『KING OF PRISM -Dramatic PRISM.1-』を見た。自分の無知さに恥ずかしくなった。
今日という日ほど「自分は何も知らなかった」と恥じたことはない。
私は何も知らずにあんな事を言っていたのかと思うと、恥ずかしくて恥ずかしくて仕方がない。
「顔から火が出る」「穴があったら入りたい」。
『KING OF PRISM -Dramatic PRISM.1-』を見て、そんな恥ずかしい気持ちになってしまった。
『KING OF PRISM -Dramatic PRISM.1-』とは、8月16日に公開された「KING OF PRISM」シリーズの最新作のことである。
KING OF PRISMとは2013年にTV放送された『プリティーリズム・レインボーライブ』に登場した男性キャラクターを主役にしたスピンオフ作品で、これまで劇場版二本+一本、TVシリーズ一本の合計四本の作品が制作された。
今回の『KING OF PRISM -Dramatic PRISM.1-』は、2019年にTV放送された三作目となる『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』を再編集し、新しくプリズムショー(≒ライブシーン)を追加した作品なのだが、とにかく菱田正和監督のアイデアがユニークで、そのアイデアにより本作を「再編集版」から「一本の作品」に作り変えている。
そのアイデアとは「この時、観客側からはどのように見えていたのだろうか」ということ。
『Shiny Seven Stars』は一つの大会を通じてキャラクター一人一人の成長を描いた作品だったので「観客」ではなく「キャラクター」に寄り添った作品だった。カメラは常にキャラクターの傍にある状態で、それにより一人一人の成長を捉え、思いが表現されたプリズムショーをドラマチックで輝いたものに見せてくれていた。
『Dramatic PRISM.1』はそんな『Shiny Seven Stars』の「一方その頃」である。
「このキャラクターはこんな思いでステージに挑んでいたけど、観客側からはどういう姿に見えていたのかな」とか「『Shiny Seven Stars』では凄く見えたけど、観客側から見た時にはどうだったのだろう」とか。
そんな「一方その頃」というアイデアにより『Shiny Seven Stars』で一度見たはずの映像なのにも関わらず、実際に受ける印象は大きく異なって見える。
一言で言えば「あの時の観客がこの反応だったのはそういうことだったのか……!」が分かるのだ。それにより一人一人のキャラクターがしっかりと「スタァ」に見えるように再設計されているのである。
こうした部分には音響が2chから5.1chになったことや、会場にいることを強く印象付ける音響演出(座っている位置によって聞こえる音が全く違う。例える右側で囁かれると右側だけ音が出るみたいなことをやる)などもあるのかもしれない。
しかし「映画館でやるからには映画館に来た人達が一番楽しめるようにしたい」とするのは間違いなく正しい。サービス精神旺盛な監督らしい「一つでも多くの体験を持ち帰ってほしい」が現れた要素だと思う。
また新規映像についてだが、こちらはあるキャラクターの評価を一変させるぐらいに素晴らしかった。
そのキャラクターとは「高田馬場ジョージ」のことなのだが……正直に言おう。
私は『Shiny Seven Stars』までの高田馬場ジョージを「シュワルツローズのトップスタァを名乗るには相応しくない」と思っていた。
実力的には表舞台にはなかなか出てこないだけで凄いプリズムスタァがいるし、相手を叩きのめすほどの破壊的なプリズムショーは「大和アレクサンダー」という男がいる。
それに対して高田馬場ジョージは「ゴーストシンガーである池袋エィスがいなければプリズムショーを成立させられない男」なので、『Shiny Seven Stars』を経ても「スタァであることは認めても、実力的には大したことはない」と思っていた。一人だけCGでのプリズムショーは制作されてないし。
だが『Dramatic PRISM.1』での彼は違った。
今回の『Dramatic PRISM.1』で初めてCGで描かれた高田馬場ジョージのプリズムショーは、観客一人一人に視線を合わせ、見てくれている全ての人達を笑顔にするべく、とことんまで道化を演じきって見せる男だったのだ。
知らなかった。知らなかったぞ、高田馬場ジョージ。
お前がこんなにも誰かの笑顔のために、身も心も捧げられるような熱い魂と輝きを持ったスタァだったなんて。
そして「高田馬場ジョージは大したことない」と思っていた自分のバカさ加減を、『Shiny Seven Stars』完結から数年後しに知ることになるなんて思わなかったぞ、高田馬場ジョージ!
恥ずかしい。今まで高田馬場ジョージを侮っていた事が恥ずかしい。
でも今日からは違う。
高田馬場ジョージは凄い。スタァなんだ。あいつは間違いなくプリズムショー界の一大勢力「シュワルツローズ」の看板を背負うトップスタァなんだ。
そう言える自分になれてよかった。心からそう思っている。
ありがとう、『KING OF PRISM -Dramatic PRISM.1-』。
また「知らない世界」を知らずに無駄な時間を過ごすところだった私を救ってくれて、本当にありがとう。大好き。
そんなわけで。
プリズムショーに特化しているので完全新規でも(おそらく)大丈夫。
プリズムショーを知っている人なら間違いなく大丈夫なので、『KING OF PRISM -Dramatic PRISM.1-』を見てください。
全部で一時間ちょっとなので、軽い気持ちで見てもいいと思う。むしろ冷やかしに行くぐらいの気持ちで見に来て欲しい。
歓迎します。応援上映会なら尚更。
余談。
エピローグというか予告だが……包み隠さずに話すと、見た時は驚きすぎてちょっと泣いた。
『KING OF PRISM』がプリティーシリーズに正式に認められたとはいえ、まさかいいぜ!でワッチャ!な展開を見せられるとは思わなかった。どうでもいいぜ。
毎年年末にサイリウムを手に応援し続けてきた者の一人として本当に嬉しい。こんな魔法より素敵な時間があっていいのだろうか。嬉しすぎて周囲に握手して回りたいぐらいである。
おかげでこの予告を「嘘」にしないために可能な限り頑張る覚悟が出来てしまったので……ムビチケ10枚以上あるけど頑張る!
あ、EDはいわゆる自己紹介ソングなのもよかった。ユニット結成したらこれよこれ。