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『オケカツ! 2nd Stage』でオーケストラアレンジを楽しむ

アイカツ!オーケストラコンサート「『オケカツ!』2nd Stage」のパンフレットが届きました。
このパンフレットは3月23日に開催予定だったものの、感染症予防対策のため中止となったコンサートで販売される予定だったもので、パンフレットの他に開催日に無観客で撮影されたコンサート映像を収録したBlu-rayと、その時の音源をCDがついてそこそこお安い値段だったので、つい買ってしまったんですが、結論から言えば買ってよかったです。
買ってからほぼ毎日に近いぐらい聞いてますし、原曲と聴き比べるたびに「こういうアプローチも凄くアイカツ!っぽい!面白いじゃない!」となれるので安い買い物でした。販売してくださってありがとうございます。

まだ聞き込み切れてないので、後日全曲について書く予定ですが、特によかった楽曲の話を五曲ほど書いておきます。

ひとりじゃない!

原曲は『アイカツフレンズ!』二年目のOP曲で、Bメロの徐々に音階を上がっていくところが「アイドルとして怪談を駆け上がっていく」という部分を感じさせる楽曲ですが、オーケストラアレンジではBメロになると楽器の数がぐっと減って、サビに向かって徐々に増えて音の厚みと種類が増えていくのが凄く面白かったです。
また一番が終わったらCメロ→ラストサビへとつなぐ構成のいじり方も良かったですね。落ちサビの後に金管楽器の音が入ってくることで、「ひとりじゃない!」というメッセージが祝福めいた印象を残すところも凄かったですね。

裸足のルネサンス

原曲は『アイカツスターズ!』の騎咲レイの楽曲ですね。
初めて聞いた時から「オーケストラでやったら王道的な格好良さがより引き出された格好いい曲になるだろうなぁ」と思っていたんですが、騎咲レイの勇ましさや格好良さよりは、芯の強さみたいなところに寄せている点に驚かされました。
そうして芯の強さを印象づけておきながら、クライマックスでは勇ましさと芯の強さの両方が出てくるのがもうたまらないですよ。「これが騎咲レイ」と言われているかのような感じで。締め方も優雅さを感じさせつつ、潔い感じが本当に騎咲レイの楽曲感が凄いですよ……。

チュチュ・バレリーナ

今回のコンサートはゴシック系アイドルの楽曲がかなり多かったのですが、その中でも一番「イカれてるアレンジ」と思ったのは『アイカツ!』の「チュチュ・バレリーナ」でした。
原曲は氷上スミレの印象が強く、黒沢凛とのデュオユニット「ダンシング・ディーヴァ」の曲でもあるわけですが、今回のオーケストラアレンジではパイプオルガンでのソロ曲に。
原曲よりもゆったりとした曲進行の中で、パイプオルガン特有の響く音が美しく、これだけでも聴き応えがあるんですが、何を思ったのか冒頭にバッハの「小フーガト短調」を引用する形で入れてきたことに完全にやられました。格好よすぎるし、一気に心を掴まれましたね。
「小フーガト短調」自体が印象深いメロディですけど、それを冒頭に持ってくることで不意打ち感がありますが、だからこそクライマックス直前ぐらいにねじ込むことで全体を一気に引き締めてるところも凄いと思います。

Future jewel

『アイカツオンパレード!』の楽曲では「君のEntrance」の次ぐらいに好きな楽曲なんですが、アレンジの方向性としては「曲の構成を大胆に変更することで、サビのクライマックス感を強くする」でした。
具体的にはBメロ→サビだったところを、Bメロ→間奏→Cメロ→サビに変更しているんですが、この変更によってBメロの後がずっと溜めになって、原曲の段階でも強かったサビの解放感がさらに強くなっていました。
この楽曲自体が「こうじゃなければいけない」という他者からの価値観の押しつけや同調圧力と言ったものからの解放と「私らしく生きよう」というメッセージが込められた楽曲ではあるので、サビの印象をより強化する方向に行くのは王道的なアレンジだと思うのですが、構成を大きく変更したことと、オーケストラの幾層にも重ねられた音の強みを生かしたことで、ここまでの力強さを持つ楽曲になるとは思わなかったですね。
曲のポテンシャルを引き出したアレンジ、といってもいいんじゃないでしょうか。

Precious

「今回は歌がある」ということで期待していたのでですが、パフォーマンスで一気に持っていかれたのはささかまリス子さんが歌った「Precious」でしょうか。『アイカツ!』二年目のED曲で、作中では神崎美月が歌ってますね。
この曲って一言で言えば「ラブソング」だと思うんですが、歌っているのが神崎美月なので、その「愛」を向けられてる対象は「特定の誰か」というよりは「今まで私が出会ってきた全ての人達」という印象が強かった。
ラブソングですけど根底に流れてるのは「人間賛歌」というか。そういう「全てを包み込むような大きな愛」があったと思うのです。
で、今回オーケストラコンサートの演目の一部として「Precious」が歌われることになったわけですが、オーケストラという「多くの人達が音を奏でることで生まれるステージ」で、リス子さんが「今の神崎美月の気持ち」で歌うと、一人の人間の人生どころか「地球誕生から今まで生まれた全ての生命に感謝」ぐらいにスケールが大きくなっていて、その壮大さに圧倒されましたね。
滅茶苦茶ですよ。滅茶苦茶なんだけど、最新の「Precious」でそれを見せてくれたところが凄かったですね。それぐらい言いそうですからね、神崎美月。

最後に

元々映像ソフト化する予定があったとはいえ、ソフト化していただいてありがとうございます。
中止になったことも悲しいですが、中止となったことで「本来だったら披露できるはずだったもの」が日の目を見なくなってしまうことの方が悲しく、そして辛いこともないので、どういう形であるにせよこうして発表してくれたことには感謝しかありません。
「次回があるのだったら絶対に行きたい」と思えるものをありがとうございました。ライブもオーケストラコンサートも一体感!

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九条水音
プリズムの煌めきを広めるためによろしくお願いします。