。「死ぬまで追いかける」みたいなしつこさはありませんが、まさか今までポケモンバトルで使っていた技の数々を自分達が浴びる日が来るとは。そしてそれにより「死ぬ」という感覚を覚えることになるとは。
想像すらしてない出来事に、恐怖と共に「これは凄いものを見せられているな!」という感覚を心に刻み付けられてしまいました。
「今までのポケモン図鑑でもそれっぽいことは指摘されていただろう?」と言うのは全く持って事実で、これまでのポケモン図鑑でも人間サイドの被害はたびたび述べられてきました。
ただ「そういう描写の印象」って今までポケモンをプレイしてきてなかったのです。一度も。
それが『ポケモンレジェンドアルセウス』のおかげで「どうも図鑑の記述内容は盛ってるわけでもなく、本当にそうらしいぞ」に更新されたのは本当に凄い事と言うか。
長く続いてきた『ポケットモンスター』という作品の答え合わせをしている気持ちにさせられます。設定に過ぎないと思っていた一つ一つの要素に血が通っていくことが、今までの人生でたびたび『ポケモン』が登場する人間にはたまらないのです。
モンスターボールの偉大さ
そんな「野生のポケモンは決して侮ってはいけず、嘗めていると死へとまっしぐらな存在」として見せているからこそ、「モンスターボール」と「自分のポケモン」の価値を強く感じます。
モンスターボールがないと、ポケモンと人間の生活圏がたまたま被ってしまった時、暴力でしか解決できないんですよね。もし被ってしまったら己の譲れる範囲での境界線で武器を振るって、互いの生活圏を主張しあうしかない。
人間にはポケモンの言葉は分かりませんから仕方がない事だと思いますが、しかしモンスターボールがあればポケモンを似た環境のどこか別の場所へと連れていくこともできる。力による解決以外の選択肢を取ることが出来るんですよね。
それがたとえベストではなく、ベターだとしても互いを傷つけずに済ませられるのは凄いことでしょう。モンスターボールの発明は、あの世界では最も偉大と言っていい発明だったのではないでしょうか。
またどうしても戦わないといけなくなった時に、代わりに戦ってくれるポケモンのありがたさも今作は特に強く感じます。
人間対ポケモンだと、炎も氷も岩も電気も毒も操れるポケモンの方が圧倒的に有利ですが、ポケモンがいればポケモンバトルに持ち込める。戦うにしても逃げるにしても、対抗手段を取れるわけで。
野生のポケモンが積極的に攻撃を仕掛け、キャンプ送りにしてくる本作ではその事実が殊更ありがたく感じられますし、頼りがいのある相棒に思えるんですよね(なお街中で手持ちのポケモンを出したり出来るので、この辺も最高です)。
結びに
ただ『アルセウス』でも「ポケモンと人間の共生」という点は外れていないですね。
これまでは生活を分けるしかなかったところ、モンスターボールの登場で互いに歩み寄り、重なった交流地帯で互いのラインを探しているような物語になっているように感じます。
拠点となるコトブキ村も、最初はポケモンの姿が少ない村なんですが、物語を進め、サブクエストをこなしていくと互いにちょうどいいラインを見つけて、ともに同じ方向を向いて進んでいく。
この歩み寄りを描けるのはモンスターボールが開発された直後ぐらいを描く本作だからこそでしょう。
『ポケモン』をやってきた方はもちろん、これまで触れてこなかった人も是非プレイしてほしい作品ですね。
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