『科捜研の女 Season24』の感想メモ
『科捜研の女 Season24』を見た。面白かった。
「いつも変わらないこの味」みたいな作品だが、今シリーズはその路線を突き詰めたような作品で、正月から重いニュースが多かった今年やるのならこれぐらいの方がいい。
色々とトンチキな描写もありつつ、しっかりと面白い『科捜研の女』だった。
『科捜研の女 Season24』で良かったのは「科捜研って変人ばっかりだな」ということを改めて説明し直してくれたことだ。
基本的に『科捜研の女』に登場する科捜研メンバーは変な人達ばかりだ。
「己の職務に誠実に向き合っている」とも言えるが、その「おかげ」か「せい」かは分からないが榊マリコを筆頭に変な人達ばかりが揃っている。
何年も見続けている身としては、その「変人の変人であるための矜持=職務への誠実さ」を楽しんで見ているわけだが、『Season24』から登場する新キャラクターのおかげで新鮮な気持ちを見ることが出来た。
加藤諒が演じる新キャラクターの加瀬淳平は会計係である。
科捜研が捜査に滅茶苦茶な金を使うことから金庫番として京都市役所から派遣されてきた男なのだが、彼は科捜研でどのような捜査が行われているのかをよく知らないので「何をするのか」「どういう意味があるのか」を逐一聞いてくれるのだ!
これにより「今何の捜査が行われているか」「どうなれば結末に迎えるのか」が分かりやすくなり、『Season24』は気が抜けた状態で見ても楽しめる作品になっている。
また一般人に感性が近い加藤諒を配置することで「科捜研はおかしいよ!」という事が改めて見せられた点も面白いところではないかと思う。
特に四話の「売れない家の秘密」は秀逸で、心霊スポットで発生した殺人事件の捜査中に鏡に映り込んだ謎の人物が「数年前までこの家で暮らしていた故人らしい」とエピローグで判明した時に科捜研のメンバーは「分かってよかったー分からなかった方が怖いよねー」という反応をしていたのだ。
幽霊であることを怖がる加藤諒の方がおかしく見えるというオチは『科捜研の女』というシリーズでしか見れないし、このオチが面白いのも今回の『科捜研の女』だからだろう。本当によかった。
その一方で、今回のシリーズ全体を通して問われていたのは「己の仕事に対して誠実で真摯に向き合うこと」という極めて真面目なものだったのも素晴らしい。
鈴木福演じる新人警官もそうだし、ゲストで登場する人達も、ほぼ全てにおいて「誠実ではなかったこと」について批判されているし、レギュラーキャラである内藤剛志演じる土門も同じだ。
真相究明のためなら法を飛び越えて何をしてもいいわけではないし、被害者に寄り添う事と「警察官であること」は衝突することもあるし……というせめぎ合いは見ていて面白かったし、土門刑事がその辺りを無視して鈴木福に詰める展開は一線を越えかける危うさがあって見ごたえがあった。
『Season22』とか『Season23』では色々と新しい方向性を模索していた気がする『科捜研の女』だが、「明るいノリ」を取り戻しつつ「新しいもの」を入れることでしっかりと「今シリーズにしか出来ないこと」を行えているのは流石の仕事だと思う。
来年もやるのか分からないが、まあ期待しておく。
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