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『聖剣伝説 VISIONS of MANA』ファーストインプレッション

『聖剣伝説』は長い間「生きているかどうか分からない作品」だった。
スマートフォン向けゲームではそれなりに発表されていたものの、ナンバリングタイトルは2006年の『4』を最後に止まっていたし、何らかの形で触れられることも多くはなかった。
しかし『2』や『3』のリメイクにより再び日の目を浴びることになった『聖剣伝説』はついに完全新作を作るところまでたどり着いた。
その完全新作となるのが『聖剣伝説 VISIONS of MANA』だ。
『4』から考えれば15年以上ぶりの新作なので、ファンとしては「買わねばならんかー」という気持ちで購入。現在プレイしている。
まだクリアしていないので最終的な評価は差し控えるが、現時点での個人的な見解としては「『再始動後初の完全新作』としては及第点を与えても良い。荒い部分や拙い部分はあるがそれぐらいには面白い」と言ったところになる。「まあまあ」と言った感じか。
『聖剣伝説 VISIONS of MANA』は、アクションゲームとしては大らかだ。
敵の攻撃に合わせて防御するジャストガードや攻撃を弾くパリィのようなものはないし、回避はあるけれどジャスト回避はない。攻撃にしてもこれと言った難しい要素はない。攻撃ボタンの一つしかないし、魔法や特技はショートカットやシリーズ伝統のリングコマンドから選択して詠唱時間を経過すれば発動する。
そうした作りなので極論を言えば「レベルを上げれば誰でもクリアできるゲーム」なのだが、「RPGにアクションゲーム要素を足した感じ」が『聖剣伝説』の持ち味であることを考えると別段おかしなことではないように思う。
『聖剣伝説3』をリメイクした『聖剣伝説3 TRIALS of MANA』もほぼ同じラインなので、「今聖剣伝説を作るのなら」と考えたらここに行き着くのは必然だったのだろう。
ただ本作独自の要素である「精霊器」は個人的にはかなり「あり」で、この面白さは『6』があるのなら継承して欲しいとすら思っている。
本作に登場する五人のキャラクター達は、クラスチェンジすることで戦闘中に精霊器の力を使用することが出来るようになる。
精霊器は本作に登場する八人の精霊に対応したアイテムで作中に八種類の登場するのだが、そのどれもがオンリーワンな特性を持たされており、戦闘時の立ち回りを大幅に変化させてくれる。
例えば風の精霊器はヒットしたモンスターを空中に拘束してくれるし、火の精霊器は敵モンスターへ向かって突撃することが出来る。相手をこちらに引き寄せる精霊器もあれば、バリアを設置する精霊器もあり、これらとキャラクター及び各クラスの特性を活かしながら戦えるのはとても楽しい。精霊器の力でゲームを破壊しているような面白さがあって、その気持ちよさだけでプレイする気が湧き上がってくる。
精霊器は一種類につき一個しか入手できないこと、クラスチェンジと紐づいていることなどから同じ精霊器を複数人で共有することができないので、チーム編成を考える必要が出てくる点も面白く、「特殊能力を持つ精霊器と、それに紐づいたクラスチェンジ」はプレイに縛りと刺激をもたらしている。
ストーリーについてはまだクリアしていないので割愛するが、キャラクターについては素直なキャラクターが多いのも良い点に感じている。
特にカリナは表情がコロコロ変わる点や意外と面倒見の良い点、そして夏吉ゆうこの演技も相成って非常に魅力的なキャラクターに仕上がっている。
フィールド探索中に行われるやりとりも面白く、満足出来る部分は多い。
もっとも不満点がないわけではないのは確かで、例えば目的地に一瞬で移動するファストトラベルはエリアを超えた移動が出来ないし、サブクエストの表示もあまりよろしくはない。
ダッシュが今どきスティック押し込みなのもどうかと思うし、街に入ると二段ジャンプができなくなったり、操作キャラを強制的に主人公であるヴァルに変更させられるのも良くはなかった。
ただ再始動としては本当に悪くはない。というか『聖剣伝説』らしさというものに向き合ってこうなっていると思われる箇所が多いので、私は「今回は許す」のフォルダに入れている。
次回以降は指を折るが、今回だけは許すので、ちゃんと次回作が制作できるぐらいにはなってほしい。んだけど、スタジオがなぁ………。


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九条水音
プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。