黒沢ともよだけでギリギリ成立している『デビルサマナーソウルハッカーズ2』

仕事の合間に『デビルサマナーソウルハッカーズ2』をプレイしております。
評判はハッキリ言ってよろしくない。私もその意見にほぼほぼ同意します。本作も『真・女神転生5』と同じく「アトラスはペルソナシリーズだけを作り続ける方が一番ファンが喜ぶのでは?」という気持ちを強くする。
プレイする事に苦痛は感じないが、かといって面白い部分が乏しい。単品で出されたら許せるが、シリーズの名前を冠すると「力不足」と言いたくなってしまう。
そういう作品であることは間違いないのですが、なぜそんな作品をプレイしているかと言うと黒沢ともよの声をずっと聞いていられるからです。そしてこのゲームで描かれる物語がギリギリ成立しているのは「黒沢ともよ」という声優の持つ力が非常に大きい。

本作で黒沢ともよが演じているのは主人公となる「リンゴ」です。
リンゴは情報知性体から産まれたエージェントと言う設定のキャラクターなのですが、他のキャラクターが比較的アニメ寄りの演技をしているのに対し、リンゴはナチュラルで、性別をあまり感じさせない演技を組み立てている。
それにより「人間ではないもの」ということを強く感じさせてくれるし、人間と交流することで少しづつ変わっていく部分に関しては非常に良い雰囲気を出せていると思うのです。
キャスティングの妙、ディレクションの上手さ、黒沢ともよの演技力が無かったらおそらくできなかったでしょう。黒沢ともよだからギリギリのところで成立している面白さが『ソウルハッカーズ2』にはある。

ただそこ以外は冒頭で述べた通り。お世辞にも出来が良いとはいえないです。
「悪魔」は装備品の一つと成り果て、個性といえるものは殆ど失ったおかげで強いもの、便利なものを選んで装備するだけでいい。
「悪魔会話」は戦闘中ではなくフィールド探索中に仲魔から紹介してもらうだけで失敗することが皆無となったおかげで、緊迫感も電子の海に流された。
戦闘も『真・女神転生3』以降定番となった「弱点を突いて行動回数を増やす」が主軸となるプレスターンバトルではなく、『ストレンジジャーニー』の「弱点を突くことでダメージがストックされ、ターンの最後に大ダメージを与える」を採用したのはいいけれど、大ダメージを与える手段がそこに集約されてしまったため、若干テンポの悪い戦闘なのであんまり気持ちよくない……と言った感じに。『ソウルハッカーズ』と名乗っていなければ許容できる範疇でしたが、『ソウルハッカーズ』というのが何もかも厳しい。前作と比較されてしまう宿命を背負うのは、この開発チームにとって早すぎるのではないでしょうか。
まあまだ途中なので評価を変えるかもしれませんが、今のところはそんな感じです。


プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。