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『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』憧れた人の輝きを胸に、わが道を征くタイガで魅せた三話
平成最後の日となる4月30日に『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』三話となる「香賀美タイガ 祭りなら! 俺の中にある!」が放送された。
この三話は現在のエーデルローズでは唯一となるストリート系プリズムスタァである香賀美タイガにスポットを当てた回で、タイガと仁科カヅキの出会い、チャラチャラしたものを見ると「いけ好かない」という態度をとるタイガがなぜエーデルローズに入ったのか、そして仁科カヅキを追い続けるタイガはカヅキの背中に何を見ているのかと言ったものが描かれ、香賀美タイガのことがもっともっと好きになれる素晴らしい回だった。
脚本は『プリティーリズム・レインボーライブ』では福原あんと森園わかなと仁科カヅキの三角関係を、中学生のような甘酸っぱさとピュアさ加減で描いていた村上桃子が担当しており、『プリティーリズム・レインボーライブ』を見ていると「ああ!あそこでそういう話が!」という楽しさがあった。
先人達が切り開いたものの重み
ただ描かれているものそのものはとにかく真面目なものだった。
というのも、三話は二話と同じく「先人達が切り開いたものの重み」がテーマとなっていたからだ。
歌舞伎役者でプリズムスタァの太刀花ユキノジョウを描いた二話では「先祖代々受け継がれてきた歌舞伎役者の血と、国立屋という家名の重み」という形で表現されてきたが、三話では「自分が歩いている道は憧れの人が切り開いた道」という形で表現されている。
太刀花ユキノジョウは仲間達のおかげで自分が背負っているものに向き合う覚悟を固めたわけだが、香賀美タイガはそういう方向ではなく、「自身の原点に立ち返った事で、今一度その事を意識する」という物語となっており、ユキノジョウの炎のような熱さよりは、どちらかと言えば心地よい涼しさがあり清涼感を感じさせる。この違いがキャラクターの違い、ひいてはキャラクターの魅力として輝いている点が実に『KING OF PRISM』らしい。
また一話からこの三話までは「第一章」として公開されている点も重要だ。
本作は各章ごとに一つのテーマが設定されているようで、単独で見てももちろん面白いのだが、三話ごとにまとめて見る事で各話に共通するテーマを見つける事ができ、また違った面白さを堪能する事ができる。
二話と三話は前述したように「先人達が切り開いたものの重み」。そこを意識して再び二話と三話を見ると「三話ごとにパッケージ化された意味」が見えてくることだろう。
「祭りなら俺の中にある!」の意味
今回テレビで改めて視聴して、タイガの決め台詞となった「祭りなら俺の中にある!」の完成度の高さに感心させられた。
タイガにとっての「祭り」とは「皆と一緒に笑顔になれるもの」「心を熱くするもの」で、プリズムショーと同質のものなのだ。
東京に来たばかりの頃のタイガにとってつまらない場所だった東京は、祭りを思い出させるプリズムショーによって楽しい場所に変わっていった。
プリズムショーは心でやるもの。
だからタイガの「祭りは俺の中にある」なのだ。
タイガの心の中には「祭り」と「カヅキから教えてもらったプリズムショーの熱さ」が同じ箱の中に入っているのだから。
そうした事を感じさせるこの台詞は、「香賀美タイガ」というプリズムスタァを象徴していて「素晴らしい」と思うのだ。
カヅキの教えを体現したプリズムショー
タイガのプリズムショーも最高だった。
「アカデミー系もストリート系も関係ない。多くの人にプリズムショーの楽しさを知ってほしい」という自分の道を歩いているカヅキ先輩の教えを体現していた。
レビテーションでステージという縛りから解き放たれて会場の空を駆け巡り、憧れる仁科カヅキと同じ「バーニングスプラッシュ」から、自分のルーツとも言える青森のねぶた祭りを表現した「真夏の夜のねぶたドリーム!」に繋ぎ、女の子の心をときめかせる事を至上とするアカデミー系らしい「祭だワッショイ!フォーチュンボーイに花束を!」で締める。
仁科カヅキの背中を追いかけながら彼の教えを一つ一つ自分の中に落とし込み、今回のプリズムショーで自分の表現として昇華している
まぎれもなく香賀美タイガにしか出来ないプリズムショーだ。
こういうフォロワーらしさあふれるプリズムショーを見れて、仁科カヅキは幸せ者ではないかと思う次第である(それはそれとして、いい加減あんとわかなに答えを出してやってほしい)。
最後に
平成最後の日の放送となった『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』三話「香賀美タイガ 祭りなら! 俺の中にある!」。
ED曲は祭り囃子っぽいアレンジを効かせた「masquerade」と、こちらも平成最後な面白さがあって楽しいものだった。
来週の令和最初の放送は十王院カケル回。その前に第四章が公開予定だが、どんな幕引きになるのだろうか。見るのが凄く楽しみだ。
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